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94話 固有魔法

「バレちゃったわね」


不敵な笑みを浮かべるその女は、二匹の狼を連れていた。

確実に俺たちに威嚇をしているのは、確かだ。この人が首謀者であるのは間違い無いだろう。


それはともかくとして、何故そんな事をするのか。そんな正義感あふれる質問はしない。敵意を表しているのならば、戦うのみ。


「どうする…?」

「とにかく、敵意を見せたら戦おう」

「わ、分かった」


二人にしか聞こえないように、そう伝え、俺は様子見を心得た。


「あら、戦わないのね。残念だわ」


妖艶な笑みを浮かべ、狼たちを撫でる。余裕のありそうな笑みにも感じる。

だが、敵意を見せなくとも、はっきりと分かる。殺意満々だって事を。


「………誰も、戦わないなんて言ってないさ」


相手を俺の方に集中にさせる。イネスさんたちは相手の視界に入らないところへと移動した。物陰とかに。


さて、どうしたものか。挑発させるか、煽るか。

そんな陰湿な事をして、もし激怒したら…。

いやいや、俺は大魔導師って呼ばれてるんだぞ。今はそうじゃなくとも、プライドとかはしっかり持っている。

なら、大魔導師の意地みたいなもんだ。これは絶対に譲れないのも確か。ならば、どうやって敵を煽れば良い?結局はここに至ったが。



ーーーーーーー




アルベールたちが、スキー場で雪だるまと戦っていた頃。

ベルトア帝国の帝王は、落ち着いた様子で自分の娘である、ベルトア皇女に威厳さを醸し出しつつ、丁寧に口調で言った。


「なるほど。つまりは、レーイルダ帝国の第五皇子が直接俺に手紙を?」

「はい、内容を確認すると、どうやらエタン様の教え子の方々がベルトアに来ていると」

「なるほど。そういえば、最近。いや、一ヶ月前だったか?久々に帝都を回っていると、見慣れない顔が居たな。もしかしたら、そいつらの可能性が高い。今どこにいるのか、確かめに行ってこい」


ベルトア帝王は、騎士兵たちにそう告げた。


「「はっ!」」

「ああ、そうだ。大臣からその書類を見せてもらえ。その方が早く見つかりそうだ」

「「了解致しました!」」


ベルトア帝王は、騎士兵たちに丁寧にそう言い、騎士兵たちは大臣の元へと急行する。

その間、ベルトア帝王は煙草を吸いながら、エタン・レーイルダから送られてきた、手紙の内容を今一度確かめる。


『ベルトア帝王陛下。手紙で話すのは初めてで御座いますね。何年も会っていないあなたにこのようなお願いをするのは、気が引けますが、私の学院の生徒がそちらに滞在している模様です。そこで、ベルトア帝王に話がしたいと言う人物がいらっしゃいます。どうか、彼に力をお貸しください』




と、文面にはそう書かれていた。それを見たベルトア帝王は、その手紙の返事を書く。

ベルトア帝王は玉座から立ち上がり、書斎に向かった。

そこで、羽ペンと羊皮紙を用意し、返事を書く。


『貴様の要求は呑んだ。だが、条件がある。私の娘である、ミーアとの婚約の話だ。私と貴様はあたり親しくない関係だ。だが、今回も何かの縁。如何かな?

返事を求む』




ベルトア帝王は丁寧にそう書く。元々、エタンとベルトア対応の娘のミーアは婚約関係。だが、縁談の話はこれと言って進んでいなかった。

なら、これを機に彼嫌いを直そうと思いただした、ベルトア帝王はそう思った。


それをベルトア帝王の使い魔、鳳凰のくちばしにその返事の手紙を挟み、鳳凰は受け取ったのを確認すると、真っ先に窓の扉から旅立っていく。




ーーーーーーー



「『炎斬』!!」


俺は氷のように冷たい女———と言うのは長い為、雪女と称する事にした。実に興味深かった。東洋地方に伝わる言い伝え。雪女。

と言うのは、誰かが言っていた気がした為、そう呼称した。


氷で雪なら、炎が一番の弱点…と睨み、魔法杖から炎の剣を幻影的に召喚させ、炎剣レーヴァテインを召喚し、それを振り回す。


炎が纏わりついており、強力な武器なその炎剣レーヴァテインは雪の弱点らしい。

だが、相手も学習しているのか、氷の剣を作り出した。と言うより、氷柱ではあるが…。


「アハハハッ!!どうしたの?まだまだこれからよ!!」

「そうみたいだな…!だけど、俺だってそう簡単に負けたりしないさ…。ハァッ!!」


氷柱を跳ね返し、炎剣レーヴァテインで相手を指す。

炎が纏っている、その剣からは灼熱の温度が出ているのか、氷柱は溶け始めた。


「くっ、やるじゃない。だけど、ここは雪がたくさんある…。つまりは、私の居場所テリトリーよ!」


自信満々で言うその人は、何を言っているのだろうか。俺からしたら、だから何。と、言い返したくなる。

さて、次はどうしようか。完全に相手の視線は俺の方へと向いている。ならば、後ろはガラ空き。


つまりは、後ろは隙が見え見え。後ろに目がついていれば、避けられそう。と言う話はあるが、実際イネスさんたちが近づいているのに、気づいていないところを見る限り、多分ついていない。いや、ついていたら怖いけど。


そんな時、雪女の使い魔である、氷狼フェンリルはグルルルル、と唸り始め、それに気づいてしまった雪女は後ろを目視する。


「なっ!?」

「あ、しまった」

「ど、どうする?」

「なるほど。よくやったわ。氷狼フェンリル。後であなたにはこの子たちの、肉をあげるから安心していなさい」


すごい物騒な事を言う人だな。ど、思いつつ、俺たちは安心できない。

至近距離で打てるような位置まで、来ているはずだったが、バレてしまってはその作戦はパーとなった。


「言っておくけど、もうあんたに勝ち目はないと思うよ」

「何言ってるのかしら?あなた達ガキに私が負けるとでも?」

「もちろん、なんせ。あんたの計算に俺の実力は入っていないから」

「はぁ?」


何言ってんだこいつ。と言う顔となった。もちろん、自らバラすわけではない。それに、こんなタイミングで本来の力が覚醒したとかでもない。魔力は今まで通り。それをどう使うか。


俺が一万年前に、俺自身の固有魔法として作り上げた、そんな魔法。

威力は劣るだろうが、それでも十分の強さ。本来ならば、天変地異が起きるほどだろうからね。


「『天と地を結ぶ、神々の力。今宵を踊れ、刹那に轟け。それは数多の罠。ディオスイーラり』!!」


俺が詠唱をしている最中、大掛かりな魔法陣が展開された。それは空まで届きそうな、そんな魔法陣が。そこから大きな槍が姿を表した。

俺は空高く跳び、その持ち手部分を掴み、大きな槍を俺の持っている力と、身体能力の強化魔法を使い、それを精一杯振る。


投げ出された、大きな槍は真っ先に雪女の元へと急行し、雪女を貫いた。


「ぎゃあ!」


貫通した傷跡から光りつつ、雪女はしんしんと降る、雪の姿となる。

こんな大掛かりな魔法陣、いるっけ?と思いつつも、手っ取り早く、そして何より、渾身の一撃を喰らわすことのできる、そんな魔法だ。


だが、まだ威力は弱い方。大魔導師の力を持ったままだったら、きっとこの世終わる。

この魔法に関して、手に入れたのは結構時間が流れた。と言う、苦い思い出?を思い出しながら、雪となった雪女………じゃなくて、雪の精は再び降ってくる。


こんな解決策で良かったのかなぁ、って思いながら、少し反省の色を見せた。

ごめんよ…、雪女。力をもう少し抑え溶けば良かったね。俺も、魔力がほとんどないし。

ど、反省の色を見せる。そう、見せているんだ。


だが、まだ休憩はできなさそう。


「ねぇ、アルベール。損害どうすんの」

「ちゃんと、修復させる」


時間魔法を使えば、壊れてしまった建物とかを治すことは可能。それは良いとして、下手したら俺、死刑にされそう。


(そりゃあ、国の建物壊しちゃったからね)


そんな時、カランカラン。と言う金属音が触れ合うような、そんな音が聞こえてきた。


「どうかしましたか!」


姿を見せたのは、甲冑をきた騎士兵たちだった。

俺、終わった?



よろしくお願いします!

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