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そらいろ  作者: 岡野沙耶
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プロローグ

先のアカウントで投稿していた作品に加筆修正を加えた者です。

ログインができなくなってしまったため、新しいアカウントでの投稿となっております。


旧アカウント名

矢乃麻瑚→岡野佐夜


上記アカウントは岡野沙耶と同一作者です。

 赤が、広がっていく。周囲の音が、全て消し去られたようになんの音も響かなくなった。分かるのは、手に触れている冷たく、どろりとした液体。彼は自分の両手を見つめる。

 赤。さっきまでぬるりと手を滑り落ちていたものが、いまは硬く凝り固まっている。

「なぜ……」

 この忌み色を、空のようだと言ってくれたあの人が、もういない。

 この手で、あの優しい笑顔を奪ってしまった。

「クウロさま!!」

 悲痛な顔をした少女の悲鳴にもにた叫びが心に刺さる。

 彼女も、あの方を慕っていた。

 視界は全てモノクロに変わって。時の流れが緩やかに変わる。思考が、視界についていかない。

「……貴様が、神子を名乗る資格はない」

 女は、剣をこちらにむけ、憎悪を向けてくる。この人も、彼女を愛していた。

 目の前に倒れているそれに、そっと手を伸ばす。手がますます、赤に染められていく。

 温もりが少しずつ、温かみを失っていく。さっきまで目の前で笑っていたソレが、動かなくなる。

「私が、殺した……」

 呟くように吐き出した言葉は、そして心の奥底で響くような絶叫のようにも取れるほどに低く、恐ろしい音を奏でていた。

 視界は黒く染まり、やがて瞳にはなにも映らなくなる。

「クウロさま、クウロさま!!」

 こちらに向かって必死に手を伸ばす少女。だが数人に抑えられ、こちらに来る事が叶わない。必死に叫ぶ声が聞こえる。だが、それが誰の声だったのかすら、彼にはもうわからなくなった。

「私が……」

 現実を受け入れない弱い心は、肉体から思考を奪う。それがやがて魂の奥底に根をはり、絡みつく。逃れられない、罪として。


――覚えているのは、赤い罪。



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