第六話 平常運転後…
どもです。
なんか集中力が維持できない。あの日か…!?
まぁ、もともとないんですが…。
誤字脱字…、申し訳ない。 (´Д`)ハァ…
話は少し遡る。
司がギルドマスターからドラゴンの居場所を聞き飛び出していった後、ギルドマスターは一人のハンターを呼び出していた。
そのハンターはこの街最強のハンターと呼ばれる女性で、その女性はギルドマスターと少しの間話をした後、部屋から出ていく。
実はギルドマスターが指示を出した内容は、司よりも速くドラゴンのもとに赴き、事情を説明するということだった。
アンデレの街のギルドマスターは、以前ハンターとして活躍しており元9ランクの一流ハンターだった。とある事情からハンターを辞め、ギルドに務めるようになると数年でアンデレの街のギルドマスターを任されるようになったのだ。
迷宮の森のドラゴンとは旧知の仲であるらしく、時折情報のやり取りをしているのだった。
「若いもんは勢いがあって良いの」
ギルドマスターのシルドラゴンならば間違い無く司を試すだろうと判断し、伝令を走らせたのだ。
第六話
平常運転後…
ディーが回復してから一ヶ月が過ぎた。
司の生活には特に変化はなかったが、リッドとディーとの距離は以前より近づいてきたように司には感じられた。
といっても、特にリッドとディーの司への態度が変わっただけではなく、細かな所で遠慮が無くなったといった感じだ。
「それではリッドさん行ってきます」
「はい、無理だけはしないでくださいね」
「お兄ちゃん気をつけてね」
「はい」
司は二人に挨拶をしてハンターギルドに向かう。
ドラゴンとの戦いで何かを掴んだのか、司の動きは以前よりもかなり良くなった。魔力による身体強化はとても使い勝手がよく、最近は迷宮の森の深い所、ドラゴンのいる場所の少し手前、で魔獣を狩っている。
その甲斐もあってランクも3に上がっていた。
「おはようございますラニーさん」
「ツカサさんおはようございます。今日も依頼受けられるんですか?」
「はい」
ラニーに挨拶をした司は依頼の貼られている掲示板を確認していく。司はその中からグリーンスライム討伐と、オーク討伐の依頼を受けることにした。
「この2つをお願いします」
「はい。大丈夫だと思いますが、気をつけてくださいね」
「はい!」
司は元気よくラニーに返事をし迷宮の森へと駆け抜けていき、その後姿にラニーは小さく微笑むのだった。
ハンターギルドを出て十数分後、司は迷宮の森で景気よくスライムを狩っていた。両手に四本ずつナイフを持ちそれを必中の精度でスライムに投げつけている。
そして、投げたナイフはスライムを串刺しにした後地面に刺さり、その直後司の身に着けているホルダーに戻ってきていた。
「やっぱりリターンの魔法は便利だな」
【うふふ、主様の役に立てて何よりよー!】
呟く司の回りには色とりどりの妖精が飛び交っている。ドラゴン戦以降、妖精の姿がハッキリと見えるようになった司は精霊に色々と話を聞いてみた。
そしてわかったことは、妖精にとって司の放つ魔力はとても気持ちいいことと、ミハイエルの祝福を受けた人物には仕えるように決まっているそうなのだ。
【今回の主様は優しそうで嬉しいのよ!】
「今日も有難う。無理はしないようにね」
【話しかけられたのよ-! 主様に話しかけられたのよ-!】
司が話しかけると、精霊たちは先程よりも嬉しそうにそこら辺を飛び回る。そのことに苦笑しながらも司はスライムを狩り続け、ある程度スライムの核を集めると次はオークを探して森の奥に入っていく。
「ふっ!」
短い呼気とともに司の右腕が振りぬかれその一撃でオークの頭部は本来曲がってはいけない方向に曲がり、そのまま地面に倒れ伏してしまう。
司が主に使っている近接用の体術は、以前の世界で習った空手・少林寺拳法・ボクシング・カポエラ・ムエタイ・テコンドーを併せたものである。
司はその全ての格闘技の有段者なのだ。
ちなみに全て通信教育だが…。
但し、記憶にある型を賢者のスキルにより最適化しているのと、ステータスが高いこともありかなりの腕前となっている。
「今日はこれぐらいにしておくかな」
三十匹ほどのオークを倒した司は討伐部位を集めギルドに戻ることにした。ギルドに戻った司は討伐部位を渡しリッド達のいる家へと戻っていった。
翌日、いつもの様にギルドに顔を出すと、ラニーから声をかけられた。
「ツカサさん、少しよろしいですか?」
「どうしたんですかラニーさん?」
「実はツカサさんにお願いしたい依頼があるんです」
「俺に?」
司がラニーから指名された依頼は第一の都市『王都シモン』にあるハンターギルドへの配達依頼だった。
「運ぶだけですか?」
「はい。この依頼はある程度こちらが信頼しているハンターでないと頼めないんです」
「そうですか」
特に予定のない司はこの依頼を受けるため、詳しい内容をラニーに確認することにした。
ラニーの説明によると、王都シモンはこの街から一週間ほどの場所にあろとのことで、往復で約二週間かかることになる。
但し、依頼内容は配達ということで王都の本部に荷物を届けるだけでいいので、その後は王都観光をして帰ってきても問題ないらしいとのことだ。
「出発は五日後なので、五日後の朝九の時までにギルドに来てくださいね」
「わかりました」
出発までの2日を司は準備に当てることにし、今日は家に戻ることにした。
「というわけで、二週間ほど王都の方に行ってきます」
「まぁ、それは…、長旅なので気をつけてくださいね?」
「おにいちゃん、どっかいっちゃうの?」
リッドは司の体を気遣うが、二週間も家を開けることに少し寂しそうな表情を浮かべ、ディーは目尻に涙を浮べている。
「え、あの、なるべく早く帰ってくるので」
「はい、お仕事ですから、仕方ないですね。ディーも我儘言ったらダメよ?」
「ううっ…」
どことなく寂しそうにするリッドと、明らかに寂しそうな表情を浮かべるディーに司は強く罪悪感を感じてしまう。
どうしようかと司が悩んでいると、ふとラニーの言葉を思いだす。
『特に危険もないので、観光気分で行ってきてください』
その言葉を思い出し司はあることを思いついた。そして、それを実現させるために翌日街を走り回ることになった。
そして、王都に迎え前日夕食の場で司はリッドとディーに話を切り出した。
「どうしたんですか司さん。今日は王都へ行く準備に忙しそうにされてらしたので、お疲れになっているんじゃないですか?」
「はい、ある程度準備の目処はたったんですが…、あのリッドさん」
「はい?」
「三人で一緒に王都へ行きませんか?」
「え?」
「実は今回の依頼は王都にあるギルド本部への荷物の配達だけで、危険はないそうなんです。なので、二人も一緒に行きませんか?」
司の突然の言葉にリッドは最初言葉の意味を理解することができなかったが、徐々に司の言葉の意味を理解していき、嬉しさで胸がいっぱいになる。
「で、でも、ご迷惑じゃ。足手まといになると思いますし…」
「迷惑なんかじゃないです。それに二人がのんびりといけるように馬車も購入して来ました」
司の言葉に今度は目を丸くするリッドだった。
「ディーもいっしょ?」
「そうだよ、一緒に旅行しようね?」
「わーい! おりょこうだー!」
ディーは旅行の意味がよくわかっているかは不明だが、司と一緒に入られるということが嬉しいのか、小さな体全体を使って嬉しさを表現している。
「旅行…、! あ、旅行なら色々と準備を…!」
「旅に必要なものは準備できてます。なので、明日は二人の服を買いに行きませんか?」
「服…、ですか?」
「はい。といっても、旅用の物ですけど」
こうして、司たち三人は王都へと向かうことになったのだった。
いかがでしたでしょうか?
ではまた。