夢の中のうた
あゝ、わたしはあなたのことが
大好き、ですよ?
そんな声が聴こえたのさ、たしかに
すべてに正しい
ひとを助けることがじぶんの生きる道だと
信じ込み
生まれ持った異能力で
ほかのひとを助けることで幸せを感じる
そんな心の綺麗すぎる彼女に
惚れてしまったんだ
初めて会って
ひとことふたこと会話を交わして
彼女がわたしに好意的だとわかって
それで心の中にさざなみが立って
さらに喋りつづけるうちに
彼女の大ファンになり
彼女のことが心が捩れるくらいに
好きになってしまった
こんなことって
ホントにあるの?
それで彼女と連絡を取り合って
ゆうじんみたいな関係になれたことが
誇りみたいな満足感を与えてくれた
悲しいくらいに惚れてしまっている
じぶんじしんを自覚するしかなかった
そしてその甘ったるい
夢の中のような関係が
このままつづけばいいと祈るように希った
それが
敗北だった
彼女はわたしのことを好いていてくれた
それはほんとうのことだった
だけれどもそれと同じように
あらゆるひとのことを好いていたのだと
むろんたぶん初めから
知っていたんだと想うのだけれど
じぶんでじぶんを騙すみたいに
じぶんが彼女のトクベツなんだと
なんとか信じ込もうとしていたのだ
だけれどもそんなこともなく
そんな関係など彼女には不要なので
いつも輝くようにニコニコ笑って
みずからも幸せだし
周りのひとも幸せにする
そんな光り輝く太陽の笑顔だった
それが
敗北だった
あゝ、今も彼女のことは
好きだよ
だって彼女のこと
嫌いになるためには
神さまに叛いた堕天使ルシフェルの如き
地獄の業火のような嫉妬心を
その胸に棲まわせた
異常者でも無い限り不可能なんだろうな
あゝ、今も彼女のことは
好きさ
けれどもかなしいけれど
わたしはたったひとつの黄金色の真実を
彼女に教えてもらったのさ
惚れたら、負け
惚れさせたら、勝ち
あゝ、誰もみていない真夜中に
声をこらえて泣いたこともあったよ
唇を強く噛み締めながら
なぜ笑顔になるのかわからないまま
笑いながら泣いていた
そんな漆黒の部屋の中で
あゝ、彼女の存在が
実は夢だったらいいのにな
そんな風にけんめいに祈っている
夢をみた




