三章 色褪せぬ記憶
おすすめの品を買って紅雷・柚奈と別れた私は華と共に北華邸に行ってお酒を飲んだ。
華は少し酔ったのか、私に普段はしない質問をしてきた。
「七陽の勇者って強いの?」
華はひれを炙る梨々香を見てそう言った。
「強いよ」
梨々香は華を見て笑みながらそう言った。
「どれくらい?」
「七人集まれば砲神テルメスにだって勝てる。それくらい強い」
梨々香はひれ酒を作ってそう言った。
二代目七陽の勇者から今まで様々な勇者を見てきたが、現代の七陽の勇者は良くない状態だ。
あの子たちは師匠たちのように強くなれるのだろうか。
-回想-
「あなたが・・・虚空の輪郭・・・」
神刀華炎を握った梨々香は砲神テルメスを見て驚きながらそう言った。
「・・・バレちゃったか・・・」
青眼、ブロンド髪ロングヘア、銅色のミニドレス調のワンピースを着た乙女のような女性、テルメス・クレイス・ガンズは梨々香を見て笑みながらそう言うと浮かび上がった。
「もっと一緒に楽しみたかったな~!!」
テルメスが砲神眼を開眼させてそう言った瞬間、空が蒼白く輝いて渦巻いて陽光のように眩しい光が地上に降り注いだ。
私たちに神気風を感じた時には町を歩く人も空を飛ぶ鳥も川を泳ぐ魚も蒼色の神気結晶になっていた。
「任せて良いか!?」
最上大業物落陽淵崩を握った華砂羅は白丸を見て大声でそう言った。
「良い!!」
最上大業物天現烏輪を握った白丸は渦巻く空を見てそう言った。
「天現!!」
最上大業物天現烏輪を握った白丸はそう言うと黒い翼を生やした。
「烏輪、全療の華翼」
白丸はそう言うと地面に最上大業物天現烏輪を突き刺して超回復陣を展開して砲弾の雨を受けた七陽の勇者を即座に回復させ続けた。
地上の建物は全て破壊され、巨大な着弾痕だけが残った。
あの時見た光景はあまりにも衝撃的で現実だとは思えなかった。
「ブランクショット!!」
テルメスは七陽の勇者を見て笑みながらそう言った。
さっきの攻撃が優しく思えるほどの衝撃波が地上に降り注ぎ、超回復陣が一瞬にして破壊された。
しかし、師匠たちはそれでも諦めることなく剣技で飛んでくる衝撃波を相殺していった。
「天道!六輪一閃!!」
最上大業物日炎を握った三郎は一瞬でテルメスに接近して剣技を放った。
「遅いわね。そう言う奴はどうせ強力なカウンター技を持っているんだけれど」
剣技を避けたテルメスは三郎を見て笑みながらそう言った。
「お主、今まで戦ってきた輪郭たちとまるで違うな」
最上大業物日炎を握った三郎はテルメスを見てそう言いながらテルメスの攻撃を受け止めていく。
「偽物から生み出された出来損ないと本物から生まれた完成品を一緒にしちゃダメだよ」
テルメスはそう言いながら蒼色の光る砲弾を放った。
「天道!轟火舞ッ!!」
最上大業物日炎を握った三郎は飛んでくる蒼色の光る砲弾を剣技で粉砕していく。
「凄まじい力だね!」
テルメスは飛んでくる炎の斬撃を避けながらそう言った。
「どうだ!人間も素晴らしいだろう!?」
最上大業物日炎を一振りした三郎はテルメスを見て笑みながらそう言った。
「えぇ、人間というのは素晴らしい。人間は気持ちと根性だけで神に抗える」
テルメスはそう言うと両手を広げた。
その直後に吹き荒れた蒼色の神気風は体が引き裂かれるかと思うほど強かった。
次回
四章 打ち破られることがない思いと意思




