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第8章 逃亡の果てに

宇宙の深淵を切り裂くように、脱出ポッドは星間の闇を漂っていた。

高城蒼一は胸の鼓動を感じながら、隣にいる第三王女アーシェの姿を見つめていた。

彼女の瞳は疲労と決意が入り混じり、しかし確かな強さを秘めていた。


「ここからが本当の戦いの始まり……」

王女の声はかすかに震えていたが、揺るがぬ決意がそこにあった。


帝国軍の追撃艦隊は、脱出ポッドの座標を追って高速で接近していた。

残された時間はわずか。逃げ切るためには、何としてもゼル=レクスの援護が必要だった。


無線を通じて、辺境担当官ジル=スパークの落ち着いた声が聞こえてきた。

「こちらスパルタ号。座標捕捉完了。速やかに回収に向かう」


ジルの私用艦は小型ながらも高性能で、彼は己の意志を胸に秘め、二人の救出に全力を注いでいた。

かつては敵対していた男が、今や彼らの味方となったのだ。


蒼一は己の中で目覚めつつある未知の力を感じていた。

ゼル=レクスとのリンクによって、身体の機能は限界を超え、神経と意識が拡張されている。

だがその代償は、まだ彼の身体に隠れた影として潜んでいた。


やがて、彼らを乗せたスパルタ号はゼル=レクスの近くに到達し、巨大な銀色の艦がゆっくりと動き出す。

長い眠りから覚めたゼル=レクスは自己修復機能を発動し、艦の内部機能を次々と復旧させていった。


再び艦内に戻った蒼一と王女は、互いに確かな絆を感じ、銀河の未来を共に背負うことを誓い合う。

しかし、帝国の執拗な追撃は続き、銀河の闇は彼らを容赦なく追い詰めていた。


逃亡の果てに待つものは何か。

それはまだ誰にも分からない。だが、二人の胸に宿った炎は、どんな暗闇も照らし続けるだろう。


「これが俺たちの戦いの始まりだ」


蒼一はそう呟き、銀河の星空へと視線を向けた。

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