第九話 投擲格闘時々魔法
えー、まずは一言。
遅ればせながら、感想有難う御座います (_ _)
実を言うとですね、感想いただけるとは思っていなかったというのが本音で…。
とても驚いて、且つ喜んでおります。
感想をお書きいただいた皆様、並びにお気に入り、評価をしていただいた皆様、心より御礼申し上げます。
これからもよしなに。
あ、後誤字脱字はデフォ…。 ご指摘いただいた箇所は直して行きたいと思っています。
「よいか? 素早さが高いからといって闇雲に動けばいいというものではない。何事も緩急をつけることが大事なのだ」
王都まで後四日の場所にある馬車宿で、司はペトロに稽古をつけてもらっていた。ペトロから聞く話は司にとってとてもためになるものばかりで、ペトロに稽古をつけてもらう時間はとても有意義なものだった。
「こうですか?」
「もう少し動作の抜きと入りの切り替えを早くしてみろ」
ペトロの指摘を受け、司は指摘されたことに意識を置きながら体を動かしてみる。
「そうじゃ。それを忘れるでないぞ」
「はい。ありがとうございます」
司はペトロに頭を下げるとその場に座り込み、そんな司の姿を見てペトロは愉快そうに小さく笑っている。
「どうじゃ? 意識するのとそうでないのとではぜんぜん違うじゃろ?」
「本当に…、こうやって教えていただくと自分の至らなさが身にしみますよ」
司の強さのもとになっているのは、この世界に来た時にポイントを振って得た身体能力とスキルのお陰であり、司自身は通信教育での知識しかなく本格的な教えを受けたわけではなく、賢者のスキルによる動きの最適化ももとの知識が少なく限界がきていたのだった。
そんな中、ペトロが主に使っているのはいるのはこの世界にある無手の技であり、世界が違えども同じ人間が戦うために生み出したという点では同じであり、技は別としても動きにおいては通じるところが多くあるのだ。
「おにいちゃん、おけいこおわったの?」
「うん、終わったよ」
「じゃ、ディーとあそんでくれる?」
「うん」
司はそう返事すると、座った状態でディーを持ち上げると、そのまま自分の肩に乗せて勢い良く立ち上がった。
「たかいー! おにいちゃんおかあさんとこいこー!」
「よーし!」
司はディーのナビに従って肩車の状態で、リッドのいるところへ走りだした。いつもより他界ところから観る景色と早い移動速度にディーは大喜びである。
【主様たちが楽しそうだと、私達も楽しいのよ-!】
なぜか精霊たちも嬉しそうにしてたりする。
第九話
投擲格闘時々魔法
明けて翌日、司達は街道の直ぐわきで昼食を済ませていた。今日の片付けはリッドの当番なので、司は重いものだけ片付けて洗い物はリッドに任せ本人はディーにあるものを見せていた。
ちなみにペトロは自分の馬でついてきており、食事は一緒に取るのだが、寝るのは自分が準備している寝袋のようなもので済ませていた。
余談だが、一度司が自分達の馬車で寝ないかと提案したことがるのだが、ペトロは『夫婦の営みを邪魔するほど野暮ではないぞ』と言い断られ、何度司たちが本当のことを説明しても信じてもらえなかったのだった。
「おにいちゃんすごーい! ディーも! ディーもやりたい!」
「じゃあ、ディーちゃんはこれでやろっか」
司は自分が使っているものよりも一回り小さい物をディーに渡し、やり方を簡単に説明する。ディーは司の説明を耳をダンボにして聞き、ひと通り説明を聞いてからいざ実践にうつった。
司がやっていたのはお手玉で、ヤコブの街によった時にあずきによく似たものを見つけなんとなく買っておいた物をお手玉にしてみたのだが、これが自分の予想以上にいい出来になったため、早速ディーに披露したのであった。
といっても、司にしては遊ぶと言うよりも指先の訓練と、一度に複数の物を操る訓練にお手玉がいいかなと思い、作った程度のものである。
「えい!」
「うん! 初めてにしては上手いよディーちゃん」
「ほんとーに? じゃあお母さんにも見せてくる!」
「直ぐに戻ってくるから、ここにいようねディーちゃん」
リッドに見せるために走りだそうとするディーを抱きかかえ、司はそのまま地面に大の字に寝転がった。ディーの重さが程良くてなんとなく落ち着いてくる。
「わーい!」
ディーは司の上で飛び跳ねるようにしてはしゃぐぎ、その回りを沢山の精霊が飛び跳ねるようにして飛び回っている。
それから程なくしてリッドが戻ってたが、そのろこにはお腹いっぱいになり、さらにはしゃぎ回ったことによりつかれたのか、お昼寝モードになっていた。
そして、その下にいる司も同じように寝息を立てており、小さく寝息を立てている。
「まぁ…」
リッドは最初そんな二人の横に座っていたが、何度か司が頭の位置が落ち着かないのか寝苦しそうにしているのを見て、ある行動に移った。
「ほっほっほっ」
リッドは司の頭を自分の膝の上に乗せると、司の髪を優しく梳き始め、そしてそれを見ているペトロは縁側の老人のような笑い声を上げていた。
「こうすればいいのかな?」
【はい。そのままで問題ないです。主様は飲み込みが早いですね】
「そんなことないよ。先生の教え方が良いんだよ」
【主様、私のことは先生と呼ばないように】
夜、リッドとディーが寝静まった頃、司は精霊達に魔力の使い方を教わっていた。但し、司に魔法を教えているのはいつも話しかけてくる陽気な精霊ではなく、凛とした雰囲気をまとった精霊で、司はなんとなくこの精霊のことを先生と呼んでいる。
「いつも魔法の練習に付き合ってもらって済まないね」
【主様、私たちは主様のために役に立ちたいのです。ですので、頂きたい言葉はそれではないのですよ?】
「…、そうだね。皆ありがとう」
司がそうお礼を言うと先生と呼ばれた精霊は嬉しそうに微笑み、周辺にいる隠れている精霊たち、実はバレバレだが、も嬉しそうに喜んでいる。
「皆はどうして俺のことを、主様って呼ぶの?」
【主様は主様なのよー!】
司が先生にそう聞くと、何処からともなくいつもの精霊が飛んできたそう話しかけてきた。
【そうですね。なんというか、主様は主様だと私達の感覚が告げているのです。多分他の皆も同じだと思いますが、上手く説明できないと思います。多分ですが、女神ミハイエル様のお導きでしょう】
【お導きなのよー!】
「そうなんだ…。皆これからもよろしくね」
【はい】
【おまかせなのよー!】
司と二人の精霊はその後も少しだけ魔法の練習をしてから眠りにつくのだった。
そして、王都まであと1日と言うところで事件が起きた。
突如として聞こえてくる鐘の音、司やリッドにはその音がなんなのか解らないが、ペトロにはその音の意味がわかり顔を険しくする。
「どうしたんですかペトロさん?」
「あの鐘は何らかの非常事態にしかならんものだ。それが鳴ると言うことは何らかの悪い事態に街が陥っていると言うことだ」
ペトロの説明を聞き、司は考えを巡らす。王都と言えばこの国の中心に位置する国であり、そこに常駐する兵士の量、質とも他の街よりも格段にいいだろう。
それに、ハンターギルドを始め各ギルドの本部もあることから、各分野のエリートも揃っているはずだ。
それなのに、王都に非常事態を知らせる鐘が鳴ると言うことは、容易為らざる事態が起こっているのだと司は考えた。
「すまんが私は先に行かせてもらう。司よ、お主は事が落ち着くまで街には近づくな」
「でも!?」
「でも、ではない。確かにお主もくれば助かることがあるかもしれん」
「でした「じゃが、お主の良人娘子はどうする? ここに置いておくのか? 今お主がするべきことは、お主の大切なものを確実に守ることじゃ」…、わかり、ました」
司はペトロの言葉になにも言い返すことができなかった。それでも理屈ではわかっていても心は納得出来ないのだろう。
「よいか司よ? なにが起こっているのかわからない現状、ここも安全とは限らん。お主は誰かを見捨てるのではない、確実にこの二人を守りぬくのじゃ」
「はい。でも、もし俺が役に立てることがあるのなら声をかけてください」
「うむ、その時は力を貸してもらうぞ。それではな!」
ペトロはそう言い残し馬を勢い良く走らせていく。その後姿を見送った司は、馬車できた道を戻ることにした。
「リッドさん、今朝の馬車宿に戻りましょう」
「司さん…」
「大丈夫ですよ。なにがあっても俺が守りますから」
「私たちは大丈夫ですから、ペトロさんと行っていただいてもいいので「薄情かと思われるかもしれませんが、俺には他の人よりもリッドさんとディーちゃんが大切なんです」…、私はひどい女かもしれません」
「どうしてですか?」
「今の司さんの言葉を嬉しく思ってしまいました」
「リッドさん…」
二人はそう言い合うと、言葉なく見つめ合う。
「おにいちゃん、こわいことおこるの?」
その時、司の脚にディーがしがみついて来た。なにが起こっているのかわからないのだろうが、周囲の雰囲気で何かが起こっているのを感じ取ったのだろう。
「大丈夫だよ。お兄ちゃんが一緒だからね?」
「うん!」
元気よく頷くディーを抱き上げ頭を撫でると、ディーは嬉しそうに司に頬を擦り寄せ、そんな二人の姿を見てリッドは小さく微笑みながら司に寄り添うのであった。
そして、三人は馬車で今朝いた馬車宿まで戻っていくのだった。
ミハイエルさんの一言
「な、なんかイイ雰囲気ですし!?」
いかがでしたでしょうか?
何名かの方にご指摘ただいておりますあの部分は…、秘密ということで一つお願いします。
といっても、分り易すぎるかもですが…。
後、パラメーターが見難いかもしれない、という指摘がありましたが、他の皆様はどうでしょうか?
とても見にくいという方は、感想にでもお書きくださいませ。 (_ _)
ではまた。




