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前略 異世界の土の上から  作者: ハチ
王都旅行 編
13/16

第十二話 王都迷宮探索

どもです。

ご意見ご感想有難うございました。 m(_ _)m


ステータスに関しては新しいステータス表が固まりましたら、随時古いものと差し替えていきたいと思います。

載せるのもあとがきにと考えております。

ステを載せる話数には、ステ有りと表記するようにし、ステータス表が要らないといわれる方が見なくても良いようにしたいと思います。


皆様、ご意見ご感想ありがとうございました。 m(_ _)m

王都の中心部にある市場に司達はやってきていた。

司にしてみれば地球で生活していた頃にはよく見ていた人の多さだが、リッドとディーにしてみれば、見渡す限り人の頭という状況は初めてのため、大いに戸惑っているようだ。


「す、すごい人ですね」


「おにいちゃん…」


「ほんとにすごい人ですね。これじゃディーちゃんにはちょっと怖いかな」


そう言うと、司は徐にディーを抱き上げると肩車をする。


「これで怖くないよね?」


「うん!」


ディーは司の言葉に先程までのどこか怯えた感じの表情は消え、満面の笑顔を浮かべ周囲を見回している。そして、次に司はリッドに振り向くと手を差し出した。


「あの、リッドさんも逸れたらいけませんから…」


そういう司の顔は首まで真っ赤で、リッドには司が精一杯勇気を振り絞ってくれたことがわかった。


「はい」


ただし、そう答えるリッドの顔も司に負けないぐらいに真っ赤だ。


「逸れたら行けませんから」


そう言って手をつなぐリッドだったが、それは所謂手のひらと手のひらを合わせ指を時から見合わせる恋人つなぎというやつだった。


「「…」」


一瞬だけ見つめ合った二人だったが、同時に小さく笑い出し同時に歩き出すのだった。


「おひといっぱいだよー! おにいちゃんあっちにいこう!」


司達はディーの指差す方向に歩き出す。




第十二話 王都迷宮探索




王都に到着した次の日とその次の日を、司達は王都巡りをしていた。ユグド王国第一の都市というだけあって、王都には多くの人と多くの物で溢れていた。

リッドとディーは二日間の王都巡りで疲れたのか、三日目は宿でのんびりと過ごすということになったので、司はハンターギルドが管理している迷宮に潜ることにした。


「ここが《黄昏の迷宮》か」


司がやってきたのは、ランク3~5までのハンターが主に潜る迷宮だった。敵の強さ的には司がよくスライムを倒している迷宮の森よりも上になる。

但し、事前に司が調べた限りではオークレベルの敵がメインになるようで、そこまで脅威的な敵はいなかった。


司はミスリル製の篭手と脛当て、バジリスクの皮で作った道着を装備し、両手にミスリルナイフを持ち迷宮へと入っていく。


「ちょっと通ります!」


【通るのよー!】


【前方に敵5体、オークですね。5、4、3、2、1、接敵!】


司は声をかけたゴブリンとコボルトを切りつけながら迷宮内部を疾走し、その左右には精霊二体が同じ速度でついてきている。

そして、司は先生の声を聞きすかさずホルダーからナイフを取り出して姿を表したオークにすかさず投げつける。


「せいっ!」


司が投げたナイフは狙い違わずにオークの頭部に突き刺さりその生命を刈り取った。

迷宮に入ってからすでに一時間が経過し、司は第5階層まで降りてきていた.黄昏の迷宮は20階が最下層で、最下層にはこの迷宮の主である《亡霊騎士》がいる。


【主様階段なのよー!】


「おし、このペースで行こう」


迷宮の特徴としてあげられるのは、迷宮の中にいる敵は定期的に自動発生し、倒さずに放っておくと迷宮から魔獣が溢れ出すことがあり、ハンターギルドにはいつも迷宮の魔獣討伐の依頼がでているのだ。

迷宮の中にいる敵は討伐部位は必要なく、迷宮の入り口で特殊な処理を施してもらえば、ギルドカードに自動的に記録されることになる。

そして、最下層にいる主も時がたてば再び生まれてくるのだった。


その後、さらに迷宮に潜ること1時間、司は12階層まで潜ってきていた。

ここまでの敵はすれ違う一瞬で司に倒されていた。だが、12階層に来た時点でこれまでよりも強い敵が現れるようになり、司達は今までより慎重に行動していた。


「これで!」


司の一撃でハイゴブリンは数メートル吹き飛ばされ、そのまま地中に溶けるように消えていった。ハイゴブリンはゴブリンの上位種で通常のゴブリンよりも一回りくらい大きく、攻撃力も上がっている。


「この辺りの敵もなんとかなるか」


【さすが主様なのよー!】


【私の計算ではこの迷宮の主も、主様の前では雑魚ですね】


「油断はしないようにして進もう」


その後も危なげなく司達は迷宮を進んでいく。ハイゴブリンを初め、ハイコボルト、ハイオークなどが出てきたが、司達にとっては敵にならず巻藁のように切り捨てられていき、迷宮に潜ってから3時間、司は20階層に到達していた。


「ここが主の間か」


司達の目の前には重厚な扉が立ちはだかっていた。


【主様、大丈夫だとは思いますがお気をつけて】


【なのよー!】


精霊たちの声援を受け、司は扉を開き主の間へと入っていく。司が部屋の中に入ると、部屋の一番奥に玉座のような椅子があり、そこに骨の姿に豪奢な鎧を着たスケルトンが座っていた。


『戦士よ…、汝が我を解放するものか?』


そこにいたのは司が調べた亡霊騎士と何かが違った。司が調べた亡霊騎士は目の前にいる亡霊騎士のような鎧も着ていないはずだし、何よりも話しかけるという知性はなかったはずだ。


「? 解放? 倒すということがそうなのか?」


『我はここに縛られし罪人…、幾千もの時をこの地で過ごしてきた』


だが亡霊騎士は司の言葉を聞いていないのか、ただ言葉を紡いでいく。


『我はただ救いたかっただけだった…。ただ…、救いたかっただけなのだ…』


「これは声じゃない? 直接頭に聞こえてきているのか?」


『戦士よ…、解放を。罪深き罪人である私に…、どうか解放を…』


亡霊騎士がそういった次の瞬間に、司の頭の中に見たこともない風景が流れ込んできた。それは戦いの記憶、日々の生活の記憶、一人の女性の幸せを求めた記憶、だった…。


『女神ミハイエルの祝福を受けし者よ…、聖ミハイエルの名のもとに私を…、私を解放して…』


最後にそう言って亡霊騎士は立ち上がり盾と剣を構え、いつでも司に襲いかかれるようにする。司は一度大きく息を吸うと、自身も亡霊騎士に向かって構えをとる。


「…」


『…』


「『…』」


動き出したのは両者同時だった。先に攻撃をが届いたのは、剣を装備している分リーチの長い亡霊騎士の剣だった。

司は左手の篭手でそれを受け流そうとしたが、思いのほか威力が高く右手を添えることで何とかやり過ごした。

だが、受け流した剣を上から抑えこみ、そのまま回し蹴りを放つがそれは亡霊騎士の持っている盾で受け止められる。

だが、亡霊騎士は司の回し蹴りの威力を見誤っていたのか、そのまま数メートル弾き飛ばされた。


(身体強化!)


司はこの隙に身体強化を全身に使い、一気に亡霊騎士との距離を詰める。一気に速度の上がった司に対応しきれず、亡霊騎士は司に懐へと入り込まれてしまう。


「おおおぉぉぉぉぉっ!」


司はラッシュを仕掛ける。手加減なしの全力の攻撃を亡霊騎士へと叩きこむが、最初こそ対応が遅れた亡霊騎士だったが、直ぐに司の速度に対応し攻撃を捌きはじめた。


(!?)


司は内心驚いていたが、それを表面には出さず攻撃を続けていく。そしてすぐにあることに気がついた。


(相手も身体強化を使っている!?)


そう、亡霊騎士も身体強化を使っていたのだ。そして、司の攻撃を捌きながら徐々に亡霊騎士が反撃を仕掛けてきた。

身体能力的には、司のほうが優っている。地の身体能力、身体能力の強化率ともに司が上だ。だが、亡霊騎士には今まで多くの冒険者と戦ってきた経験と知識が有る。

それが、身体能力で勝る司を相手に有利に戦いを進めているのだった。


「くっ!?」


司は両手をクロスさせることによって相手の一撃を受け受けるが、その一撃で壁際まで弾き飛ばされた。


(徐々に威力が上がっている…)


戦いが進むごとに、亡霊騎士の動きが良くなっていくように司にわ感じられた。そして、それと比例するように亡霊騎士の姿に先ほど頭のなかに流れた光景に出てきた女性の姿が重なっていく。


『戦士よ…、強く優しい魂を持つ異界の戦士よ…。我に安息を…、我に…』


「私に戦士としての誇りある最後を!」


そこには亡霊の騎士ではなく、一人の騎士の姿が…、自身の大切な人を助けるため、祖国を救うために戦った一人の英雄の姿があった。





ディーの日記


ディーにはおにいちゃんがいます。

おにいちゃんはとってもやさしくて ディーにおかしをくれたり おひるねしてくれたり だっこしてくれます。

おかあさんも おにいちゃんいると たのしそうで ディーもたのしいです。

ディーはおにいちゃんがだいすきです おかあさんもおにいちゃんもだいすきっていってたの。


アンデレ主発前のディーの日記より

いかがでしたでしょうか?


これから話の最後に、ちょっこちょこと小話を入れて行きたいと考えております。


お試しとして、今回少しだけ載せておりまうので、良ければお読みいただければと思います。

ではまた。

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