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第四話 人を助ける

第四話 人を助ける


  「まだわからない...」黒髪の少女が自宅の廊下を歩きながら呟いた。

  「この懐中時計の持ち主は誰なんだろう」

  彼女は手にした精巧な黒い懐中時計を見つめた。


  「私の部屋に入れる人はみんな知らないって言う」

  「誰かが許可なく入ってきたのかしら?」

  でもなぜわざわざ私の机に懐中時計を置いていったんだろう。


  (待って、もう一人いた...)

  彼女は足を止めた。


  ---

  彼女はドアの前で深呼吸し、ノックした。

  ドアがゆっくり開き、執事が出てきた。

  「申し訳ありません、お嬢様。ご主人は海外に出張中です」

  いつ戻られるかはわかりません。

  執事がそう告げた。


  「そうなの...」彼女は落胆しながらも、どこかほっとした様子で言った。

  執事は彼女の手に握られた懐中時計に気づいた。

  「まだ懐中時計の持ち主はわかりませんか?」執事が尋ねた。

  「うん」彼女は懐中時計を手に取った。


  「一体誰が私の机に置いたんだろう...」


  ---

  私が放課後家に帰ると、自分の部屋に

  この懐中時計が机の上に置かれていた。

  部屋に入れる可能性のある人全員に聞いたが、誰も知らないという。


  思い当たるのは...お父さんだけ。


  でもお父さんはいつも海外出張で、ほとんど帰ってこない。

  今回も三日も経たないうちに出張に行ってしまった。

  次に帰ってくるのは一ヶ月後か、一年後か、全くわからない。

  (たとえ帰国しても、すぐ会えるわけじゃないし...)


  私は懐中時計を手に、一人部屋に戻った。

  「お父さんはたくさん懐中時計を持っているけど、これは見たことないな...」

  懐中時計をじっくり観察した。

  「それに、精巧だけど、ずっと使われてきた感じがする...」

  私は表面の小さな錆跡を撫でた。


  突然、誤ってスイッチを押してしまった。

  『こんにちは、西田「午」原さん』

  懐中時計から男の声が聞こえた。

  『運命を信じますか?』


  ---

  『場所は...』

  「わかった」金髪の少年が懐中時計を持って言った。

  『頼むよ、木村君~』


  木村「巳」藤、白石高校1年A組、17歳。


  「おい巳藤、放課後どこか行くか!」周りのクラスメイトが声をかけた。

  「悪い、急用がある」彼は鞄を手に取った。

  「また人助け?」近くの女子生徒が興奮して言った。

  「今度はおばあさん?おじいさん?それとも溺れている子供?」

  「前に動物も助けてたよね」

  周りの人たちが賑やかに話し始めた。


  「人助けなら仕方ないか~」先ほどの男子生徒が言った。

  「手伝いが必要なら言ってね」

  「大丈夫、一人でできる」

  彼はそう言って教室を出た。


  「最初はあの金髪で怖いイメージだったけど、今では超かっこいい!」王子様みたい。

  「アメリカ人の血が混ざってるらしいよ」

  「ハーフなんだ!」

  女子生徒たちは彼の外見に夢中だった。


  「巳藤君は本当に優しいよね」

  「この前おばあさんを助けてたのを見た」

  「野良猫に餌をやってたところを見た」

  「小鳥を救助してるところを見たよ」

  クラスメイトたちが話していた。


  「彼はいつも人を助けているんだ」


  ---

  私は木村巳藤。父は日本人、母はアメリカ人。

  生まれつきの金髪のせいで、いつもトラブルに巻き込まれる。みんなに不良だと思われ、クラスメイトも距離を置く。


  そんな時、日本に住むアメリカ人の「師匠」に出会った。

  彼は金色の髪に深い青い瞳をしていた。

  彼は私に言った。「人を助けなさい」


  私はもともと小柄で華奢だったが、金髪が目立つ。

  アメリカとのハーフだと言っても誰も信じてくれない。

  いじめられる度に反撃したが、毎回負けていた。


  「なんでいつも僕ばかり...」しかも集団で。

  さっきも負けた...いや、何人かは傷つけたから負けてはいない。

  「不良って一人で行動するんじゃないのか!」

  クラスにも友達はいない。


  私は拳を握り締めた。

  「次こそは...」

  しかしすぐに力を抜いた。

  「本当は喧嘩なんかしたくない...」


  私は自分の金髪を触った。

  「黒く染めてしまおうか...」

  でもそれで解決するのか?彼らはただのいじめ好きなんだ。

  「反撃してもまた来る...」

  「僕は弱虫じゃない!」


  「お前らは同類の匂いがする」

  中年の男が近づいてきた。帽子を取ると、薄い黄色の髪が見えた。

  彼の深い青い瞳は、吸い込まれそうだった。

  「僕は毎日風呂に入ってる!」私はきっぱりと言った。

  「あいつらとは違う」あいつらは風呂に入らない。


  男は微笑んだ。

  「でも見たところ、お前たちは同類だ」

  「喧嘩をしている時はね」

  「あなたは見てただけじゃないか!」私は言った。


  「お前も助けを求めていなかった」男は言った。

  「そうだけど...」私は考えた。

  「人に助けてもらったら、一生そのままになる」

  それは私が望むものではなかった。自力で立ちたい。


  男は私を見た。

  「それなら人を助けてみたらどうだ?」彼は言った。

  私は彼を見上げた。

  「誰も見ていなくてもいい。強くなって、人を助けるんだ」

  彼はそう言った。


  「できればそうしたいけど、いつもいじめられて...」

  「周りの人はみんな離れていく」

  私の声は次第に小さくなった。

  「強くなれば、あいつらを倒して近寄らせなくできる!」

  人助けはそれからだ。


  「それじゃあいつらと同じだ」

  「同じことをして、弱い者いじめをして、みんなから同じ目で見られて...」

  「お前は悪い奴だ」


  「僕は...違う...そんな...」言葉に詰まった。

  「お前は今まで良いことをしたことがあるか?」

  「周りの人に感謝されたことがあるか?」

  「人を助けたことがあるか?」

  彼は問い続けた。


  私はその場に立ち、拳を握り、歯を食いしばり、何も言えなかった。

  「全部あいつらのせいだ...」

  責任を転嫁しようとしたが、これが望むものではないとわかっていた。

  「みんなが『良い人』だと思えば、いじめられなくなる」

  「『あいつは良い奴だ』と言われるようになる」

  お前たちは同類じゃない。


  ---

  現在。


  (あの日から、私は周りの人を助け始めた)

  私は漏れているガスボンベのバルブを閉めた。そばの飲食店の主人と店員が呆然と見ていた。

  「ガスが漏れてた」

  私はそう言って去った。


  (いじめもなくなってきた...)不良たちが私が人助けをしているのを見ると、興味を失って去っていく。

  あるいは他の人が私を守ってくれるようになった。


  飲食店から出ると、

  「巳藤!」「巳藤君!」クラスメイトが前に集まっていた。

  「偶然会えた!カラオケに行くけど一緒に行かない?」

  彼らは楽しそうに言った。


  (クラスメイトとの関係も良くなって...)

  「うん」


  私は彼らについて行き、腰の懐中時計が揺れた。

  「巳藤君、今日は何をしたの?」女子生徒が近寄って聞いた。

  「ガス漏れを直した」

  「え!?危なかったじゃない!」

  「どうして気づいたの?」


  「霊感だ」


  私は懐中時計のことを誰にも話さなかった。

  「全部は知らないよ」私は言った。

  未来人の言葉にはまだ疑いがあった。特に「阻止できない事件もある」という言葉。

  (彼は全てを知っていると言うが、阻止できない理由は何なんだ...)


  彼は主人公とすれ違った。


  (でも今気になるのは...)

  弱い者を英雄にするということ。

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