中田は事実を知りました
中田は朝の教室で考えていた
(「コノウラミハラサデオクベキカ・・・
ぜって~バラしてやる!覚悟しておけよ!田中!お前がした事は許される事ではない!
俺の女を・・・もとい好きだった子を奪いやがって!
でもどうする?俺が一人騒いだ所で俺が只のおかしい奴に成り下がるだけだ・・・
そうだ!田中が『メラもどき』を使う所をみんなに見て貰うんだ!
だがどうやって・・・見せてくれと言ってすぐに応じてくれるだろうか?拒否されたらホント俺は只のおかしい奴・・・
そうか!田中に2人きりと思わせて、みんなを隠れさせて・・・これだ!
フフフ、悪く思うなよ田中!これでお前はみんなに疎外され敬遠され・・・そしてどこかの組織の研究所に連れてかれるのさ!更にそこで実験のモルモットとして一生を終えるんだ・・・
それにしても田中遅えな?」)
中田は隣の席の柿沼に聴いてみる
「今日田中見た?」
柿沼が答える
「田中?知らね」
その話を聞いていた飯塚が割って入る
「田中君なら今日来ないよ~何か親戚のお葬式だって~私同じマンションだからたまたま会った田中君に聞いたの」
「ふ~んそっか」
仕方なく納得する中田
柿沼が不思議そうに聞く
「へ~恐怖の大王の親戚もフツーに死ぬんだな?」
「!?」
(「今何と~!!何でお前みたいなモブキャラが普通に物語の重要事項をサラッと知っている!!!
お前は事実を知った時に群衆に塗れて『マジかよ~』とか発するような立ち位置だろうが!
他の誰も知らない俺だけが知っていると言う重要な役を奪おうとしているな!
させんぞ!それだけは絶対させんぞ!」)
中田が心の中で叫ぶ
飯塚が普通に答える
「だよね、恐怖の大王の親戚なのに?って普通に朝聞いちゃったもん!」
「!!!!」
(「お前もかー!!何だこれは知っている奴が多すぎるだろ?それともたまたま知っている2人に遭遇しているのか俺は?何れにせよ聞かない訳にはいかんな?」)
「ねえ、恐怖の大王って?・・・」
中田が問いかける
「アレ?お前知らないの?田中って恐怖の大王なんだぜ!」
「そうそう!ってかこのクラスに知らない人が居るとは思わなかった~」
2人が答える
(「そりゃ遭遇するわ~!100%だもん!俺だけ知らない理由が知りた~い!」)
「で、何でみんな知ったの?」
困惑する中田
「あ~思い出した~!中田君確かその日インフルエンザで休んだでしょ~それで知らないんだよ~」
飯塚が遮る
(「んっ?インフルエンザ?そんなのここ最近かかった覚えがないんですが・・・最後にかかったの半年くらい前かな?」)
「もしかして半年くらい前?」
首を傾げながら中田
「そうだよ!それぐらい前だ!」
柿沼が返す
「で、何があったの?俺の居ない日に・・・」
中田が問い質すと答える柿沼
「ん~話すと長いんだけど・・・
体育の教師の田垣って居たじゃん?田垣いっつも竹刀持ってて『生活指導だ~』とか言って振り回してたろ?
その日の体育で持久走があってさ、例の如く竹刀で脅して来る訳よ!
けどさ、田中含め数人が一番後ろで気怠そうに走ってたんだけど、それ見て田垣ブチギレして持ってた竹刀でそいつ等全員叩いたんだよ
そんで田中がキレて指を一本空に翳したら田垣目掛けて雷が落ちて来たんだよ!それも晴れた日にだぜ!
それで授業は中止、自習になったんだけどその時に田中が前へ出て来て
アレは『天空の神々の怒りの鉄槌』とか何とか言う技で田垣に天罰を与えたって
まあ、俺らも田垣嫌ってたし一応奇跡的に一命は取り留めたらしいし教師辞めて田舎で漁師の手伝いしてるって言うしまっいっかって感じ」
(「ホント長いよ!どっからツッコめばいい!ネーミングセンスのない技の名前からか?
いや、流石に田垣に触れてやろう・・・ってそう言えば俺が登校したら体育の教師変わってた~
誰も説明しないからまっいっかで済ませてた~そんな事あったなら説明しろよ~俺の方がモブキャラなのか?~物語は半年前から始まっていたって事か~取り残されてたのは俺だけか~!!」)
また心の中で叫ぶ中田
「ほ、他に休んでてこの事知らなかったヤツとかって居ないの?」
「んー・・・溝口とか?アイツ引き籠りだしその日も居なかったんじゃない?」
柿沼が答える
「ホントか!」
中田が少し喜ぶ
「あっ!でも溝口君知ってるかもよ?だって小学校とか一緒だったしあの2人仲良かったし!因みに私も同じ学校!」
飯塚の言葉に追い込まれる中田
「い、一応聞いて来る・・・溝口の家教えて?・・・」
「良いけど?・・・そんなにショック?」
飯塚が聞き返す
「ショックではないけど~俺だけ知らなかったってのは何かね~イラッっと来るよね~」
ショックを隠し切れない中田
飯塚から溝口の家を聴きだし放課後に行く事にした
(「待ってろよ溝口!絶対に知らないでくれよ溝口!」)
中田は授業中もずっと考えていた




