芽以の疑問
{まあ、簡単に言うと、私と同じ妖精みたいな存在なのよ。ちなみに芽以は、どうやってこの世界に来たの?}
えっと、山の上に赤い扉があって、その扉開いたら、ここ、みたいな?
{そっちか~}
小さくつぶやいた由加里の声は、しっかりと私の耳に届いた。
「他に、何があるの?」
{えっ!!いや、ほ、他なんてなぁ~んにもないよ!うん!ない、ない!}
ギロ!
{ひっ!}
由加里?何か、隠してなぁい?
{い、いえ!隠してなんて!!そんなことしてませんよ!}
そう?・・・本当に?
{う、うん}
じゃあ、私が聞いた、『そっちか~』っていう言葉は、なんだったのかな?
{さ、さあ~}
正直に話した方がいいんじゃない?
{うっ。・・・。じ、実は、この世界に来れる扉、っていうのは、2種類あって、1つは、芽以が通った赤い扉。もう1つは青い扉。扉の色は、この旅での『危険レベル』ってのを表していて・・・}
イメージとしては、赤の方が危険そうだけど、もしかして・・・?
{そう、赤い扉を通ったら、危険レベル5。つまり、最高に危険な旅になるってこと}
うそっ!
{で、話はもとに戻るんだけど、青い扉を通ったら、バグることが少ないし、治安がいい未来になってるから、安全だし、着地だって、落ちるときがゆっくりな分簡単。対して赤い扉を通った芽以は、バグることが多くて、つまり、白亜紀とか、そういう恐竜がいた時代に行くことが多くて、危険だし、未来に行っても荒れているから、『黒い心を白くする』って依頼は成し遂げることが難しい。落ちていくのが速いから、着地も困難}
・・・。ごめん、それのどこが『妖精みたいな存在』なの?
{自分の行動一つで多くのことが変化するところ。まあ、いつか分かるわ。それで、赤の方で来た芽以は、危険度MAXの大変な旅になるってことね}
・・・なんで、扉2つなんてあるの!?2つも無かったらきっと安全な旅になっていたのに!!
{なんで、私がこんな依頼受けなくちゃいけなかったんだと思う?人間の心が黒くなっていったからよ。その原因はね、天使とか妖精とか、神様の世界と、人間界に挟まれて存在する、悪魔の世界の鬼族のせいなの}
キゾク?
{そう、鬼の一族。鬼族の中には、魔法を使えるやつがいるの。そいつに、魔王が命令したのよ。人間の心を黒くしろって。その魔法を成功させるには、人間界に赤い扉を444個置かないといけなかったの}
魔法を成功させるために、空につながる扉を鬼が作ったってこと?
{うん。で、それを見た神様が、扉を排除することはできないから、せめて安全なことが起きる扉にしようって、青く塗り替えたの}
・・・。
ごめん、由加里。ちょっと待って。いろいろ説明が多すぎてわかんないから、一回整理するね。
1.人間界には、赤い扉と青い扉の2種類がある
2.赤い扉は、鬼が作った危険が多い扉
3.青い扉は、神様が塗り替えた危険が少ない扉
ってことだよね?
{うん}
じゃあ、私が初めに聞いた、『空から飛び降りたら死ぬんじゃないか』って質問の答えとしては、『死なない』でいいかな?
{まあね}
了解。じゃあ、その難しい鬼族とか、扉の話は置いといて、次の質問行こうか。
{あ、わかった。2つ目は確か、『神様は何を考えているんだ』だよね?}
うん。でも、大体分かったからそれはもういいや。
{じゃあ次は?}
私が来たとき、由加里は私の名前呼んだじゃん?なんで名前分かったの?
{そんなの簡単だよ!妖精の力みたいなもんでさ、簡単に言うと、人の頭の上くらいに、名前が出るんだよ}
・・・。ゲームみたいな?
{そう、そう。そんな感じ}
・・・わかった。
じゃ、そろそろキューバ行こうか。
{もーちょい待っててね}
~3分後~
{芽以、着いたよ!}