飛び降ります!!
ん?
「ふぁ~」
・・・。
ここ、どこだっけ?
「んぁ、由加里、おはよ」
{おはよう。芽以、キューバついたよ}
・・・。
キューバ・・・?
{・・・}
・・・。
あぁ!キューバね!そうそう、キューバ、キューバ!ん、思い出した!
{芽以、飛び降りるよ!}
ねぇ、その、『飛び降りる』って方法以外になんかもう少し安全なやつ無いの?
{これが一番安全だよ?ほかの方法と言えば、力がない妖精の私が、芽以をつかんで空を飛ぶ、とか、あるにはあるけど、それって、力がどんどん抜けて最終的に、芽以を落としちゃうよ}
よ~し、飛び降りよう!一応アキレスけんでも伸ばしとこうか?
{う、うん}
よし!行くよ、由加里!
{OK!}
とうっ!
きれいな青空とメキシコ湾。少し遠くには、アメリカ合衆国らしきものまで見えた。
なんだか、このまま死ぬんじゃないかな?って、思った。このまま死んでもいいかもしれないと思えるほど、景色はきれいだった。
それに、由加里が言っていた通り、相当早いスピードで私は落ちて行った。叫び声を上げる余裕もない。今まで乗ったどのジェットコースターよりも早く、おそらく、今まで見たどのジェット機よりも早い気がした。
そんなことを考えていた時、気づいてしまった。
そこまで怖いと感じなかった理由。
下を見なかったからだ。
「っっっっ!!!!!」
口を開けようとすると、風ですぐに乾燥して、のどがカラカラになる。
{芽以~!まって!早い!}
上から聞こえる、素晴らしい羽をもった妖精、由加里の声。
妖精になりたいカモ・・・。
上を見ようとして、首をひねったら、手足も一緒に動かしてしまい、バランスを崩す。
「ひっっ!」
地面はもうすぐ。
バランスを崩した私は、感じたことのない恐怖に襲われた。
「きゃ~~~!!!!!!!」
思わずギュッと目をつむった。
{芽以!大変!}
目を開けると、そこは真っ暗で、少しも光もない場所だった。
「ここ、どこ!?」