特殊能力
前回から、かなりの日数が経ってしまい申し訳ありません。話があやふやになっている可能性があるかもしれません
翌日、硬いベッドの上で目を覚ました。身体中のあちこちが痛い、日の光があまり当たらないため寒いし暗い、今が何時なのか検討もつかない。
夢じゃなかったか
肩を揉みながら起き上がる、ベッドが硬すぎて寝違えも起こしている、昨日のことは夢だと思いたいが、体中が夢ということを全否定している、この痛み、悲しみ、恨み、いろいろな感情が自分の状況を理解させようとしてくる、左手の甲をみると嫌でもわかってしまう。
自分が奴隷になってしまったことを。
これからどうなるのかを考えると膝がガクガク震える、つまらない世界史の授業でうつらうつらと夢見心地に聞いていた奴隷制度の話、ひどい雇い主にボロ雑巾のように扱わていた、というのが印象的だった、俺はそんな風に扱われてしまうのか。
考えれば考えるほど嫌な汗をかく、日本に生まれて、そういう身分制度なんて全く気にもしなかった、衣食住の整った生活が当たり前だと思っていた、この異世界にやってきた時もそうだ、今日まで当たり前のように生きてくことができた、当たり前とは一体なんだったんだろうか、モヤモヤした気持ちでいっぱいになるが、もうどうしようもない。
何気無く『マジックカード』と念じてみる、目の前にカードが出てくる、ここは魔法は使えるようだ。
轟崎 流星【ブラックスミス】
男 ランクF
<称号>
異世界人 奴隷
<特殊能力>
・言語翻訳
・みやぶり
・ダブルマジック
・物質変形SLv1
・鍛冶SLv1
前に見た時と内容が変わっていた、ブラックスミスとは職業のことのようだ、あとは称号に奴隷が追加されている、そんなことは百も承知だが特殊能力なるものが追加されていた、鍛治はわかるものの物質変形が特殊能力として備わっているのがよくわからない、少なくても先天性のものではなく後天性のものだ。
ちょっと考えてみる、思い当たることがあった。
そう思えば倉庫で不思議な光を浴びたっけな 、あの時は全然きにしてなかったっけ。
今そんな発見しても遅いか...いや、まてよ、もしかしたらこの牢屋からでることも可能かもしれない、物質変化ならこの檻を曲げれるかもしれない。
試しに俺は近くにあるベッドに向けて念じてみる、正直言って特殊能力の使い方なんてわからない、だが多分こんなかんじだろう、ん?なんか脳内で単語が浮かび上がった、閃くような感じだ。これを言えばいいんだな。
『コンフィギュレーションチェンジ!!』
何も起こらない、ベッドも変形していない、さわっても硬いまんまだ。不発か?いや、それはない、じゃなきゃこんな痛々しい単語を言わないはずだ。
せめてこのベッドを柔らかくしてくれ、『コンフィギュレーションチェンジ!!』
また何も起こらない、とんだゴミスキルだったか、俺はベッドに腰掛ける。しかし、とある変化があった、この変化は俺にとって一筋の光であった。
ベッドがとても柔らかかった、ボフンボフンと跳ねてみる、そして立ち上がり助走をつけてあのとても硬かったベッドに大の字で飛び込む。
推測するにこのベッドは元の世界の高級ベッドと同じくらいの柔らかさだ、俺のベッドは安物だったが家具屋に行った時に高級ベッドの座った感覚とすごく似ていた。そんなベッドに飛び込むことができるなんて俺は、俺は。
バン!
大きな打撃音とともに俺は絶句した。痛みで声がでなかった。
ベッドが元の硬い状態に戻っていた、迂闊だった、もう少し能力を調べておけばよかった。
スライムにタックルされた時のような痛みが体を襲う、が、すぐに痛みが引いていく、どうやら生き物の攻撃以外の痛みは治りやすいようだ、原因はわからないが異世界ならなんでもオッケーなのだろうか、考えてたらキリがないから俺はちょっと横になる
そして数分後、体の痛みが薄れてきたので、実験を試みた。内容としては持続時間とSLvと、どこまでこの能力が便利なのか、ということだ。
とりあえずSLvはスキルレベルのことだろう、スキルレベルが上がって行くほどに、何か良いことがあるのではないかと考えられる。これは上げて置いて損はないだろう。だが上げかたがわからない。 死ぬのを回避する方法があるなら全力でレベルを上げるまでだ。まずは方法を見つけるに限る
次に持続時間だ、知っておかなければならない重要項目の一つであるだろう。まずはこの硬いベッドを柔くしてみる、
『コンフィギュレーションチェンジ!!』
イメージしながら行ったため柔くなった、時間を数えながらフニフニと硬かったベッドに指を突き立てる。
フニフニフニフニフニフニフニフニフニフニフニフニフニフニフニトン
時間にして約6秒、柔らかくなっていた。確かに俺がベッドにダイブする時間は10秒程度だったから効果は終わっていたはずだ。実験ってのは偉大だな、怠ってはいけない。
次はこの能力の便利さを調べる、実験に使うのは足元に落ちている小石だ。
まずはこの長い演唱がどうにかならないのか、演唱短縮を狙う、そうだな、英語で言ってみよう
『ソフト!!』
見た目は変わらないが確かに柔らかくなっている、そして約6秒後に元の硬さに戻った、あんなに長い、舌を噛みそうな演唱を省くことができるのは正直うれしい。
少し体が怠くなってきた、ゲーム脳から予想するに、この能力はMPを使いそうだ、一応マジックカードを使ってもう一度ステータスを見てみる。
轟崎 流星【ブラックスミス】
男 ランクF
<称号>
異世界人 奴隷
<特殊能力>
・言語翻訳
・みやぶり
・ダブルマジック
・物質変形SLv2
・鍛冶SLv1
・パット
物質変化のスキルレベルが上がり、また新しい項目が増えている、ゲームではいつも「習うより慣れよ」と独り言でつぶやく。
『パット!』
すると目の前にスマホみたいなやつがフッと出てきたのでキャッチする。側面にはPADとデカく英語で書いてあった。正直ダサい。
電源ボタンをつける。右に付いてた。
・ステータス
・持ち物
・ヘルプ
簡素な表示が出てきた。まるで某RPGで便利ボタンを押した時の表示にそっくりだ。ステータスをタッチする。
轟崎 流星
Lv:1
HP:3/25
MP:0/16
志操:割り箸
技志:ただの衣
案の定死にかけていた。MPが切れていてHPを削っていたのに、気付いていなかった。慌ててステータスを閉じる。ベットに慎重に横になり、実験も度が過ぎるのも危険だなと思いながら仮眠を取るのであった。
ステータス…どこまでもゲームのような世界だ。