表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/12

第六話 十二支計画

第六話 十二支計画


これは十二の懐中時計と十二人の英雄によって構成される計画――

『十二支』だ。

どの時代にも、十二人の英雄が世界中に散らばっている。

私たち未来人は、これらの懐中時計を通じて迫りくる災厄を伝え、彼らに阻止させることで、

少しずつ――全人類滅亡をもたらす「大事件」の発生を遅らせている。


「全人類滅亡の事件......?」自称未来人の声を聞き、信じられない思いで尋ねた。

「いつ?阻止できるの?この任務をこなせば未来は変わるの?」

<辰也君、やる気満々だね~>

<でも、阻止はできないよ~>

「え......」私は呆然とした。

<私たちにできるのは、あの事件の発生を『遅らせる』ことだけだ>


<他の疑問があれば、もう一人の『時計の持ち主』に聞いてもいいよ~それでは、またね。>

時計は声を止めた。

「また勝手に切った!」もっと聞きたいことがあったのに。

私は手の中の懐中時計を見つめた。


しかし、なぜか口元が緩んでいた。

(でも、やっと何かできることが!)嬉しくなった。

(もちろん災害が起きてほしいわけじゃない......でも、でも......)

時計の蓋を閉める。

「何かできるって感じ......」

自分が必要とされているような気がした。


---

場所は商店街の路地裏、時間は10月13日午後5時55分前。

(それに、今回はもう一人と一緒に行動する......)

私は顔を上げ、目の前の金髪の高校生を見た。


「てめえ、なぜここにいる?」

彼は私を壁に押し付け、鋭い目で睨みつけた。

「任務で......」

「任務?」彼は怪訝そうに眉をひそめた。

手が伸びてくるのに、私は思わず目を閉じた。


「まさか......」

ゆっくり目を開けると、彼は呆れたように額に手を当てていた――私の懐中時計を握りしめながら。

「まだ持ってやがる」

ぽいと時計を返してきた。


(まさか、今回の『もう一人』って、この人!?)心の中で叫んだ。

同じ学校だし、商店街も近いから、完全に予想外ではなかったけど。

「ひ、久しぶりですね......」緊張して口を開く。

「今回の任務、二人でやるみたいで......」

彼の鋭い視線が刺さる。


「お前......今回の任務の内容を知ってるのか?俺にはいつも場所と時間しか教えてくれない......」

焦って尋ねた。

(もしかして、人によって任務内容が違う?)

「だから30分も前からここをうろついてたのか?」不機嫌そうに言う。

「だ、だって何が起こるかわからないから......早めに来ただけ......」言い訳する。

「帰れ」冷たい一言。


「俺一人で十分だ」


---

(何その態度!)

なぜか腹が立って、彼を見つめた。

「でも、未来人が二人必要だって......!」雰囲気を和らげようとする。

「前提として、お前が『当事者』にならない場合だ」冷たく言い放つ。

「それにお前、さっきから目立つように動き回ってたじゃないか」

ここは不良のたまり場なんだ。


「これ以上面倒ごとを増やすな」そう言って、去ろうとする。

途中でポケットが振動した。

(彼の時計は振動する......新しい任務か?)

でも、彼の任務って頻繁だな......私は2ヶ月も空いたのに。

緊張して見つめる。


しかし、ポケットから出てきたのは――携帯電話だった。

「もしもし?」電話に出る。

「辰也君、助けて!!」女子の悲鳴が聞こえる。

「今どこだ!」必死に尋ねる。


「商店街の路地裏に連れてこられた......」

「他校の男子が、クラスの女子にナンパして、断ったら......ナイフで脅されて!」

電話の向こうで別の声がした。

「おい、電話してんのか?」

携帯を奪われる音。


「こんなこと、大人に言いつけるなよ」

「ちょっと遊ぶだけだろ~」

女子の肩に手を回す声。

「触らないで!」女子の怒声。

ナイフを構える音。


「おいおい、顔に傷つけたくないだろ?」冷やかす声。

「うう......辰也君、助けて......」

――プツッ――

通信が切れた。

彼は携帯を握った手をだらりと下げ、一瞬にして駆け出した。


「待、待って!どこに行くの!」慌てて追いかける。

どんどん遠ざかる背中。

「速い......」とても追いつけない。

走りながら懐中時計で時刻を確認し、さらにスピードを上げる。


「はあ、はあ......」息を切らしながら必死についていく。

(そうだ、時間......)私も時計を取り出す。

「今は......5時50分」

未来人が言った時間は5時55分――あと5分しかない!

(でも具体的な場所も、誰がどこにいるかもわからない!)

それに、彼があんなに焦ったのは――私と話してたせいで時間をロスしたから?


---

「見、見えた!」前方に――

もう息も絶え絶え、足が動かなくなりそうだった。


他校の上級生らしき不良が、私たちの学校の生徒を取り囲んでいる。

「辰也君!」「辰也!」クラスメイトが彼を見つけ、叫ぶ。

不良たちが近寄ってくる。

「お前が噂のやつか?」

「金髪のくせに、何ができるんだ?」


「連中を解放しろ」冷たい声。

「は?何言ってんだ?」ナイフを振り回す。

「もう警察には通報済みだ。面倒ごとを避けたければな」

鋭い視線を向ける。


「警察がこんな場所すぐに見つかるかよ?車も入れねえ」

「その前にいろいろできちゃうぜ」

「未成年のうちにやっておくべきことってあるんだよ~」

「捕まってもどうせ未成年だしな~」


彼は上着を脱いだ。

「合図で逃げろ」クラスメイトに指示する。

「おいおい、映画の真似事かよ?」

上着をナイフに絡め、一瞬で奪い取る。

そして、蹴りを腹部に入れ、不良は苦悶の表情で膝をついた。


「走れ!」叫ぶ声。

クラスメイトが四方八方に逃げ出す。

「クソ、逃がすな!」不良の怒号。

しかし次の瞬間、背後から腕が首を締め上げた。


もがく不良の目が虚ろになり、5秒も経たずに崩れ落ちる。


「お前らの相手は俺だ」巳藤が拳を握りしめる。

「一人でこいつら全部に勝てると思ってんのか?」

「俺は喧嘩はしない」冷たく言い放つ。

拳が閃き、また数人が地面に倒れる。

「制圧するだけだ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ