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十七章 華が大好きな食事

午後七時。

食堂に集まって夜ご飯が始まった。

夜ご飯は梨々香陛下お手製のイワシの塩干らしい。

このホッカイフトイワシを使って作られた巨大なイワシの塩干は華千﨑家でよく食べられてるらしい。

「ホッカイフトイワシってそこまで美味しいと思わないんだよね」

ヒルデガルトは焼かれたイワシの塩干を見てそう言った。

「ホッカイフトイワシって中央だとまだ売ってるの?」

カスミは焼かれたイワシの塩干を見て笑みながらそう言った。

「売っているよ。前よりは高いし、少ないけれど」

華はそう言いながら手を合わせた。

「いただきます」

華は笑みながらそう言うと箸を握ってイワシを器用に解体し始めた。

「いただきます!」

カスミは手を合わせて笑みながらそう言うとイワシにかぶりついた。

「うぅンまい!!」

カスミは目を輝かせながらそう言った。

「懐かしい味だ~!」

カスミはイワシを皿の上に置いてそう言うと箸を握って白米を食べた。

カスミ叔母さんのこんな姿、初めて見た。

カスミ叔母さんって完璧で何でもできるスーパー人間だって思ってたけど、子供らしいところもあるんだな。

なんか、人間らしくて好きになった。

殿下も殿下で楽しそうに食べるな。

今までの殿下の笑顔って張り付けられてたみたいだった。

あんな豪華な料理を見てもちっとも嬉しそうじゃなかった。

でも、イワシ一匹で笑顔になっちまった。

この笑顔は今までとは違う。なんか、心の底から嬉しそうな笑顔だった。


食事が終わると私たちは四人で部屋に戻った。

カスミ叔母さんは新聞読んでてヒルデガルトさんはお風呂入っててソラは布団でゴロゴロしてる。

「なぁ、カスミ叔母さん」

キャリッシュはカスミを見てそう言った。

「ん~?」

カスミは新聞を読みながら返事をした。

「殿下って白梅陛下と仲悪いの?」

「そんなわけないじゃん」

カスミはキャリッシュを見てそう言った。

「どうしたの?突然」

カスミは新聞を読みながらそう言った。

「白梅陛下が用意したご飯を食べる時は嬉しくなさそうだったのに、梨々香陛下が用意したご飯を食べる時は嬉しそうだった」

キャリッシュは天井を見てそう言った。

「私も同じような経験があるからさ、仲が悪いんじゃないかって思ったんだ」

キャリッシュはカスミを見て笑みながらそう言った。

「仲が悪いんだったら二人で食事なんてしないと思うよ?」

「まぁ、そりゃそうだ」

「殿下、出撃前に西華御所で白梅陛下と食事していたんだ」

「へぇ~。じゃあ、なんであんなに反応違ったんだろう」

「堅苦しい食事が嫌いなんだと思うよ?庶民の味というか、家庭的な味というか、そういうのが好きなんだよ」

「華千﨑家の食事か・・・何か、逆に贅沢だな」

「そうだね」

カスミはキャリッシュを見て笑みながらそう言った。

次回

十八章 大陸東部旧月浜エリアへ突入

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