八章 レイニの死を解く羅針盤
「世界教皇様!!」
黒鞘に納まった刀を持ったソラは勢いよくドアを開けてそう言った。
「そんなに慌ててどうしたの?」
華がそう言うとチンッという音が鳴り響いた。
「臭いは?」
アイリアはソラを見てそう言った。
「なくなってます」
ソラはアイリアを見てそう言った。
「談話の時間は終わりましたよ」
華はそう言うと立ち上がって聖書を持った。
「どこに行くの?」
アイリアは華を見てそう言った。
「帰るの。定時だから」
聖書を持った華はアイリアを見てそう言うと足早に部屋から出ていった。
北華御所に行って庭を見る。
見慣れた縁側・・・でも、意識が乱れて詳しいことを思い出せない。
ここで何をしていたのか、今は思い出せない。
私を青白い泥沼に引きずり込んだ存在・・・あいつが使う術のせいだ。
「お!居た居た」
袋をぶら下げた白翔は華を見て笑みながらそう言った。
「兄さん・・・」
華は白翔を見てそう言った。
「どうしたんだい?何かあったのかい?」
白翔は華を見てそう言うと華の隣に座った。
「今日、テルメスに出会った」
華は白翔を見てそう言った。
「奴に会ったのか!?どこで!!」
白翔は驚きながらそう言った。
「兄さん、落ち着いて聞いて」
「あぁ・・・」
白翔は華を見てそう言った。
「今からパパの所に行って白色の界を見たって伝えてきて」
「・・・わかった。伝えてくる」
白翔はそう言うと途轍もない速度で飛んでいった。
「間に合うだろうか・・・」
華はそう言うとゆっくりと寝転がった。
体から力が抜けだす感覚がなくなった。
私が瞼を開けるとそこにはパパと兄さんとビーが居た。
「パパ・・・兄さん・・・」
華はそう言いながら起き上がった。
「とりあえず、目を覚ましてよかった」
梨々香は華を見て笑みながらそう言った。
「殿下の物と思われる神気が渦を巻きながらここに集まりました。間違いなく六百年前のあの術と同じものです」
銀色の輪がいくつもついた三角帽子を浅くかぶったビーは羅針盤を見せながらそう言った。
この羅針盤は周りの大魔陰水晶で奴の術を惑わし、中心の聖陽水晶で奴の術が運ぶ神気を吸収するという装置だ。
六百年前もこの羅針盤で神気を取り戻した。
「パパ、極東に剣神モニークが居るってテルメスが言ってた」
華は梨々香を見てそう言った。
「そんなバカな・・・!森羅双神が不在になるということだぞ!?そんな状況、あの魔女が許すはずがない」
白翔は華を見て驚きながらそう言った。
「テルメスは青白い沼の少女の眷属になった。テルメスが私の問いにそう答えたの」
華は梨々香と白翔を見てそう言った。
「青白い沼の少女?」
白翔は華を見て首を傾げながらそう言った。
「六百年前、西大陸特別調査隊を襲った者・・・それが青白い沼の少女です」
梨々香は白翔を見てそう言った。
「土と雨の臭いは?」
梨々香は華を見てそう言った。
「した。奴の神気からも白色の界からも」
華は梨々香を見てそう言った。
「待てよ・・・?黒式の加護を打ち消せるような存在って・・・」
白翔は梨々香と華を見て冷や汗をかきながらそう言った。
「どこに存在しているか判明していなかった四柱目の現人神が判明しましたね・・・」
梨々香は華と白翔を見てそう言った。
「白魔を追おう。現人神が召喚したものなら神気の密度も量も凄まじいはず」
華は梨々香を見てそう言った。
「そうですね。イクイノックス級三番艦フカマに所属する居住船の管理権限をイクイノックス級二番艦、ギャップに。イクイノックス級三番艦フカマを使用して外界に出た白魔を本格的に追います」
「白魔を使えば大界門が比較的簡単に開けるかもしれません」
梨々香は華と白翔を見て笑みながらそう言った。
中央剣士団に再び集められたヒルデガルトたちは部隊の再編を告げられる
次回
九章 再編、統制討伐隊




