第15話 大樹の森の狼族
どうもお久しぶりです。 m(_ _)m
最近仕事が忙しく、会社に53時間缶詰でしたw
「せいっ!」
司の渾身のボディーブローが目の前にいる魔獣、体長が3メートル程ある大柄なバトルベアを50センチほど空中に浮かせた。
「はぁっ!」
そして、地面から強制的に浮かされたバトルベアは、何とか反撃しようと腕を振り上げるが、その瞬間バトルベアの顔面に司の上段蹴りが決まり、骨を砕く音があたりに響くと、バトルベアはその場に崩れ落ちそのまま動かなくなってしまった。
「…ふぅ」
完全にバトルベアが動かなくなったのを確認し、司は残心をといて小さく息をつく。
王都から一週間かけて戻ってきた司は、ハンターギルドに依頼の達成を報告し、ハンターランクが4に上がっていた。
ランクが上がったことにより、今までよりも様々な依頼が受けられるようになり、司はほぼ毎日様々な依頼をこなしている。
そのほとんどが魔獣の討伐以来だが、その量はとても1人で依頼をこなしているとは思えないほどだ。
知り合いや、ギルドの職員からは少し無理しすぎではないかと、休んだほうがいい、など言われている。以前の司ならその忠告を聞いていたのだろうが、今の司にはある目標があるためいつもより少しだけ頑張っていた。
その、ある目標というのが…。
「よし、もう少しで家が建てれそうだ」
という物だった。
事の発端は久方ぶりにアンデレに戻ってきたことから始まる。帰り道は特に何事もなくのんびりとした道程になり、一週間で町へと戻ってきた。
戻ってきたのはいいが、今住んでいる家ではシロとクロが居る場所がないのだ。
今のところはシロとクロが居た馬屋に預ってもらっているがいつまでもそんなわけには行かず、司はどうしようかと悩んでいた。
悩んでいたのだが、ふとあることを思いついた。
家に居る場所がないなら、居る場所がある家を建てればいいのではないだろうか? と。
そして、思い立ったが吉日、とでも言うように司はすぐに行動を開始した。まず司が言ったのはハンターギルドだった。ハンターギルドで管理している土地がないだろうかと、駄目もとで聞いてみたのだが、これがよかった。
「ありますよ。街の外になりますが、すぐ近くに」
司はすぐに詳しい場所を聞いて下見に行った。そして、下見に行って気に入り、またすぐに街へと戻りどうにか土地を譲ってもらえないだろうかと交渉を開始した。
だが、開始してすぐにあることに気がついた。
自分は良いとして、リッドたちはどうするのか? リッドたちの家から出て自分とシロとクロたちだけでその家に住むのか? 違う、そう司は思う。
どうにか落ち着いた司は騒がせたことを職員に謝り、一旦このことは保留にして欲しいとギルド職員にお願いして、ギルドを後にした。
その後、どうしたものかと色々悩んだ司だったが、辿り着いた結論は素直に話す、ことだった。
そして、その夜…。
「リッドさん、少し話をさせていただいてよろしいですか?」
ディーが寝静まった夜遅く、司はリッドに声をかけた。
「? はい、いいですよ」
テーブルを間に挟み、リッドは司の正面に座り司からの言葉を待つが、司はどのように話したものかとなかなか話を切り出せずに居た。そんな司の様子を見ながらも、リッドは司からの言葉を待ち座ったままで居る。
そして30分後、司はいよいよ覚悟を決めリッドに用件を切り出した。
「リッドさん、自分この家から出て行こうと思います」
「………………………………………………………えっ?」
第15話
大樹の森の狼族
「わんちゃんなの!」
司とリッドが話をしてから数日後、リッドと司は表面上いつものように過ごしていたが、二人をよく知るものが見ればどことなくぎこちなく見えるだろう。
そんなある日、友達の家から帰ってきたディーが一頭の犬を抱いていた。
その目はきらきらと輝いているが、ディーは体中泥だらけになっており、さらにはそれに負けないくらいに犬も泥だらけで、もとの色が何色かさえもはっきりとわからないほどだった。
「ディー、どうしたのその格好? それに、その子は?」
「わんちゃんね、ディーのおともだち! ひとりでさみしそうだったから、おうちにくる? ってきいたら、くるっていったからいっしょなの! おともだちなの!」
「もうこの子ったら…」
「リッドさん、先にディーちゃんをお風呂に入れてあげてください。自分はこのワンコを綺麗にしますから」
もう少し詳しい事をディーから聞こうとしているリッドを、司は先に泥まみれの1人と一匹を綺麗にしようと提案する。司の提案に、髪の毛まで泥まみれの愛娘を見て小さく息を吐き、リッドは司の提案に乗ることにした。
「そうですね。ディー、お犬さんはツカサさんに綺麗にしてもらいましょう?」
「ディーも! ディーも一緒に綺麗にしてもらう!」
「もう、わがまま言わないの」
「いーやー!? おにいちゃんといっしょがいーい!?」
ディーはリッドの言葉にぐずって体を左右に振り、それに併せて泥が飛び散っている。そんなディーの姿に、リッドは大きくため息をつき、司は苦笑いをしている。
「ツカサさん、お願いしてもよろしいですか?」
「わかりました。よし、それじゃディーちゃん、きれいきれいしようか?」
「うん!」
司がそう声をかけると、それまでぐずっていた姿が嘘のように、ディーは犬を抱いたまま満面の笑顔で器用に司に抱きついてきた。それで司のズボンが汚れているが司は何も言わずに泥だらけの一人と一匹を連れて、風呂場へと入っていくのであった。
「目を閉じてるんだよー」
「はーい!」
ディーはギュッと目を瞑って目に泡が入らないようにする。司はディーが目をしっかり閉じているのを確認して、頭から少し温めのお湯をかけていく。
「ディーちゃんもういいよ」
「ぷはっ!」
目を閉じるのと併せて息を止めていたのか、ディーは大きく息を吐いて、司のほうを振り向いた。司はそんなディーの頭を撫でながら、脇を抱えて浴槽に入れた。
「よくできたね。先にお風呂はいってよっか」
「うん!」
「よし。じゃ、次はワンコだな」
司が声をかけると犬は先程のディーのようにしっかりと目を閉じた。司はそんな犬を見て、なんとなくだが人間の言葉を理解しているのではないかと感じたが、とりあえずは泥を落とすことが先なので、ジャブジャブと犬を洗っていく。
「くぅーん…」
「我慢しろよ。すぐに綺麗になるからな」
それから程なくして犬は司に綺麗に現れ、元の毛の色が判明した。
「へぇ、綺麗な銀色だ」
「わん!」
泥を綺麗に落とされた犬の毛並みは綺麗な銀色だった。司はなんとなくだが、その犬の体つき日本に居た頃の犬と、更にはこの世界の基本情報で得ていた犬とも微妙に違い、その姿は…。
「まぁ、いいか。よしお風呂に入ろうか」
司は浴槽に入り自分の上にディーを抱き、ディーがワンコを抱く感じで浴槽に浸かっている。ディーと犬はとても気持ちよさそうな表情をしているのは解るが、何故か司も同じように気持ちよさそうな表情をしている。
これが元日本人の性という物だろうか。
それから約一時間後、綺麗になったディーに司とリッドは事情を聞いていた。ディーの説明では理解できないところがたくさんあったが、司はある程度事情を理解した。
理解したというよりも、とても単純な理由だった。
「街の広場に居たこのワンコ連れてきちゃったんだ?」
「うん! ワンちゃんがきたいっていったの!」
「わん!」
ディーの言葉にその通りだというように、犬は嬉しそうに鳴き声を上げ、どうしたものかと司とリッドは顔を見合わせる。
首輪などをしていないところを見ると、飼われているのではないだろうことはわかるが、一番の問題は…。
「リッドさん、このワンコ…、犬じゃないですよね?」
「はい。銀色の毛並みと金色の瞳…、多分ですが『妖精大樹の森』に住んでいる月樹の銀狼の子だと思います。
妖精大樹の森、アンデレの街から一日ほど離れた場所にある中心にとても巨大な樹があることと、森の妖精族と言われるエルフたちの大きな集落があることからその名前で呼ばれていた。
中心に生えている樹はユ=ノと呼ばれ樹齢二千年以上と言われている。
「月樹の銀狼は、大樹ユ=ノの守り神と言われていて、とても誇り高い狼なんです。ほとんど森から出ないはずなんですが、どうしてその子供が街の中に…」
「その話を聞くと、あまりいい意味でここのいる気がしないですね」
「同感です…」
司とリッドは同時に小さく息を吐き、同したものかと考えるのであった。
いかがでしたでしょうか?
とりま更新だけ。
ではまた。




