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詩集 手をつないだら

君を抱きしめる

作者: 小日向冬子

「学校なんてどうでもいいよ。君の心が一番大切だから」


なんて


一度覚悟を決めさえすれば

たやすく口にできるものだと


そう思ってた


でもね

あっさり自分に裏切られたよ


頭で理解することと

湧き出る感情は

情けないくらい別物で


固く(くく)ったつもりの腹だって

いとも簡単に緩んでしまうんだ



ねえ

君には見えていたんだろう


括ったつもりの腹の中に

隠したはずの

赤い舌


「無理しなくていいよ」

そう言った僕の声は

まるで借り物のようで


君は

親の本音をあぶり出すみたいに

一心不乱に谷底へと

昇り詰めていったね


――それなら聞くけどさ

  これでもまだ

  僕のことが好きって言える?


そう問いかけるかのように

 


追い打ちをかける

確認作業

何度も何度も

試されて


そのたびに

痛いほど

多くのものを

手放していった



不思議だね


そうやって

何もかもを

失ったはずなのに


今の僕は

あきれるほどに

穏やかなんだ



そう

ハリネズミの君を

丸ごと

ぎゅっと

抱きしめられるほどに

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― 新着の感想 ―
[一言] 親子と一口に言うけれど、決してありふれてはいない。抱えていたもの。溢れてしまったもの。それらは、失って気付く。気付かなかっただけで、満たされていたのだと。私には、何を残せるのか分からないけれ…
[良い点] 優しいんですね。優しいからこういう文章が書けるんだと思わされました。私には無理です。
2014/10/14 12:09 退会済み
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