十三章 出撃、迫る
同年、六月十日。
神護国南部に殿下が来た。
もちろん、結界を修理するために。
「この後ご飯行かない?いつもの店」
ミッケは聖書・原典を開く華を見て笑みながら言った。
「いいですよ」
華はそう言うと祈り始めた。
「よし、じゃあこの後すぐ行こう」
ミッケは華を見て笑みながらそう言った。
カーリン親子と共に訪れた料理屋の名前はレストラン・レミリア。
伝説のシェフの弟子が創業したピタと揚げ物とジンが美味しい店。
神護国南部の民が愛してやまない憩いの場なの。
「そっちは剣神モニークで確定なんだね」
ミッケは華におしぼりを渡しながら言った。
「うん」
華はおしぼりを受け取ってそう言った。
十数分の間料理を待っていると、料理が来た。
ミッケはホタテのピタを注文し、キャリッシュはビーフピタを注文したようだ。
私はタイのピタ、飲み物は全員シャマスソーダだ。
「いただきます」
ミッケたちはそう言うと食事を始めた。
「最近、入団一年未満参加不可の国外調査が増え過ぎじゃね?」
ビーフピタを持ったキャリッシュは華を見てそう言った。
「テルメスが現れたからこれからも増えていくわよ」
華はタイのピタサンドを見ながらそう言った。
「新米剣士が育たなくて困ってんだよ。闇化生物討伐シミュレーションとか作ってくれない?」
「検討してみます」
「テルメスの眷属って強いの?」
ホタテのポタサンドを持ったミッケは華を見てそう言った。
「テルメスの眷属は発見されていない。だから、わからない」
華はミッケを見てそう言った。
「そういえば、ラーフィアの眷属が見つかったっていう記録もないよな。暗黒神自体眷属を持たないとかあったりして」
キャリッシュは華を見てそう言った。
「梨々香陛下が言及しないということは、キャリッシュの憶測もあっているかもしれないね」
ミッケはキャリッシュを見てそう言った。
「聞いてみようか?」
華はそう言うとタイのピタサンドを食べ切った。
「そうだね、聞いておいてくれる?」
ミッケは華を見てそう言った。
「わかった」
華はそう言うとグラスを持ち、ストローを支えてシャマスソーダを飲んだ。
同年、六月十一日。
私は華千﨑御所に戻ってミッケが抱えていた疑問をパパに聞いてみた。
「テルメスの眷属って強いの?」
華は梨々香を見てそう言った。
「テルメスに眷属は居ないよ」
梨々香は華を見てそう言った。
「今後、眷属を作り出す可能性は?」
「ないとは言い切れない」
「テルメスが眷属を作り出したとしたら、強い?」
「強いでしょうね」
「どうしてそんな質問を?」
梨々香は華を見て笑みながらそう言った。
「ミッケが心配してたんだよ」
「なるほど」
「・・・パパ、ヒルデガルトをテルメス調査隊に入れない?」
「どうしたんですか?急に」
梨々香は華を見て少し驚きながらそう言った。
「スレハム教会に現れたテルメスの行動がどうしても気になるんだ」
「・・・詳しく話してもらえますか?」
「テルメスは飾られている写真を見ていた。じっくりと・・・何か探すように」
「どんな写真ですか?」
「星空の写真と天星ナハトの眷属印、ヒルデガルトに関するものだった」
「ヒルデガルトに関するものを・・・?」
梨々香は考えながらそう言った。
「もしかしたら、青白い沼の少女はヒルデガルトを狙っているのかもしれない」
「ヒルデガルトを・・・なぜ?」
梨々香は華を見てそう言った。
「わからないけど、思い出せば思い出すほどテルメスの行動に違和感があったの」
「・・・確かに少し不安ですが、これ以上の変更は作戦に影響が出てしまう。だから、これ以上の編成変更はできない」
「・・・そうだね・・・」
華は色々と呑み込んでそう言った。
「みんなを任せましたよ」
「私にできるかな?」
華は梨々香を見て不安そうに言った。
「華ならきっとできます。華はパパとママの自慢の娘だからね」
梨々香は華を見て笑みながらそう言った。
次回
十四章 出撃、統制討伐隊




