第13話 静寂はただ過ぎて行く
※この物語はストーリー重視の作品です。
物語をより深く楽しみたい方は、第1話からの閲覧をおすすめします。
※ただし、第2章からでも物語の根幹は理解できるよう構成しています。
この世界には、決して覆すことのできない一つの“説”がある。
それはこの世の条理を表す言葉であり、すべての生物、物体、物質――この世界に存在するあらゆるものに当てはまるもの。
その言葉とは――
「終わりが、最初の罪となる」
――エスカトンの逆説的原罪論
あの戦争は誰にも知られる事もなく静かに幕を下ろした。
しかしそれは新たな戦いの始まりでもある。
――あの戦争から1ヶ月が経った。
未だにバルザーヌ含む神崩しの残党の手がかりはない。
「零ちゃん?そっちの方はどうだった?」
「いや……何も残されてない」
俺の名前は黒野零
対神崩し科の隊長(仮)だ。
そして俺のことを"ちゃん"呼びしている女性は対神崩し科の課長、東方雅だ。
「そっかぁ……」
あれからというもの。
指揮取りの要やムードメーカーの影狼が居なくなってからは、とてつもない重労働をさせられている。
休む暇なんて一切ない。
『次のニュースです……』
『先日、烏ヶ山神社の敷地内に男性2人の遺体が発見されました。検察によりますと1人の男性の遺体は右腕がなくなっており、もう1人の遺体は謎の力で近づけない状態だそうです』
「これって……」
雅が指を刺して言う
「要ちゃんと影狼ちゃんだね……」
「遺体……見つかったんだね」
悲しみもあるがホッとした気持ちもある。忘れられるほど悲しい事はないからな。だが……何か違和感がある……2人……?3人じゃないのか……?
「だが、ニュースを聞く感じ要の遺体は運べないらしいぞ。葬式はまだまだ先だな」
考え事をしていた時。
背後から聞き馴染みのある声。
俺が振り向くとそこにはすらっとした細い体にシュッとしている顔、俺の幼馴染の傀儡戒だ。
「戒!戒の方はどうだった?」
「それが朗報だ……!」
「まさかッ!」
「そのまさかだ、神崩しの残党の1人の痕跡を見つけた!」
「でかした!戒ちゃん!」
緊急で対神崩し科を招集し、会議を開く。
「さ〜て!ついに見つけたよ!」
「ああ、これだ」
戒が胸ポッケから一枚の写真を取り出す。
「コイツだ、コイツが神崩しの序列4位……」
――ゲリュウだ
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【時は1時間前】戒視点
あー
かれこれ2週間も逃げやがったバルザーヌどもの痕跡を探しているが……
もう海外にでも行ってるんじゃないか?
「あー今日も収穫なしかー」
「飯買って帰るか……」
俺は完全に諦めムードでスーパーに向かう時。裏路地から声が聞こえてきた。
〈なに……?こんな所に呼び出して……?
〈大丈夫だ、痛くはしない……君にお願いがあるんだ
どうやら女性1人と男性1人が何か話してるみたいだ。
〈お願いッて、まずあなたは誰?
俺は怪しい取引現場だと思い、危険だから離れようと思った。だが聞き捨てならない言葉が出てきた。
〈神崩し第4位、ゲリュウと申します
かッ……神崩し……!?
〈か……神崩し?何よそれ
〈君は知らなくても良い、それでお願いなんだがこの手を握って欲しい
〈手を握る……?それで良いなら
良かった、今日はスマホをちゃんと持ってきている。確実に激写してやるぜ。
〈それじゃあ、黒野零を始末してこい……〉パシャっ
〈ん……誰だ
俺は写真を撮って、急いでその場を去り、スーパーの中に避難した。
「ついに……見つけたぞ……!」
俺はスマホの写真フォルダからさっき撮った写真を開いた。
そこには金髪の女性と白髪でクマがすごい白衣を着た男が居た。
「この男がゲリュウ……神崩しの残党か」
「……やっぱりまだ活動してたから、アイツら」
それにしても……
アイツの言葉、黒野零を始末してこい……?
何故あの女に……
まあいい、急いで事務所に戻ろう。
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「ッて事があったんだ」
「なるほど……結局俺暗殺の了承はしてたのか?」
「いや、スマホ消音モードにしてなかったから音なって急いで逃げてきた」
ああ、そうだ。
この男、一見頭良さそうで真面目そうだが……いや、頭はいいんだが……少しアホっぽいと言うかなんと言うか……ッていうやつなんだよ。
「戒氏!やはり俺らと同じでアホなんすね!」
「おッ……おい!誰がアホだと……テメーと同じにすんなや!このクソ焔がッ!」
このアホ2人組は葬蘇赫と雷電焔だ。赫は威厳があって怖い奴だが、根はいい奴で仲間思いだ。
焔はオタクで他人を名前を呼ぶ時は後に"氏"をつける。どっちも俺の高校の同級生だ。
「まあまあ、落ち着けって」
「それよりもッ……零ちゃんをみんなで守らないと!」
「まあ、そうだな」
「俺らに任せろや!」
なんか頼りにならん奴も居るが……
少なくとも雅と戒が居れば敵なしだな!
「ただ、会話を詳しく聞けてないからいつ襲ってくるか……そもそも襲ってくるのかもわからないから要警戒だ」
「了解!次、情報を得たら私の元に来てね!」
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