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恐怖の大王  作者:
10/10

田中の彼方 中田の高菜

放課後になると中田は急いで溝口の家へ向かう事にした


(「勢いで溝口の家に行くのは良いのだが俺アイツと話した事もないし況してやアイツの顔すら覚えてね~!

だが田中の事を聴くだけだ!それを聴いたらすぐに帰ればいい、ただそれだけだ・・・

でも何か不安だな・・・そもそも家に入れてくれるのか?・・・あっ!下の名前も知らね~や!

インターホン越しでも良いから出てくれると良いんだけどなぁ・・・」)


そして溝口の家へ辿り着いた中田はインターホンを押した


ピンポーン


「はい、どちら様でしょうか?」

多分母親だ


「すいません、溝口君と同じクラスの中田と言う者ですが溝口君は御在宅でしょうか?」

(「溝口さんに溝口君って言ってるし引き籠ってるのに御在宅か?って聴くのも何か変だな?」)


「ええ、少し待っててね?」


少し経つとドアが開いた

ガチャ

「どうぞ、お上がりになって」


促されるまま溝口の部屋の前まで来る


「溝口~俺中田だけど~覚えてる~?ちょっと話良いかな~?」

中田がドア越しに話し掛ける


静にドアが開く


「何?中田君が何か用?」

溝口が出て来る


(「意外とあっさり開けたな・・・」)

「入って良いか?」

中田が聴く


「うん・・・良いよ・・・」

溝口の部屋の中に招かれる

「適当に座って・・・用は何?」


「用って大した事はないんだけど・・・田中分かる?」

少し遠回しに聴く中田


「田中君?知ってるけど?それがどうしたの?」


「田中ってちょっと妙な所なかった?」


少し間が開いて話し出す溝口

「遂に君は辿り着いたのかい?彼の本当の姿に・・・」


(「何か口調が変わったな・・・」)

「まあ・・・その・・・アレだ・・・」

上手く言葉に表せない中田


「彼は・・・この世の全てを司る神だ・・・そして僕らは彼の歯車でしかない」

遠い目をして話す溝口


(「やっぱり全部知っているんだなコイツ・・・結局知らなかったの俺だけって事か~」)

「やっぱり・・・知っているんだな・・・」


「あぁ・・・もう僕らは・・・えっと・・・何だっけ?」

慌てて何かノートみたいな物を取り出し確認する

「あぁ・・・もう僕らは・・・」


「ちょっと待て!それ何?」

中田が遮る


「まだ途中だったのに・・・」


「それは何だ?」


「コレ?・・・はい」

ノートを渡す溝口


ノートを受け取り開く

「・・・田中が書いたの?」


「うん・・・中田君が来たらこれを演じてくれって・・・」


「田中って結構来るの?」


「来るよ、週に一、二回は」


「何でこんなもんを?」


「最近、君にアノ事話したから近い内にココに来ると思うからって」


「何で俺が溝口んち来るって解んの?」


「最近になって中田君だけアノ事知らないのに気付いたから話したらしいんだけど中田ならそれに憤慨して他に知らない奴を探すんじゃないかって思ったみたい」


「見事に予想通りの男だな俺は・・・」


「そうだね」



中田は溝口の家をあとにし家路を辿る

すると

田中の声がした

「中田?奇遇だな!」


「葬式の帰りか?」


「おう。」




「田中に一つ聴きたいことがあるんだけど・・・」


「何だ?言ってみろよ?」


「結局田中って何なの?」


「中田も変なこと聴くな?





俺は恐怖の大王だよ」

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