十二章 再会する梨々香とテルメス
同年、五月十五日。
柱の修繕を終えた私は西華御所でのんびりと食事を始めた。
今日は久しぶりにママと一緒なの。
「お仕事忙しい?」
眉を顰めた華は心配そうに言った。
「今は忙しいけれど、もうすぐ暇になる」
黄眼、白髪ロングヘア、薄青色の着物で身を包んだ女性、華千﨑 白梅は華を見て笑みながらそう言った。
今日のご飯はママが呼んだ一流シェフが作る西照雷料理。
西照雷料理は数百種類の調味料と食材を合わせて作る料理だ。
愛飲されてる酒は花酒。色々な花を漬け込んだ蒸留酒。
でも・・・シェフがガチガチに緊張していると落ち着いて食事できない。
ママが怖いのはわかるけれど、そこまで怯えることないじゃない。
「美味しいね」
箸を握った白梅は華を見て笑みながらそう言った。
「うん、とっても」
箸を握った華は白梅を見て笑みながらそう言った。
「部屋から出ていなさい。精神が傷ついてしまうわ」
白梅はそう言うとシェフを見た。
「は、はい!」
シェフが逃げるように部屋から出ると同時にウェンディが部屋に入って来た。
「ママ、神護国にテルメスが入ってきた」
箸を握った華はそう言うとエビチリを食べた。
「テルメスというのは北方の勇者がレムフィトで遭遇したっていう暗黒神ね?」
箸を握った白梅は華を見てそう言った。
「そう」
箸を握った華は白梅を見てそう言った。
「パパには報告した?」
「うん、パパと兄さんとビーが知っている。兄さんが七陽の勇者数人を連れてテルメスの行方を追うって」
「華も白翔も油断せず、最大限気を付けるように」
「うん、気を付ける」
華は白梅を見て笑みながらそう言った。
午後一時二十六分。
午前の仕事を終えた私はカフェで休憩し始めた。
私は紅茶とアップルパイを注文してバルコニー席に座った。
北燦雪も寒さが和らぎ、そろそろ春が訪れそうな陽気になってきた。
私がティーカップを持ったその時、向かいの席にティーカップが置かれて誰かが座った。
「・・・まさか、逃げも隠れもせず私の前に現れるとは驚きましたね」
ティーカップを持った梨々香はそう言うとお茶を飲んだ。
「懐かしい気分でしょう?初めて会ったのもこんなカフェだった」
テルメスは梨々香を見て笑みながらそう言った。
「懐かしい気分です。あなたが奴の眷属でさえなければ、私は間違いなくあなたに恋をし続けていた」
梨々香はテルメスを見てそう言った。
「そんなに怖い目をしないで」
ティーカップを持ったテルメスは笑いながらそう言うとお茶を飲んだ。
「あなたがあの俗世さえ渡してくれていれば私たちは結ばれていたんだよ?」
テルメスは梨々香を見て笑みながらそう言うとティーカップを置いた。
「奴の眷属と結ばれるつもりはない」
「じゃあ、奴の眷属じゃなくなったと言ったら?」
テルメスは梨々香を見て笑みながらそう言った。
「何になろうと過去の罪は消えない。お前たちが行った悪行の数々、そして、その被害・・・狂気という言葉では足らないほどだ。必ず私たちと共に煉獄に墜ちるだろう」
「・・・ショックだな~・・・手を繋いで一緒に海を楽しんだ相手にそんなこと言われるなんて」
少し黙ったテルメスは梨々香を見て笑みながらそう言った。
「食事を終えたら挨拶するんだったね」
お茶を飲み終えたテルメスは立ち上がってそう言った。
「ごちそうさま」
テルメスはそう言うと去っていった。
結界の修理を行うため南煌炎地方に訪問した華はミッケ・カーリン親子と南煌炎でのんびりと食事をする
次回
十三章 南煌炎で食事
 




