3/10
第3章 邂逅:第三王女アーシェ
第3章 邂逅:第三王女アーシェ
宇宙辺境“第六外周帯”――
アーシェ王女が率いる調査艦隊は、謎の空間反応を探知し、未登録宙域へと進路を取った。
「……応答なし。だが、確かに“何か”がこちらを見ている」
戦闘を避けるための中立国所属であるにもかかわらず、王女の艦は異例の武装解除状態で漂っていた。
そして、そこで彼女は見た。空間の裂け目から姿を現す、**白銀に輝く流線型の艦影――《ゼル=レクス》**を。
王女の瞳と、艦内のブリッジに立つ蒼一の瞳が、遠く交差する。
その瞬間、互いの内側に「説明のできない何か」が宿った。
---
アーシェ第三王女は、蒼一の存在が単なる偶然ではないことを直感した。
彼女自身もまた、王族としての重圧と、銀河中立国の未来を背負っていた。
この出会いは、帝国や評議会に知られれば、即座に軍事行動を引き起こす可能性があった。
しかし彼女は、蒼一に淡い共感と、これから生まれる複雑な絆の予兆を感じていた。