95話 皇帝陛下
甲冑を着た騎士兵たちに連れていかれる。
あれ、まずい?俺、死刑?
必死に言い訳を考えようとしたが、考え付くはずもなく、俺たちは大人しく着いて行った。
辿り着いた先は、帝宮だった。帝宮と言ったら、まさに皇帝の方や皇族の方々が住んでいる場所。
(あれ、もしかして…)
俺はもしかしたら…と言う奴があった。俺が二ヶ月前に学院長に書いた手紙。
もしかしたら、その件か?
と、思った。
なら、あまり警戒はしなくて良いんじゃないか?
とも思った。
騎士兵たちの後を着いていくと、やはり人の視線がやばい。
そんな時、ある人から声をかけられた。
「あなた達!?」
その人はハンナさん。少しの間お世話になった心優しい女性で、何というかマイナスイオンを感じる。
そんなハンナさんが血相を変え、俺たちの方はやってきた。多分、俺たちが何かやったんだろうと、思っているのか。
いやまぁ、確かに。建物壊しちゃったけど、ちゃんと直したから。
違うか。そこが問題ではない。
「あなたは?」
「………私は、知人に頼まれて、この子達を案内したりと…」
「なるほど…。しかし、安心してください。悪さをして……じゃないですから」
「え?」
「「え?」」
…え?さっきの事じゃないの?
俺を含め、イネスさんやリナさんも同じ反応を示す。
どうやら、ベルトア帝王様が俺たちに用らしい。まさか、帝王直々とは正直思ってなかったが、学院長に手紙を送っておいて、正解だと思った。
「それでは、急いでおりますので」
「あ、はい。すみませんでした」
止めたことを謝り、ハンナさんには悪い事をしてしまったかなと、後悔はしている。
騎士兵の一人は俺たちの前へ。もう一人は後ろにいた。それは護衛しているのか、はたまた逃さないためか。
いやいや、考えすぎだな。
と、思うようにした方が、何かと便利だ。
帝宮に着くと、王宮よりもすごかった。
でかい時計塔や、クリスタルで八角系のような形をしているものが、時計塔の天辺にあった。
あれは何だろう?と、思ったが後で聞くことにした。
中もすごい。キラキラとした何かが見えているようだった。
騎士兵の人たちに案内されると、応接間に連れていかれる。そこにはエイダンや、ライアン。ディランにクロードもいた。と言うことは、全員が呼び出されたと言うことだった。
「さぁ、座ってくつろいでください。今すぐ陛下をお呼び行きますので」
「は、はぁ…」
そんな爽やかそうな男性は、応接間を出て行く。何故か、応接間のテーブルには俺たちの分の紅茶や、洋菓子が置いてあった。
それはまるで元から連れてくるかのような、そんな感じに思える。
「何で俺たち、ここに呼び出されたんだ?」
「アルベール、何かしたのか?」
ライアンにそう言われた。
え、ひどい!まぁ確かに建物壊しちゃったけど!!
と思っても、実際には言わない。何故なら、きちんと建物は(時間魔法で)修復した為、問題なくなったから。
ーーーーーーー
そして俺たちはソファーに座り、談笑を交わしていると、応接間の扉がノックされた。先程の人かと思い、ソファーから立ち上がり、豪華な扉を開ける。
「はい」
「陛下がお呼びでございます。皆さんもどうぞ」
「え、私たちもですか?」
「だから呼び出されたんじゃないか?」
みんなは少し困惑していた。俺だって事情を知らなければ、困惑してしまう。何故なら、この国のトップである皇帝陛下直々だからだ。
とにかく、その爽やかイケメンの人について行くと、玉座の間に出る。そこには威厳さを醸し出す皇帝陛下がお見えとなった。
「陛下、連れて参りました」
「うむ、ご苦労。早速だが先程、レーイルダ帝国の第五皇子から手紙を受け取った。突然あいつから来た手紙内容。
説明してもらえぬか?」
やばい…。だけど、やっぱり学院長からだったのか。
そう思うと、心底安堵する。
俺たちは皇帝陛下の門前で、片膝をつき、顔を上げる。
どうやら、今日手紙が届いたようだ。
と言うより、早くね…?もう少しかかるかと思ってたわ。
と、学院長の使い魔の速さに驚愕した。
「皇帝陛下。私がレーイルダ第五皇子に手紙を渡したものでございます」
目の前にいるのは皇帝陛下。もちろん、俺は下っ端の存在。その為、きちんと敬意を払い、きちんと丁寧語、そして敬語を使うべき。
「貴様か。なるほど。つまりは、貴様らがエタンの教え子と言うわけか…」
え、教え子?
皇帝陛下からのそんな言葉が発せられ、みんな疑問符を浮かばせた。確かに在籍している学院の学院長ではあるが、教えられた事は一度たりともない。いや、今はそんなのどうでも良い。
そして俺は、その手紙を出したわけを皇帝陛下に告げる。最初は形相な顔で聞いていたが、次はうーん、と唸っていた。
「まぁ、エタンの教え子なら構わん。だが、その魔石を無闇矢鱈と人に見せ場からかすんじゃないぞ。良いな?」
「はい、分かりました。陛下」
余裕そうな顔で言っていると思うが、実際緊張している。
やばー!何あの威厳!すげぇ怖いんだけど!
一言でも言うこと間違えたら、殺されそうだ!
と、内心はいろんな意味で荒れている。




