第7章 裏切りと救出
帝国軍の艦隊が迫り来る暗い宇宙空間の中、アーシェ第三王女は艦橋で深刻な表情を浮かべていた。
数日前に受け取った報告には、ゼル=レクスと高城蒼一が、帝国の手に落ちる危険性が高まっているとあった。
しかし、その情報の真偽は疑わしく、王女自身も葛藤に揺れていた。
「これは罠かもしれない……」
彼女は自分の判断に自信が持てず、重い決断を迫られていた。
それでも、立場上、誤った情報に基づき蒼一を捕縛せざるを得なかった。
「あなたには降伏してもらいます」
冷たく響く命令の言葉に、蒼一の瞳にはかつての王女の優しさが一瞬よぎった。
彼の胸に去来するのは、彼女との初めての邂逅の記憶だった。
捕縛され、監獄艦へと連行される蒼一。
ゼル=レクスとの精神リンクは強制的に遮断され、彼は孤立した存在となった。
だが、肉体を蝕む疲労と痛みの中でも、彼の精神の深奥には断片的に艦の記憶が残り、希望の火は消えていなかった。
一方、第三王女は密かに入手した情報と、フェリクサール族の少女からの密書によって、事態の真実に気づき始める。
「彼は悪人ではない。利用されているのは私たちの方だ」
王女の心は激しく揺らぎ、裏切りの疑念が信頼へと変わっていく。
彼女は自らの命をかけ、帝国の陰謀を暴く決意を固めた。
脱出の夜。
王女は精鋭部隊を率い、監獄艦へと潜入。
監視網をかいくぐりながら、蒼一の拘束を解き放つ。
「私たちは、これからも共に戦う」
二人は再会の瞬間、これまでにない強い絆を感じ取った。
しかし、自由の身となった瞬間、帝国の追撃部隊が迫り、彼らの逃亡劇は続いていく。
銀河の闇がさらに深まる中、蒼一と第三王女の戦いは、新たな局面を迎えるのだった。