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第6話 運命の暗影

――ドガァン


今日も雷鳴が轟く。

それはいつも通りなのか……?

さぞ疑問である。


「あー、今日も天気悪いなー」


「そうだな、なんか嫌な予感がする……」


戒がそういうと、昨日のことが頭によぎった。天候を操る能力を持つグルード、今までの天候の悪さは奴の仕業だと思っていたのだが……?


「おい!零ども!」


「零氏!来たぜ!」


聞き馴染みのある声。

焔と赫が後ろから自転車を漕いで向かってくる。


「おはよう!焔、赫!」


「おはよう、焔、赫」


互いに戦闘を得て、距離がより近くなった気がする。そんな事を考えている時……


急に空気が揺らぐ。

竹林に影が見える。


「誰だ……!」


――次の瞬間


闇の暗殺爪(シャドウヘイツ)


影から人が出てきて、襲いかかってきた。濁りのない深淵のような瞳、見ただけで身の毛がよだつ様な爪。


「マックス……!」


反撃しなければ殺される……

そう思いマックスを出す。

――ドガガガガァァァァァァ


「なっ……ヘヴン……!」


マックスの攻撃を最も容易く交わした。しかし次の一手は攻撃ではなく待機。


「すまない、俺の勘違いだったようだ」


俺たちの頭には?が浮かんだ。

勘違い……?なんの話をしているんだ?そう頭の中で思っていると、続けて……


「俺の名前は常闇影狼とこやみ かげろう。対神崩し科の者だ」


「対神崩し科……?」


俺の疑問に答えるように影狼が答えた。


「君たちは神崩しは知っているだろう……?俺達はその神崩しに対抗するために作られた組織だ」


「それで、なんで俺達を襲ったんだ?」


戒の表情に曇りが見えた。

影狼を敵対しているようだ。


「昨日、神崩し2人の目撃情報があった。そこで現場へ向かうと君達が共に居たから、勘違いをしてしまったんだ」


「共にって……まさか、俺達のことか?」


赫がむっとしたように前へ出る。


「誰が神崩しだ!そんな奴と間違えるなんて」


いや、お前神崩しと戦った事ないし知らないだろ。


「ていうか、こんなイケてる神崩しがいるかよ!」


「赫は神崩しと戦ったどころか会ったこともないだろ」


戒の冷静なツッコミ。

赫は「あっ……そうだっけ……?」と言わんばかりの表情で後ろに下がった。


「すまない、まだ神崩し科も結成したばかりでな」


すまないと思ってなさそうな表情で謝罪してきた。

……いや、ちゃんと謝罪してくれよ!もし俺にマックスが居なかったら確実に死んでたよ!

なんで心の中でキレてたら、影狼が続けて


「君たち、神崩し科に入ってくれないか?」


その言葉に場は凍りつく。

そこには雷鳴と雨音だけが響く。


「は……?」


零が思わず声を漏らすと、戒が眉をひそめて言った。


「いきなり組織に入れって言われてもな……」


赫も腕組みをして、


「俺たちはまだ、何が起こってるかもわかってない。急にそんな話されても信じられねえよ」


焔は少し顔を曇らせながら、


「でも……確かに、神崩しはやばい存在だ。あいつらを放っておくわけにはいかない」


影狼は静かにうなずいた。


「分かっている。だからこそ、君たちの力が必要なんだ。神崩しは日増しに勢力を拡大している。単独で戦っても限界がある」


「……だが、仲間を信じられるかどうかは自分たち次第だ」


「君たちは皆、神格を持っている。使い方はまだ拙いかもしれないが、そこには無限の可能性がある」


影狼の言葉に、零は少しだけ考え込んだ。


「でも……俺たちにはまだ、自分たちの力の意味もわかっていない」


「それでも、ここで立ち止まっているわけにはいかない。運命は待ってはくれないからな」


竹林の葉が揺れ、雨は一層激しくなった。


「一度、考えさせてくれ」


零が答えると、影狼は満足げに頷いた。


「もちろんだ。答えは急がなくていい。だが、いつでも俺たちは君たちを待っている」


影狼は影の中に消えていった。


焔がため息をつきながら言った。


「……運命って、本当に残酷だな」


赫が強く拳を握りしめる。


「けど、逃げるわけにはいかねぇ」


戒は空を見上げて言った。


「この雨も、嵐の前触れかもしれない」


零は天を見上げて拳を固めた。


「よし……俺たちの戦いは、まだ始まったばかりだ」


――


遠く雷鳴が轟く中、俺らの影が長く伸びていく。


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