第18話 指の先は地獄門
あれから数日……
「零ちゃ〜ん……書類ィィ〜」
「ハァ……ハァ……雅ィィ……書類どこだよォォ……」
神崩しが姿を表さなくなったことにより、なんとか国家公認組織として認められていた対神崩し科は国家非公認に成り下がってしまった。その為、金銭面に問題が出てくる。
「お金がないからって……一気に仕事引き受けすぎだよ……」
「ごめ〜ん……だってお金ないんだも〜ん……」
戒達も何故か一昨日から顔を見せてない。何か起きているはずだが、忙しすぎて心配すらできない。
コンコンコン
「こッ……こんな時にお客ッ……?」
「ごめ〜ん……零ちゃん出てくれる……?」
全く……こんな忙しい時になんで……
ガチャッ
「はーい……」
扉を開けるとそこには、目がクマだらけで、髪はボサボサ、服はボロボロの浮浪者が居た。
「だ……誰ですか……?ここに何か用ですか……?」
俺の問いに男はゆっくりと答えた。
「俺は岸流浪だ……あんたに頼みがあって来た」
男の声はとても低く、ボソボソと枯れた声を発していた。
「なんだ……頼みって、こっちも今は忙しいんだ……」
俺が喋り終わる間もなく岸は要件を言う。
「俺の同僚の仇撃ちをしたい……」
「仇撃ち……?」
岸の目には焔が燃え上がり、復讐に燃えているのが見て分かる。
「だ……だが、なんで対神崩し科に……?」
仇撃ちをするなら、1人だけでも行けると思うし、仮に仇が複数人なら警察だとかもっと信用できる組織があるのだからここに来る理由がない。
「これを見れば分かる……」
そう言うと、岸は指を上げて俺を指す。
「自由は……復讐の為の地獄門だ……」
次の瞬間
岸の指の先から何かが高速で飛び出す。その物体は俺の髪を掠めて、奥の扉に当たった。
「この一発が、奴の命を奪う。自由……地獄門を開く術さ」
岸が対神崩し科に頼った理由は、おそらくだが仇も神格者なのだろう。
「なるほど……わかった、お前の頼みは受け取った」
勝手に依頼を受けてしまった。
この事を雅に報告したら、絶対に即倒するだろうな……
「てか、寒いだろ?事務所の中、入れよ!」
今の時期は少し肌寒い季節だ、こんな時期に金欠なんだから、少しは楽したいよ〜
「あ〜雅……?」
返事がない。
「お客さんがぁ……」
扉を開けると、雅は寝ていた。
そりゃあ、近日はずっと作業してたし、大忙しだった。
「まったく……風邪ひくぞ」
と常備されていた布団を雅にかけた。
「すまないね、ここ最近忙しくて……」
「いや、いいさ……それよりもこんな忙しい時期にすまない。君はまだ学生さんだろ?」
「ん……ああ、まあ……」
プルプルプル
スマートフォンから着信が来た。
「もしもし……?」
「零かッ……!?大変だッ!」
それは戒からの着信だった。
それもとても慌てていて、いつもよ冷静さが欠けていた。
「どうしたんだよ……そんなに焦って……」
「赫がッ……!」
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