第7話 そなたはフレア
――あれから数日……
少し悩んだが、やはりやるしかないと思った。俺もそうだが、戒や赫、焔も決意を固めてるんだ。
「ここか……?」
「ああ、影狼さんから提示された場所だ」
そこはごく普通のマンション……ではなくてその隣にあるボロボロの小さな建物。
「え……えぇ……本当にここかよ……?」
一番楽しみにしてた焔が落胆してる。そりゃ、もっとでかい事務所かと思ってた。
「いらっしゃい、少し狭いが入ってくれ」
背後から影狼の声が聞こえた。
「なあ、アンタ……ここが事務所か?」
「そうだね……期待してたのと違った……?」
いや……期待してたのと違いすぎる。むしろ期待しすぎたのか……?
一応国家公認の組織らしいが……
それなら国家から支援金とかないのか?そんなことを考えてると扉が開き、中から女性が出てきた。
「初めまして〜」
「あ……初めまして……」
ふ……普段女の人と喋らないから、少し緊張する……
「私、東方雅……対神崩し科のリーダーよ!」
雅は呑気にそう言うが後ろから、その言葉を遮るように……
「いいや、俺がリーダーだ」
俺はその姿に、男ながら少し惚れてしまった。整った顔立ち、長身で細身……だが整っている筋肉。
「初めまして、櫻堂要……この署のリーダーだ」
「初めまして……」
「よし!メンバーも揃ったことだし!早速作戦会議だ〜」
「ったく、課長は……」
俺たちはこのメンバーで神崩しと戦っていくのか……!
なんだが楽しみだな……
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「は〜い!ここが私たちのオフィス!」
「お〜」
外観とは裏腹に室内はかなり快適だ。クーラーがガンガン効いていて少し寒い。
「さて、本題に入る」
「現在、ここ那須付近で神崩しが多く発見されている」
「そこで、俺らは奴らの統率者」
「バルザーヌ・ドンドレドに対し宣戦布告しようと思う」
せ……宣戦布告……?
一体どういうことだ……
それにバルザーヌという奴のことをなぜ知っているのか?
そんなリーダーが出向くのか……?
「了解!みんな〜がんばろ〜!」
「零、いけるか?」
「ああ……!いけるさ……!」
チームの結束力も上がった気がする。俺も戒も赫も焔も、影狼も雅も要も、みんな神崩しを止めるために……
――まて……
一体なぜ、俺たちは神崩しを止めようとしてるんだ?
奴らが襲ってきているが、別に自ら止めに行くことではない……
――ドガガガガガァァァァァ
「なんだ……!」
突然外から轟音が轟き、窓ガラスを熱風と共に消し飛ばず。
「対神崩し科、バルザーヌの命だ我がフレア・アルベリヒが貴様らを葬りに来た」
「まさか奴らから攻めて来るとはな」
「行くぞ……零たち!」
「散れや、炎砲」
――ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
「マックス……!空気反発!」
「破壊滅脚!」
「消えろ……!」
――ドガガガガガァァァァァァァァァァ
「退がれ……!零……!」
「っな……!?」
……
静寂が広がる。
あってはずのオフィスはもともと存在しなかったかのように消え去った。
「あ……危ない……」
「大丈夫か?零……?」
影狼が俺たちのことを助けてくれたようだ。
「この程度か……?神崩し科は?」
「ッち!やろう、舐めるのは零だけにしろや!」
「な……なんでだよ……!」
俺たちの会話を遮るように要が前に出てきた。
「退がれ、アホども」
「フレア……お前の敗因は俺に立ち向かったことだ」〈お……おい!誰がアホだ!このアホがっ!
「せめて立ち上がらなければ……」
「貴様……炎獄」
フレアが技を放とうとした瞬間に当たり一体が焦土と化した。
「散れや……クズどもがッ」
「罪の重力」
次の瞬間、フレアが地面に叩きつけられた。
「ンなにッ……!?」
「貴様ッ!炎砲……!」
――ドガガガガガァァァァァ
再び、ヘル・バーストが放たれた。
しかし何も起きない。音だけで被害はない。
「なっ……」
「我がジェーエーの重力は全ての質量を持つ物を封じることができる。」
「っ……クソ、俺の負けだ……」
これが要の力……
とても恐ろしい能力だが、とても頼りになる。これから起きる出来事など知らない、ただ運命に沿って行くだけだから――
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