表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
特異事案調査官・霧島冬馬  作者: たけるん
1/10

第一章:深夜の掲示板と赤い招待状

今回初めてホラーを投稿します。好評ならシリーズ化も検討してます。

よろしくお願いします。

深夜2時。

退屈と絶望と貧乏にまみれた沙耶のワンルームには、電子レンジの“チーン”だけが響いていた。


「ああ、またコンビニのチルド餃子か……。人生って本当、グルメ番組とは無縁だよね」


独り言が習慣化するほど孤独な二十歳の夜。

バイトはクビになり、家族とは縁が切れ、スマホのバッテリーと冷蔵庫の野菜室はいつも空っぽ。


そんな中、ネット掲示板の“都市伝説スレ”で、ある書き込みが目に留まった。


> 「神の赤子を宿す者、募集中。交通費・宿泊費支給。現金前払い3万円」




「赤子て……神に託児されたら保育料ヤバそうだな」


笑い飛ばすつもりだった。

でも、何か引っかかった。妙に具体的な文章構成、投稿者のID履歴、過去の参加者を匂わせる書き込み――


興味本位で申し込みフォームに名前(もちろん偽名)と住所を打ち込むと、数時間後に届いたのは真紅の封筒。


> 「あなたは“選ばれし者”です。送迎は明日の朝、5時に参ります」




そして、本当に現金3万円が届いた。



---


翌朝。

眠い目をこすって集合場所へ向かうと、そこには不自然なくらい無表情な女が立っていた。

顔の右半分は包帯で覆われ、まるでRPGのボス手前で出てくるキャラのよう。


「桐生沙耶様ですね。どうぞ、こちらへ」


無言で差し出された黒塗りのワゴン。ドアが自動で開くと、後部座席にはもう一人、乗客がいた。


「……」


彼は、無精ひげと無愛想さの塊だった。だが、首元から覗く公安庁のバッジと、左手の革の手袋が“ただ者じゃない”感を放っている。


そして、車が動き出すやいなや、彼は低くぼやいた。


「まったく……群馬じゃこんな勧誘はただの詐欺だったんだけどなァ」


「え、今なんて言った? 群馬?」


男は軽く咳払いし、慌てて標準語に切り替えた。


「失礼。公安庁・特異事案第七課、霧島冬馬だ。君の身柄は安全確保のため、こちらで預からせてもらう」


「……公安? いや、私、ただの掲示板荒らしなんですけど」


「それが困る。掲示板で“神の赤子”を釣るのは、だいたい冗談じゃ済まないからな。群馬の沼田でも一件、死体出てる」


「群馬の沼田で!?」


「……あ、言っちゃった」


その瞬間だけ、彼の顔が少年のように崩れた。

厳格な表情、堅物な声、それら全部が一瞬で砕けて「地元民丸出しの脱力感」がこぼれた。


沙耶はそのギャップに、思わず吹き出しそうになった。


「……なにそのギャップ。真面目なのに、バグってる」


「すまん。熱くなると訛るのは昔っからなんだ。……で、話を戻すが、これから君が向かう場所――“赫い部屋”は、冗談で済まされる場所じゃない」


「赫い部屋……?」


「君は、もう選ばれてしまった。儀式は“始まっている”」


ワゴンは旧桐ヶ谷修道院に入る山道へと差し掛かっていた。

霧が濃く、電波は途切れ、携帯の画面には“圏外”の文字が点滅している。


霧島がぼそりと呟く。


「神も、電波も届かねぇ……ほんに、不便なとこだなァ」


それを聞いた沙耶は、心の底から笑った。


でもその直後。

ワゴンの窓の外――修道院の門の上に立つ、白い服の少女が、こっちをじっと見ていた。


しかも、顔が、ない。


沙耶の笑いは消え、顔が引きつった。

今回、読んでいただきありがとうございます。「面白い!」「続き読みたい!」など思った方は、ぜひブックマーク、評価をよろしくお願いします!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ