89話 ベルトア帝国
そして翌日。俺たちはデールさんの案内によって、ベルトア帝国に着いた。
何故丈一郎さんが、南の国から行かないといけない理由は、南の方からでは村に近い。そして村の人たちはベルトア帝国に赴くから、門の扉の開け方を知っている。
まさに、最先端の国だ。
「な、なんだこれ!?」
どう言う仕掛けで門が開かれたのか。その隣にある【魔導回路センサー】と言うらしいが、それでデールさんは何かをしたみたいだった。
(魔導回路は知ってたけど、まさかあれからどんどん増えていったとは………)
俺自身動揺を隠せない。開かれる門から見えたのは、広大に広がっている魔導回路で作られた街が広がっていた。
「うわぁ、すごい……」
「こんなの初めて見た………」
「俺も…」
「帝国や王国じゃ、こんなのは無いからね」
「うんうん」
「まさか、こんな国があるとは…」
と、みんなはそれぞれの反応を示す。もちろん俺も、こんな光景は初めてだ。
(でも確かに、ここならこれを作れたのかもしれない………)
首にかけていた炎の晶石を、手のひらに乗せる。確かにベルトア帝国の技術なら、これを作れるのも頷けた。
何故なら、発光している街頭、魔法陣のような円、それにここからでも見える、国の人たちの腕には何かがついてあった。
「あの、あれは?」
「あぁ、あれは【魔導回路センサー】小型版だね。あれを使えば、自由に開くんだよ」
と、デールさんからこっそり教えてもらったが、この光景を見るに現実離れしてると思った。
すごい…と思っている自分もいるが、なんだこれ。と思う自分もいた。俺は北国に行ったことはないが、当時ではそこまで技術は発達していない。だが、ベルトア帝国は今の時代ではかなりの最先端な、国であると言うことは、間違いなかった。
それに腕輪の形をし、そこに魔導回路センサーが付いていることから、何かを開けるときはそれを使うのか。と、デールさんの門を開けたやり方を見て、そう感じた。
「じゃ、案内するよ」
「え?デールさんってここ出身なんですか?」
とエイダンが呟く。
「いや、そうじゃないよ。仕事の関係上、何度か入ったことがあるんだ。そしたら、いつの間にか渡されていてね」
(仕事で入らないといけない…からだよね)
そう思いながら、デールさんの後ろ姿を見ながら、俺たちはついて行った。
やはりどこもかしこも、目が慣れない。そう思うほど、色んな仕掛けがあり過ぎた。だけど、よくよく見ると街並みや、市場、建物などは俺たちがよく知っている、帝国や王国の風景には似ていた。一つだけ違うのは、その魔導回路センサーという訳だった。
ーーーーーーー
ベルトア帝国に着き、だいぶ時間が流れる。デールさんは何かを思い出したかのように、慌てふためき、ある場所へと向かった。俺たちはそれに慌ててついていくと、頼んでいるデールさんの姿と、髪がロングの女性がやれやれと言った顔の構図が映し出される。
「あの、デールさん?」
俺が恐る恐る聞くと、その人の紹介を始める。
「あぁ、すみません。実は自分、やらなきゃいけない仕事がございまして。彼女に国を案内してもらうかと」
「だからその人に………ですか?それなら、ごめんなさい。こんな事に付き合わせてしまって」
「いえいえ!いいんですよ。って言うわけでお願いします!」
と、再び頼む姿が俺たちの目には映し出される。そんなデールさんの姿を見た女性は、ため息をついた後「分かった」と言って、了承を得てくれた。
「ありがとねー!」
と、デールさんは手を振りながら、走り去っていく。
「さ、行きましょうか」
「あの、本当にいいんですか?」
「いいのよ。いつもあの人には頼まれっぱなしだし。じゃあ、どこから見て周りたい?私は案内役になったわけだし」
胸を張るその人だった。のちに名前を言われた。その人は『ハンナ』という名前らしい。
じっくりと見られなかったベルトア帝国の帝都を、再び周る。やはりすごい。と、何度も感じてしまうほどだった。
そんなとき、俺はふとハンナさんに聞いてみた。
「ハンナさんって、デールさんとはどう言う関係なんですか?」
「幼馴染だよ。あの人の向かいの家に住んでるの」
「え!?」
それを聞いた瞬間、昨日デールさんが言っていたことを思い出す。
と言うことは、デールさんが好きなのはハンナさんだ。と、脳内変換された。
そのあとは何故かあまり集中できずに、その日を終える。
終える前にはハンナさんが宿屋を取ってくれて、寝る場所には困らなかった。




