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七章 青白い沼の少女の眷属

二人の勇者が帰った後、私は不快な臭いを嗅ぎながら聖書を見始めた。

かつての仲間たちの死、友人の死、家族の死、様々な死の記憶が私の瞼を刺激する。

「今日は妙に臭うわね。年の初めでもないのに死者が帰ってきているのかしら」

華は聖典を見てそう言った。

「ここにはそんな文化があるのね」

青眼、ブロンド髪ロングヘア、銅色のミニドレス調のワンピースを着た乙女のような女性、テルメス・クレイス・ガンズは小さな小説本を見ながらそう言った。

「砲神が神護国に入れるのなら、剣神であるモニークも入れるということね?」

華はテルメスを見てそう言った。

「入れないよ。ここへ近づくどころか、極東の居城からも出られない」

テルメスはそう言うと小さな小説本を閉じた。

「極東・・・?」

華は首を傾げてそう言った。

「あぁ、極東に居るって知らなかった?」

テルメスは華を見て笑みながらそう言った。

「全く」

華はテルメスを見てそう言った。

「あの神様、義理の姉なの。聞かなかったことにして」

「しっかりと対策させてもらうわ」

「華砂羅に負けるような神様なんだよ?そんなに対策したら可哀想だと思わない?」

テルメスは立ち上がってそう言った。

「・・・森羅双神と呼ばれる神が落陽の勇者に??」

「そう。しかも、英雄の剣を使っておきながら負けた・・・」

テルメスは飾られている写真を見ながらそう言った。

「あんなのが私と同格なんて考えていると痛い目見るわよ?」

テルメスは華を見て笑みながらそう言った。

「あなたは剣神モニークと違って強いと?」

「えぇ、梨々香たちがまとめてかかってきても相打ちに持ち込めるくらいには強い。七陽の勇者になんて負けはしないわ」

テルメスは笑みながらそう言った。

「・・・突然だけど、神って死ぬ時、神気が一気に抜け出すじゃない?」

華は頭を抱えてそう言った。

「そうね」

テルメスは楽しそうに言った。

「その時、雨と土の臭いがするの」

「うん」

「私が"青白い沼の少女"と出会った時も同じ臭いがした」

「うんうん」

「そして、今、あなたからその臭いがする」

華はテルメスを見てそう言った。

「そりゃ、あなたたちが"青白い沼の少女"と呼ぶ存在の眷属だもの」

テルメスは華を見て笑みながらそう言うと華の胸に触れた。

「・・・また妙な術を私にかけたわね・・・?」

死魔女(しまじょ)レイニが使っていた死の魔術だよ。こんなので死ぬとは思っていないけれど、少しの間戦闘不能にはできるはず」

テルメスは笑みながらそう言うと、突如生まれた白色の界に向かって歩き始めた。

「これからあの子たちは今まで経験したことが無いような恐怖と絶望を経験することになる。あの子たちがどう乗り切るのか楽しみだ」

界の中に入ったテルメスが華を見て笑みながらそう言うと白色の界が閉じた。

次回

八章 レイニの死を解く羅針盤

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