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番外編1 恋バナ

夜中、デールさんと鍛錬が終わった時、俺はデールさんから恋バナの話題を振られる。だが、そんな感情をしたことがない為、曖昧にし、逆にデールさんに振った。そうすると、歯切りが悪そうに答える。


「言わないでくださいね?………実は、向かいの家の人が好きなんです」

「向かいの家?」


そう指摘され、俺はそのままラングニックさん家の真前にある家を向く。同じ木造で作られた家だった。


「あの向かいの人ですか?」

「……そうなんです。その人とはだいぶ前から知り合いで…」

「ヘェ〜、どんな人なんですか?」


と、聞くとデールさんはなぜか、照れながら答える。


「すごい可愛くて、しかも優しい人なんです。料理は苦手らしいんですけど、それでも一生懸命に作るその人の姿を見ると、なぜか愛おしく思えて…。それに、その人の笑顔を見ると一瞬で疲れが飛ぶんです!」


と、元気よく言った。つまりは、それぐらい好きだと言う気持ちがひしひしと伝わってくる。


好きな人か…。そんなのとは無縁だからな。


と思っている俺とは、大違いなほどの反応である。俺は恋をしたこともなければ、異性を見て好きだと思ったこともない。そのため、恋愛なんて無縁だと思ってた。だけど、隣で楽しそうにその人の話をするデールさんの姿を見て、片想いっていうのは、とても素敵なんだなぁ、と感じるようになる。


「告白したんですか?」

「えっ!?いえいえ、まだですよ…」


デールさんの姿からは見たこともない、モジモジとした感じで答えてくる。


何だろう。乙女か?


と感じたが、恋をした男子でもこうなるのだろうかとも、思ってしまった。


俺もそうなれば、同じ気持ちになるのかな?


と、ありもしなさそうな未来を思い描く。


「………すみません。自分ばっかり話してしまって。で、どうなんですか?アルベールさんは。好きな人の一人か二人くらい」


すぐさま豹変し、また俺のその話題に食いついてくる。その機と思って改めて考えることにした。


俺のタイプはどんな感じなのか?とか、

年上?年下?とか、

性格は?とか、


思いつく限りは、ある程度出てきてしまう。

タイプ、年齢、性格、容姿。


そんな時、ふとした瞬間クロードが頭に思い浮かんでしまう。クロードで例えるなら、銀髪少女、同い年、優しい?それとも…何だろう。


「……うーん…」


腕を組み、案外にも難しいものなんだと思ってしまう。

だが、なぜクロードが頭に思い浮かんだのかは、全然分からない。クロードの事を異性として見ているから?だから、思い浮かんだのだろうか。それとも、ラングニックさん家の扉から顔を出しているクロードを見て、そう思ったのか。


「……………………」

「…………………えっと」

「何やってんの?」


俺とデールさんは一斉にクロードの方を見て、クロードは慌てふためている。

なんだ、この状況。てか、そもそもクロードも起きていたのか。


と言う感情が現れてくる。さっきの思っていたことが吹っ飛び。


で、結局はクロードも俺の隣に腰をかけた。どこまで話を聞いていたのか、俺は聞く。


「どこまで聞いていたの?」

「え、えぇと。好きな人の一人か二人くらいの辺りから」


それを聞いた時、デールさんは確実にホッとしていた。胸を撫で下ろしてなくとも、撫で下ろしたような気のしてたまらない。


「で、ええと、アルベールは居るの?好きな人」


と、予想外の答えが返ってくる。だが、嘘を言うこともないため、俺は正直に話した。


いや、いないよ。と。そしたらなぜだろう。クロードは確実にがっかりとした対応を取る。


え、なに?と、なぜか複雑な気持ちになる。


「えぇ、と。なに?」

「いや、別に」


明らかに拗ねているであろう、反応を示す。それを見たデールさんは明らかにニヤニヤしていた。


この反応が気がかりだ。と思い、デールさんの反応は無性にムカつく。


「そう言うクロードはいないわけ?」


若干嫌味のある感じで言うと、顔を真っ赤にさせた。それはそれはもう、りんごのように。つまりは、好きな人がいると言うことだ。反応が分かりやすくてありがたい。


「…………え、なに?」


おっと、顔に出ていたか。少しニヤついた顔であろう顔で、クロードを見ていたのが、見られてしまった。


「………で、居るの?」

「…………うん」


と、控えめに頷いた。なぜだろう。その反応を見ると、再び複雑な感情が現れる。それは【からかいたい】と言う気持ちだ。自覚している。


そう言う反応を見ると、何故だかからかいたくなると言うのが、人間の性だろう。その為、人物名を言っていった。知っている限り。


「えーと、エイダン?」


と聞くと、首を横に振る。


「じゃあ、ライアン?」


と聞くと、首を横に振る。


「え、じゃあクローヴィス?」


と聞くと、首を横に振る。


「じゃあ、イネスさん!」


流石に兄であるディランは違うと思い、ディランを飛ばし、イネスさんの名前を出す。好きになる対象は人それぞれだ。その為、もしかしたら、と言う思いで女子の名前を出す。が、首を横に振る。


「えぇと、じゃあリナさん!」


それでも首を横に振る。誰だ?クロードの好きな人。そう思っている時、何故だかデールさんは退散していった。どうやら、眠気が来た為だったらしい。こんな状況で二人きりにされると、ものすごく気まずい。


「え、と。じゃあ、誰?」


と、遊び半分で聞いてしまった事を、多少後悔してしまう。別にいいじゃないか!誰を好きになろうと!俺はクロードの友人だ。その為、クロードの恋を応援する!と言った気持ちでクロードをじっと見る。





ーーークロード視点ーーーー


アルベールにものすごく、見つめられている。それだけでも、胸の高鳴りは激しく鼓動を打っていた。今私、きっと顔が赤いと思う。何故なら、体全身が熱いからだ。

言っていいものなのか、分からない。だけど、勢いで行ってしまった。


「好きなのは…………アルベール。あなただよ………?」


声が裏返ってしまった。恥ずかしい。そう言った後のアルベールの顔は思いっきり驚いている。胸の鼓動はヒートアップし、ついには耐えきれなくなり、私は家の中に入ってしまう。


「はぁ…はぁ…はぁ…。まだ、顔が赤い………」


閉めた扉に背中を寄せ、胸をギュッと握った。


いつからか、私はこのような思いに心を支配されていた。だけど、きっかけは知っている。それは、クロードが私を、私自身の存在を認めてくれたから。


私は、家では非難されている。親からも使用人の人からも。アヴェリーノ家では、女で生まれてくる事を、許されていない。“それはしきたりだ”。とか言われて。男尊女卑。と言えばいいのだろうか。


唯一味方してくれていたのは、兄であるディランだけ。ディランのように男の人の格好をし、髪を短くし、男の子の服とかを身につけ、騎士団にも入った。そうすれば、認めてくれる。と、思ったから。


だから、入学した時も私は男装をした。だけど、それをアルベールにバレた時、私は変だと思われてもいい。嘘をつきたくなかった。だけど、その時のアルベールの反応に驚きを隠せない。


『え、君は私のこと………拒絶したりしないの?』

『しないよ。だってクロードは俺の友達だもん。友達であるのに意味なんてないだろ?』


その一言がきっかけで、今の私がいるようなもんだった。だから、アルベールには感謝していた。そんな時ではただの友人だと思っていた。


だけど、アルベールがリナさんを助けに行く時に見た、あの真剣な顔。そしてアルベールが倒れてしまった時の出来事、それに帝国に魔物たちが押し寄せてきた時。色んなアルベール表情を見ていた時、徐々にアルベールに惹かれている自分がいたことに、気づいてしまった。


それは憧れからだと、当時は思っていた。だけど、次第に胸が高まっていき、次第に胸が苦しくなっていくことに、気づいてしまった。そしてアルベールが側に居るだけで、鼓動が速くなっていく事を自覚してしまった時。


その時に自覚したと思う。私は、アルベールが好きなんだって。それは友人としての好きではなく、一人の人として。


(はぁ…、だからってあんなタイミングで言うなんて…。ほとんど勢いに任せただけの告白じゃん………!)


言ったことに後悔したとしても、この気持ちが芽生えたことには後悔していなかった。








ーーーアルベール視点ーーーー


どうしよう。ホントにどうしよう!?え!?クロードから告白された!?


それだけでどうすればいいのか、慌てふためいてしまう。


あの、クロードの表情。月に照らされていたクロードの銀髪が光、俺には影ができていた状態での告白。


いや、それよりも!俺は誰かを好きになったことは一度たりともない。て言うより、好きだと言う感情がいまひとつ分からなかった。

それは単なる俺の経験不足………いや、それが原因だろう。


「………………こう言う時って返事を考えておかないとだよな。………………やばい、全然頭が働かない。流石に適当に答えるわけにもいかないし………」


とぶつぶつ考えていると、あっという間に時間は過ぎる。その分眠気は襲ってきた。頭が働かない状態ではいい答えが見つかりそうになかった為、椅子から立ち上がり、扉を開ける。


エイダンたちが居る寝床の方へ行き、そのまま布団の中に入った。


(なんだろう、この複雑な気持ち!!)


先程までクロードで反応が面白いとか、可愛いとか思っていた自分をぶん殴りたいと思いながら、俺は瞼を閉じ、意識を手放す。

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