第9話 それは宣戦布告だ
――闇夜を月光が照らす。
「ここからか……?」
「ああ、ここから送り出された」
俺たちは烏ヶ山神社の鳥居を前に立ち尽くす。これから戦争が始まる。神崩しと対神崩し科。二つの組織が対立し、殺し合う。
「バルザーヌ……!出てこい……!」
要がそう叫ぶと鳥居が変異し内側からゲートが開いた。
中から顔を見せた、バルザーヌだ。
鋭い目つき、高い背丈、鬼のような形相。見るだけで身の毛がよだつ。
「貴様、なんのようだ……まさか自ら処されに来たのか……?」
「死ね……!バルザーヌ……!」
「炎砲」
「待て!フレア……!」
フレアのヘル・バーストが放たれた。次の瞬間、激しい光が目を潰し、爆音が静かな夜に響き渡る。
「ルナレイン!」
一瞬の出来事だった。
光のように目に見えないスピードで、フレアの胸を切り裂く。
「んぐあッ!?」バサッ
「な……が……」
「フレア……!?」
俺は怒りでどうにかなりそうだった。何も考えずにマックスを出して、フレアを斬った奴に目掛けて殴りかかる。
「テメー、ぶちのめせ!マックス!」
「空気反発!」
しかしその拳は届かない。
まるで光が拳を遠ざけるように。
「月烈技迫……!」
その光は、これの胸部を目掛けて照らされた。しかし俺にはそれが見えた。世界がスローになって見えた。
「これが……我がマックスの新たな能力だッ!」
「名を託そう。我が能力」
「全力超躍ッだ!」
マックスフライ……!
俺はマックスの言葉を聞き、瞬時に頭の中に能力がよぎった。
空気を揺らがせ、時間を遅くする。
これがマックスフライの能力だ……!
「今度こそ……!空気反発……!」
遅くなった世界から、敵の顔に拳が当たる。その拳は奴の顔を引き寄せ、ラッシュを喰らわせる。
「グアっ……!?」シュッ……
しかし敵は急に消えた。
何故かわからなかった。
スローの世界でも認識できなかった。
「流石だ、黒野零……バルザーヌが危険視していただけあるな」
「我が名はルナドール……ルナドール・フィッシャーだ」
ルナドール……奴はそう言うと、再び消えた。するとバルザーヌが口を開いた。
「貴様ら、我々に反抗するのか?
反抗しなければ楽に殺してやるが……?」
「バルザーヌ……」
バルザーヌの言葉に要が答える。
要の顔は覚悟に満ち溢れた顔だった。
「これは……戦線布告だ……!バルザーヌ……!」
「罪の重力!」
「そうか……ならば死ぬしか道はないぞ……櫻堂要ェェェェェェ!」
「無限の死……」
「闇の暗殺爪……!」
影狼のシャドウヘイツはバルザーヌの胸を捉える。影狼の表情は勝利を確信した表情だった。
「傀儡月烈流・技迫」
――次の瞬間……
影狼の腕が吹き飛んだ。
一瞬の出来事すぎて、本人すら気付けなかった。
「はッ……!?」
「フォルトーヌ、アルス、イルスカ、カリガー。来い、戦争だ」
刀を持った男がそう言い放つと、鳥居から4人の人影が現れた。
その影に威圧感で押しつぶされそうになった。
しかし、戦うと決めたからにはやり切らなければならない。始末が悪いからな!
そして俺は、頭の中で決意を固めた。
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