93話 氷のような女
(うざったい……)
スキー場へ遊びにきていた俺たちは、突如作り出された雪だるまを相手していた。
投石という名の雪を投げ、残り13体いるそいつらの相手をするのは、厄介だ。
…………一気に片付ける方法はないのだろうか?
そう思うほど、彼等の攻撃は厄介にも等しい。
「アルベール、どうする!?」
「とにかく、個体を一体ずつ相手するしかなさそうだな」
(……もしかしたら、投げた投石が味方に当たるかもしれない)
と言った計算もある。さて、どうするべきか…。そう言ったふうに俺たちが動かなければならない。
そう考え、それをどう伝えればいいのか、分からずじまいだ。とにかく、今大事なのは目の前の敵を倒すこと…、だ。
「はぁ…。倒すほか無さそうだな」
もう作戦とかクソ喰らえだ。今は、倒さないと行けない状況というのが確かである。
平気だ…。俺たちには、倒すことができる。それは、簡単なほどだ。
「さぁ…始めるよ!二人とも!!」
「え、うん!」
「わ、わかった!」
走り出し、俺は愛用の杖で雪だるまの魔物たちを倒す。そしてイネスさんとリナさんには、他の雪だるまの魔物を倒す。それが終わった後は、この首謀者を倒すことだ。
「行けぇ!!『炎弾』!!」
魔法陣が空中に展開され、そこから炎に包まれた弾丸が猛スピードで雪だるまに突っ込んでいく。
バーン!!
と言った音を発し、雪だるまを貫通、そして雪だるまの穴が空いたところには、火傷の跡が見られる。
「……こちらからもよ!『敵を貫く、刃となれ!雷槍!!』」
イネスさんの方では、電撃を纏った槍が魔法陣から姿を表す。それは雪だるまに向かい、リナさんは水魔法を展開させた。
理由としては、
ビリビリッ!
と、水に当たった雷槍が感電させ、それは次々と雪だるまに感電して行った。
バチバチ!
ビリビリ!
と、音を立てながら、雪だるまたちは叫び声を発しなくとも、何故だか幻聴が聞こえた。
ギャアアアアア!
と言った断末魔が。疲れているのか?と、少し不安になる。
残りの敵をも片付けようと、魔法を放ち、数を減らす。
スキー場という名前を忘れそうなほど、雪だるまの魔物たちは灰となっていた。これで一安心をすればいいのか、なんて言えばいいかは分からない。とにかく、魔物退治は終わった。
帰ろうとした時、俺の頬に鋭い刃が掠った。
「痛っ…」
「……!アルベール、平気!?」
「え、あぁうん」
「一体…誰が」
咄嗟に手で押さえ、指を見ると血が流れていた。血が出るまで切れたのだろう。それは今はどうでもいい。
俺の頬から血が流れているのを、確認したイネスさんたちは、何故か俺を守るような体制となる。
女の子から守られるのは、ちょっと嫌な気分ではあった。
「………誰が…」
そう思いながら、あたりを見渡す。そうすると、突然吹雪が舞った。自然的に出来た吹雪かと思ったが、全然違う。魔力が纏った吹雪だ。誰かが出したとしか言いようがない。
(…………誰かが、俺たちの様子を見ていた…?)
そう思うのも仕方ないだろう。視線を感じていた。何者かの視線を。それがもし、首謀者なら、丁度いい。時間が省けたのは正直有り難かった。
「警戒していたほうが良さそう。誰か来るかも……」
「え?うん、わかった」
「うん…。それにしても、怪我の方は平気?」
「そこまでじゃないよ。ともかく、現れるのなら、さっさと現れた方がいいんじゃないか?」
俺がそういうと、スキー場の受付の陰から素直な姿を表した。
氷のように冷たく、氷の狼を連れている女の人が。
「バレちゃったわね」




