山の記憶
ポツポツ
静かな夜のなかに雨の音が響き始めた。
「わわ!雨!?と、突然!?」
私は近くにある大きな木の下で、少し雨宿りをすることにした。
「どうしよう。帰ろうにも帰れない・・・」
ザーザー
徐々に強くなる雨。
「山の中でも散歩しようかな?」
ヒマだし。迷子になんて、もうならないよね。
何となく山の中心へ向かってみた。
「うわあ!」
うう、雨で地面が濡れて滑りやすい。危なかったぁ。
はぁはぁ、ふー。
疲れた~。
こんなに高かったっけ?この山。
そういえばここ、小学校の遠足で来たな。もう、ずいぶん前のこと。確か、みんな疲れてもうのぼれないって、半分も登らずにおりてきたんだっけ。
体力がない遥香はすごいきつそうにしてたなぁ。
どうして急にこんなこと思い出したんだろう。
そんなことを考えている間に、雨は止んでいた。
「あれ?」
頂上に着いた、よね?
この山の真ん中、少し凹んでませんか?
って、私誰に聞いてんの?
とりあえず、もう少し進んでみようかな?
その凹みは、1~2メートルの深さはあった。
赤茶色、レンガ、かな?だいたい高校生の男子くらいの高さの扉だけかポツンと置いてある。
「・・・。誰が置いたの?こんな所に。しかも扉だけ。これは、夢?」
何なの、この扉・・・。