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第15話 琴乃世界:私だけの世界

「なッ……お前は……!?」


戒が目を見開いて声の主に目を向ける……

そこにはスラッとした体、目覚えのある制服……そして写真に写っていた金髪の女……


「ッち……やっぱり受け入れていたのか……」


「うおッ……お前ェェェェェェ!よくも零をッ!」


赫が全力で金髪の女の方に走って行く。


「無意味だわ!私の世界マンバの能力の礎になるのよ!」


____________________


――ドガァン 


「うぉぉぉぁぁぁぁッ……!?」


赫が吹き飛ばされた。

階段を転がり落ちる。

ここから見ても何が起きたのかわからなかった。やはりとんでもないスピードで攻撃しているのか……?


「ふふッ!どう?これが私の力よ!」


「かッ……赫ッ……!」


「クソッ、もう俺1人か……」


戒が金髪の女の前に立つ。


「フィネスッ!奴を拘束しろッ!」


戒がそう叫ぶと、金髪の女の体に光のバンドが巻き付く。


「ん……何これ?……マンバ!引きちぎれ!」


「無駄だ!フィネスの円光アディは破壊することが……」


____________________


【戒視点】


――ドガァン


「何ッ……!?」


吹き飛ばされた……

俺のフィネスが

俺の円光アディは敗れた……?

一体……なぜ


(我が円光アディが拘束できるのは、我より力が弱い者のみだ。)


「かッ……戒ィィィィ……!」


そんな制約があったなんて……

先に言ってくれよ……

一瞬にして、俺たちは全滅した。

何もわからないまま、戦闘不能状態に陥ってしまったのか……?


「クソッ……なんという力だ……」


「ふ……ふふっ!私のマンバは無敵よ!」


俺は彼女の違和感に気づいた。

疲れている……

彼女が能力を使うたびに疲れるのか……?


「れ……零……!奴は疲れている、距離を取って攻撃をすれば勝てる……

!」


「だけどよ……あいつの能力がわからないんだよッ……」


クソッ……

こんな時に焔が入ればッ……


【零視点】


そうだ……思い出した……

俺にはマックスフライがあるんだ……

世界を遅くすれば何が起きたのかわかるはずだ……


全力超躍マックスフライッ!」


空気を圧縮して世界を重くする……

全力超躍マックスフライの範囲内に入った瞬間に世界は遅く見える。


「世界は……!私だけの物に……!」


____________________


ハッ!

見えたッ……だが……ここにくるまでが見えなかった……

すでに俺の目の前に彼女がいる。


全開マックス!打てッ!」


――ドガァン


俺のマックスと彼女のマンバの拳がぶつかり合う。ここで初めてマンバを見た。その拳は歯車のような見た目で、顔がなく、顔があるはずの場所には時計がある。


だけど……


「力比べは俺の勝ちみたいだなッ……!」


マックスの拳がマンバの拳を削る。

マンバの拳から歯車の破片が飛んでくる。


「クッ……世界ッ……止まって!」


____________________


【???視点】


ハァ……ハァ……

今……時間……速過ぎる……


(貴様が動けないなら我れが時を動かすしかなかろう)


少し……休まないと……


____________________


【零視点】


「消えたッ……」


「零ッ……奴の能力は恐らく時間停止だッ!」


戒が俺に叫ぶ。

時間停止……今のを見て確信した。

俺が彼女を吹き飛ばした時に、急に視界から消えた。それにマンバの見た目……時計、歯車……時間に関する物ばかりだ。


「よくわかったな……戒ッ!」


「当たり前だッ!」


「ハァ……ハァ……」


居たッ!

今は油断している……

今のうちにッ!


空気反発エアーズーム!俺を吹き飛ばせ!」


――ブォン


「ッマンバッ……!止めて……」


――ドガァン


俺の拳は彼女には当たらなかった。

しかしマンバの顔面をしっかり捉えた。


「きゃぁぁぁぁッ……」ドサッ


その反動で、彼女は吹き飛ばされた。

____________________


【???視点】


1日前


ハァ……今日も学校疲れた……

大会疲れたよ……


「じゃあね!世界!」


「じゃあね……」


お腹空いた……

スーパー寄って帰ろうかな……

と思っていた時。


「ちょっと君……いいかな?」


聞き慣れない声が聞こえた。


「誰?」


振り向くと、そこには白髪で見るだけで寝不足とわかる白衣を着た男が居た。


「少し話しをしたいんだ、そこの路地にきてくれないか?」


「う……うん」


私は何故かわからないが、そのまま彼についていった。


「なに……?こんな所に呼び出して……?」


「大丈夫だ、痛くはしない……君にお願いがあるんだ」


痛くはしないって……

逆に怖いんだけど……

お願いって何?

そもそも、男が誰なのかわからない……


「お願いッて、まずあなたは誰?」


「神崩し第4位、ゲリュウと申します」


神崩し……?

なんかの称号……?

それにゲリュウッて……海外の人なのかな……

それにしては日本語が完璧すぎると言うか……


「か……神崩し?何よそれ」


「君は知らなくても良い、それでお願いなんだがこの手を握って欲しい」


彼はそう言うと手を私に差し出した。


「手を握る……?それで良いなら」

____________________


そこからの記憶がない……

何があったのかわからない……

今……自分に起きている事も理解できない。


【零視点】


さて……どうする……

トドメを刺すか……?

いや……俺には女を痛めつける趣味なぞない。

ただ……トドメを刺さないと、常に不意打ちの危険に侵される。


「クッ……マックス!」


「たッ……助けてッ……!誰かッ……!」


……

拳が動かない……

いや、動かせない。

心が痛い。


世界マンバ……時を支配するのがこの我である」


俺の心が揺らいでいる時にマンバが俺の前に出てきた。

____________________

【マンバ視点】


「時は止まった」


この静止した世界を動き、認識し、干渉できるのは我のみだ。


「名も知らぬ少年よ……」


我は拳を振り上げる。


「これも琴乃世界ことの せかいを守る為だ」


瞬間、脳内に声が響く。

『マンバ……お前の使命は罪を赦す事だ……』

『そなたを殺す事は罪の赦しではなく罪の自白となってしまう』


脳内の声が消えた、それと同時に能力が揺らいだ


____________________

【零視点】


「なッ……」


俺の目の前には拳を振り上げるマンバが居た。


空気反発エアーズーム!」


マックスの拳から空気が漏れ出す。

「喰らえッ!マンバァァァァァ!」


マックスの拳はマンバの顔面を捉える。


「マックス……貴様は我には敵わない」


マンバがそう言うと、マックスの拳が止まった。マンバの顔面ギリギリで止まった。


「なッ……マックス……!」


「マックスは止まった……その拳は決して我には届かない」


俺のマックスですら、マンバには敵わないのか……?

俺は絶望で、立ち尽くすことすらできなかった。

マンバが俺に向かって話す。


「貴様、名は何と言う」


「黒野……零だ……」


「黒野零か……良い名だな」


そういうと、俺の形に手を掛けて語る。


「琴乃世界、彼女を守ってくれ」


「琴乃……世界……?」


「キャァァァァァァァァァァ……!?」


悲鳴ッ……!?

それもさっき世界が居た方向からだ。


「何だッ……!?」


「これ……これ取ってェェェ」


世界の体にはデカいカブトムシが張り付いていた。


「はぁ……」


俺は呆れながら、カブトムシを手に取った。


「ありがとう……助かったよ……」


「お前が琴乃世界か?」


「えっ……何で私の名前知ってんの?」


俺が世界の名前を言うと、驚きの表情で俺に聞いてきた。


「私……君と会ったことあるっけ……?」


世界は俺と会ったことないと、言う。それを紛れもない事実かのように話す。


「えっ……さっき戦ったじゃん……」


「たッ……戦い……?ただの高校生に喧嘩なんて出来ないよ」


やっぱおかしい……

さっきまであんなに威勢を張って、自分から俺たちに攻撃を仕掛けてきたのに……


「ハァ……ハァ……零ッ、少し話しがある……」


背後から戒の声が聞こえた。

振り返ると血まみれの戒だった。


「戒ッ……!?大丈夫かよ!」


「ああ、少し木が刺さっちまった」


「それで話しなんだが……」


と言うと戒の表情が真剣な表情に変わった。


「前に見せた写真があるだろ」


「あの女性がゲリュウの手に触れた瞬間に零の暗殺を持ちかけた」


「つまり何が言いたいんだ?」


「ゲリュウの能力はおそらく洗脳などの精神操作系だろう」


精神操作能力か……

確かにそれなら世界が急に弱々しい性格になったのも納得だ。

だが、本当にゲリュウの能力ご精神操作系の能力なら、今頃……沢山の人間を操作している可能性がある……。


「早くゲリュウを殺さなくては……」


「お前も分かったか?」


「流石の俺でも分かるさ……早くしなくては敵が一方的に増えまくるだけだ」


「そうだ……それでだが……あの女性はどうする?」


戦闘していた時の記憶を無くしている。それはつまり、洗脳が解けたと言うことだろう。それなら殺す必要もないしそれに……

マンバにも守れと言われたな……

何で俺なんかに……


「世界……!」


「何……?」


「俺たちと共に戦ってくれないか……?」


「だから私はただの高校生だよ……!そんな私に何ができるの……」


確かに彼女の言うこともそうだ。

だけど俺だって高校生だ、彼女には神がいるのだから。


「お前にはマンバがいるだろ……?」


「マンバ……?何よそれ」


「ほら……!お前の神だよ!」


俺はそう言いながら、マンバの方を指差す。


「神……?あなた、何を言っているの……?そこに何もいないじゃない」


「えっ……?」


神格者なら誰でも神を見ることが出来るはずだ……それにさっきも神を認識していた。

なのに一体何故……?


「シュートが起きた時点で、人類は皆神格者なのだよ」


マンバが静かに口を開く。


「その中でも、素質のある者だけが我らを視認できる」


「それって……」


「世界はゲリュウと言う男に無理矢理、神を認識させられた」


「だから洗脳が切れたと同時に、神格者としての素質を失った」


世界は神を見ることも出来ないし、信じることも出来ない……

だからマンバは俺に世界を守れと……


待て、何故マンバが俺に世界を……


「マンバ、一ついいか?」


「良かろう」


「何故、俺に世界の護衛を……?」


マンバは俺の問いに迷う時間もなく回答した。


「マックスは、我と同じ柱でな……

マックス位しか信用出来る神はいないんだ」


「柱……?」


「すまないが、それについての回答は出来ない」


柱……

マックスとマンバは同じ柱なのか?俺はまだ、柱の意味も知らない。けれども、俺しか世界を守れないのは分かった。


「世界……俺はお前を守りたい」


「なッ……何よ!急に……」


世界の顔が少し赤くなったのが見えた。


「何かわからないけど……あなたが守ってくれるなら……喜んでついて行くわ」


「オイ!女!まさかお前……零に惚れてんのかァァァァァ!」


急に背後から怒号が飛んでくる。


「かッ赫!?」


「無事だったんだな……」


「クソっ……俺にも青い春があったはずなのによぉ〜」シクシク


色々あったが、戒も赫も無事でよかった。それに世界も俺を信じてくれたっぽいしな。

よくわからないけどマンバのお願いだからな。(世界に何があったら、何されるかわからないし)


「あッ……!?そういえば雅のことすっかり忘れてた……!」


「そうだった……俺たちは課長を探しにここに来たんだった……」


「オイ!女ッ!零の手から離れやがれッ!」


世界は俺の手を掴んでついてきている。案の定、赫はそれにブチ切れ。


「俺だって零と手、繋ぎてーよー!」


「お前は何なんだよぉッ!」


読んでくださってありがとうございます!


もし「続き気になる」と思ってもらえたなら、

ぜひブックマーク・評価・感想のいずれかを!

めちゃくちゃ励みになりますし、続きへの勢いにも繋がります!


次回もよろしくお願いします!

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