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時時  作者: 七賀ごふん
二泊

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14/21

#3



「ほら、もう慣れた」

後ろから優しく抱き締められたかと思えば、ついばむように首筋に口付けをされる。

「大丈夫?」

「……大丈夫じゃないです」

「ごめんごめん」

胡内は無邪気な笑顔で手を合わせた。

「お風呂入ったの、初めてでしょ?」

本来なら、有り得ない質問。しかし耶神は目を逸らして頷いた。

「この辺り、温泉とかはなかったんだ?」

「そうですね。教えてくれる存在もいなかったし」

そもそも人がいなかった。自分には母しかいなくて。

「兄弟も友達もいないの? 生まれてからずっと、ひとりで神社に?」

ゆっくり頷いた。と同時に、脱衣場の方で音がした。


「胡内さーん? お湯加減大丈夫ですか?」


宿の主人だ。中を覗いたりはしないと思ったが、耶神は反射的に浴槽の中にしゃがんだ。

「ありがとうございます、大丈夫です」

胡内は明るく答える。主人の返事の後、去っていく足音が聞こえた。危なかった……。

ほっとしてため息がもれる。

「危なかったね。お風呂に入るとは言ったけど、客を連れてきてるとは伝えてないんだ」

「えぇっ! それ見つかったら大変ですよ! お風呂代払わなきゃ」

「いーのいーの。“二人”にはカウントされないんだから。そもそも“一人”ですらない」

矛盾した不可解な言動。しかし何故か、彼の言葉の意味が分かる気がした。

いや……言葉だけじゃない。彼という存在が。




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