第5話 神速のジェット
――ガゴォォン
空が光り、轟音が鳴り響く。
「うわぁ!?びっくりした……!」
「そんなんでビビるなよ、零」
今日もいつもの様に雷鳴が鳴り響く。
「おい……零……!」
「ん?なんだマックス」
久しぶりにマックスが話しかけてきた気がする。まあ出会って2日しか経ってないけどね。
「神崩しが……来る」
「なに……!?」
その瞬間――
身体中に電撃が走る。
「何ィィィィ……!」
「(俺たち……死ぬのか……?)」
それは一瞬の出来事だった。
何が起きたのかわからなかった。
ブラックアウト寸前の視界には、2人の人影が映った。
――バサッ
「やったな、さすがはリージスだ」
「いや、お前のおかげでもあるぞクルード」
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リージス、神崩し7位
電気を操る能力を持つ。
グルード、神崩し6位
天候を操作する能力を持つ。
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「さて、シュートを切るぞ」
――ガシュッ
リージスの肩を掠める。
途端、肩から大量の血が吹き出す。それは世界も捉えることが出来ない素早さでの攻撃だ。
「な……何ィィ!?」
「リージス……!?」
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「大丈夫か……?零氏」
その言葉に、意識が戻ってきた。
聞き馴染みのあるアホっぽい声。
「ほ……焔か……」
雷電焔、俺と同級生で同じ部活の奴だ。助けてくれたという事は焔にもデウスが現れたようだ。
「全く……雷に打たれるとは情けねーな!」
「馬鹿が……雷に打たれたんじゃないんだよ……!」
「へへっ!そんなのわかってるぜ!」
と言うと焔の体から煙が上がる。
その姿はまるでジェット機の様な腕、赤い眼差し。
「俺の神速がお前らをぶちのめしてやるぜ!」
ジェットが落ちていた石に触れると勢いよくリージスに向けて空気を裂くように吹き飛ぶ。
「グハッ……!?」バサッ
「リージス……!?大丈夫か……!?」
その石はリージスの腹部を貫き、雨を濁らせる。
「貴様……!名も知らぬ神格者よ……!」
「貴様らには屈辱なる死で罪を償ってもらうぞ……!」
「天空破光」
グルードが手を空にかざすと、天候が急変した。雲が集まりどんどん色濃くなっていく。
「今度こそ死ね……!死に損ないがッ……!」
「マックス……!」
空気が揺らぐ、その一瞬の出来事だった。マックスの拳がグルードの腹部を捉える。即座に空が晴れ、太陽光が降り注ぐ。それも0.1秒の間に起こった出来事だ。
「これ……が……マックス……」
「世界は……俺を否定……するのか……」
グルードはそう言い残し、散って行った。それは俺らを悪人と言わんばかりに。
「へへっ!俺に勝負を挑んだのが一番の敗因だな!」
「勝負を挑まなかったら負けなかったのにな……!」
背後から戒の声が聞こえる。
そういえば戒も雷に打たれてたんだったな。
「それにしても……焔もデウスが現れたんだな!」
「零……ヘヴンという言葉に心当たりはあるか?」
戒が俺の話を遮るように聞いてきた。ヘヴン……さっきの奴が言っていたな。そんな事を考えながら夕日を背に家に帰るのだった……!
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