第4章 揺らぐ秩序
銀河評議会の会議室は緊迫した空気に包まれていた。
複数の勢力が、かつて伝説と化した超古代文明の戦艦、《ゼル=レクス》の存在を把握し始めていたのだ。
「フォーリナー級遺物が再起動したとは、これはただ事ではない」
帝国代表が重々しく告げる。
「我々の制御下に置くことが最優先事項だ。放置すれば銀河の均衡は崩壊する」
評議会の長老が厳しい口調で返した。
連合代表は眉をひそめた。
「争いは避けたい。しかし、この艦がどのような力を持つのか未だ不明だ。我々も準備を急がねばならない。」
会議室の外では、銀河の闇で動く犯罪ネットワークの影も急速に動き始めていた。
伝説の艦の復活は、帝国や評議会だけでなく、裏社会にも新たな波紋を広げていたのだ。
一方、ゼル=レクスとのリンクにより身体に異変を感じ始めている高城蒼一は、窓の外に広がる銀河の星々を見つめながら、自らの運命の重さを噛み締めていた。
「俺は……何者なんだ?」
蒼一の意識は艦のAIと深く繋がり、肉体の変化は加速していた。
彼の内に芽生えた未知の力は、彼をもはや“普通の人間”ではなくしつつあった。
しかし、その力は同時に彼の命をも蝕みかねない危険なものだった。
銀河各地で《ゼル=レクス》の存在を察知した勢力は、一斉に動き出す。
それは、壮大な追跡劇の幕開けを告げていた。
蒼一は逃亡を決意し、迫り来る帝国軍や評議会の監視網をかいくぐらねばならなかった。
彼の未来には、まだ見ぬ激しい戦いと試練が待ち受けている