ガンジーのハイキック
お読みいただきありがとうございます。
短い物ですがお楽しみください。
汚い街を歩く時、自分も汚くなったような気がする。
それは、田舎に行った時も同じだし、よく行く場所に行く時も同じだった。
ただ、華やかな街や賑やかな場所にいる時は、そこに馴染めていない感覚があった。
怒る事はあまりない。正確に言うと、怒りの感情を人に見せない。
だから、いつも冷静だし、動じる事が無いと周りの人たちには思われている。
そんな事は無い。怒りの感情はある。それを出すと後が面倒なだけだ。
今を我慢したり乗り切ればそれで終わるのなら怒らないのを選ぶだけ。
別に心を鍛えたりはしていないし、信仰している物もない。
坊主でなければ歯も全部あるし、山羊をつれてもいないし、糸を紡いだりもしない。
面倒が勝ってるだけだ。
何よりも、名を残せるような人ではないし、多くの人を導く事などできない。
誰かがそう呼び出しただけで、一面だけを見て面白おかしくつけただけだ。
ヘッドライトが照らしては過ぎ去る。青黒い空には星は見えない。
青くて丸いゴミ箱の上や横にゴミ袋がたくさん詰まれている。入りきらないゴミが溢れている。
歩く速度は一定で、すれ違う人は男、男、女、男…。何に向かっているのだろうか。
どこにいても時間は過ぎるし、何をしてても満足なんてしないのに。
振り返って走ってすれ違った人たちを追い抜く。振り返る。
その人たちはみんな不思議そうな顔で見てくる。
1人1人にハイキックしていく。右のハイ、左のハイ、右のハイ、左のハイ…。
首がほぼ真横になるほどに倒れ、目を開けたまま倒れていく。
8人くらい倒したら満足する。
そんな高さまで足は上がらないほどの身体の硬さで、格闘技経験の無い技術でハイキックする。
絶対に当たらないし、なんなら反撃されて逆にやられるだろう。顔面を殴られて歯を失い、病院で傷口を糸で紡がれるかもしれない。
そうすれば少しはガンジーに近付ける。傷口に塗る塩を獲りに行こう。
読んで頂きありがとうございました!
違う作品もまたよろしくお願いします。