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82話 黒いシルエット

黒虎の鋭い爪が、一撃を振るう。それを避けるのに必死だった、イネスたちはなんとか持ち堪えているようだった。

息が上がり、相手の強さに圧倒されてしまう。このままだったら、為されるままとなってしまう。


(くそ、俺の………大魔導師としての力が制限されてなきゃ、こんな相手いとも簡単に倒せるのに……。だけど、そうなってしまえば、イネスさんたちにバレてしまう。それだけは避けなきゃ……)


頭では対処がわかっているアルベールも、大魔導師と言うことは隠しておきたい。なぜなら、1万年前の人間が、今この時点にいる方がおかしく、おそらく信用しないだろう。説明するのも長ったらしい。それは避けなきゃ行けない者だった。


(ともかく、どうすれば良いものか……)


頭を唸らせ、戦いながら対処方法を考えていた。杖から魔法を放ち、ダメージを与え、確実に倒していくことに決める。だが、それがいつまで持つか。アルベールの魔力量はまだあるが、正直疲労が溜まっていた。

それにイネスは魔力がほとんど無し。サルヴァトーレも微力ながらに戦っている。そしてジュリオ。彼の魔法は見たことない魔法が、放たれているのを目視する。


「その魔法………」


「え、ああ。これは俺のオリジナル魔法。術式とかを変えたんだ」


アルベールの方を見なくも、きちんと説明するジュリオであったが、術式を変更した?つまりは、それはだいぶ前からなっていた。と言うことになりうる。 


「………そうだ。なら、ジュリオ!確実に打撃を与えることのできる攻撃魔法はない!?」


「え、打撃を与える攻撃魔法?それはほとんどそうだが………。あっ!ある……」


思いついた顔でそう言い、アルベールはそれが何かを聞く。ジュリオは少し唇を噛み締めながらも、教えた。その魔法を。それは———【血液魔法】


とっても危険な魔法かつ、魔法の打撃を与えることのできる魔法。

自分の血液を必要とし、それを魔法として出し、相手に確実な打撃を与えるが、それをやりすぎると、死に至ってしまう魔法だ。

この元々の題材としては、【水流魔法】ではある。水流を操作したり、水流を出すことのできる魔法の術式を変え、それを血液に変換させる。


それを事細かく説明する。それを聞いたアルベールは顔を顰めた。流石にそんな危険な真似をさせることは出来ない。と。


「…そうか。悪い、さっきのは聞かなかったことにしてくれ。何とかして黒虎こいつを倒そう」


「あ、あぁ……。僕の方こそごめん」


二人の間には重たい空気が流れるが、実際は仕方ないことだろうと、感じ取ってしまう。それは何故か。血液魔法は自分の血液を要する。それを使いすぎると、大量出血となり、死に至る。それは危険な魔法の一種となるのだ。

本来なら、禁書に含まれているのだが、何故だがそれを扱えるようになったジュリオであった。


「ぐっ、これなら………」


アルベールは銃を召喚し、それを黒虎の方に向けさせる。

魔力を注ぎ入れ、銃を巨大化とさせ、それを必死に両手で持っていた。流石にこのままじゃいずれは魔力や体力、気力が無くなり、お陀仏になる可能性が大と試みたアルベールは、一斉に型を付け足させるため、銃に魔力を注ぎ入れ、巨大化させ、それで放たれる弾丸で一気に決着をつけさせる。と、いった感じである。


「これだったら、ダメージ数も普通のサイズより倍となる。これでも———、」


引き金部分に指を持って来させ、それを引く。


「———喰らえ!!」


発射させる弾丸が放たれ、それは黒虎の方へと向かって行くも、この場にいた皆が予想した出来事とは異なってしまった。それは、誰かがそれを止めたから。


「………!?誰だ………」


「………!!何で、ここに」


「おい、ジュリオ」


「うん、きっとそう」


それぞれが反応を見せ、弾丸を止めたやつの顔を見る。そいつは人間のような形をしているも、全く異なる。

そいつの体ば全身が真っ黒だ。つまりは、あいつらの仲間の可能性が現れてくるのだと言う事を。


「ふん、こんなの簡単に止められるさ。さぁ、ショーを始めよう。これがお前らにとっての最期とは、ならない事を祈るよ。こんな場所が終着地点なんて嫌だろうからね」


見た目は老人であるが、顔がはっきりと見えない。だが、声は掠れ掠れであり、彼が何者なのか、この場にある全員は知らない。老人か、はたまたそれに似てた人物か。


だが、かなりの確率で老人だろうとみんなの心中は一致した。

理由としては、老人の人たちがよく使うような、日常的な杖。それを片手に持っているであろうシルエットに、注目したときに見たため、それで老人なのではないか。と言う憶測が飛びまう。


「………誰だ」


低い声で言うジュリオである。それに応答するかのように、攻撃をする黒いシルエット。

それを避けるため、その攻撃から離れる。


「ハァ…。ふっ、どうする?」


「はっ…?何が……」


言った言葉の意味が分からず、聞き返すアルベール達。どんな意味で言ったのか。耳を疑う。


「さぁ、黒虎よ。こいつらを噛み砕け!」


そう威圧ある声で叫び、それに応えるかのように黒虎はアルベール達の方へと、襲いかかってくる。

黒虎は虎特有の鳴き声を発しながら、爪を立てながら、襲いかかる。


「ぐっ!」


「………ッ!」


「危なっ!」


「やばっ!」


それぞれ小さな悲鳴を上げ、黒虎の爪攻撃を与えられないように、華麗に回避する。

どう対処するか。考えながら攻撃を回避するのは、だいぶ難しい。後先後先の攻撃を予想しながらな為、大変なのものだ。器用な人物でない限り。アルベールはあまり器用じゃない。その為、一つに二つのことをする事は出来ない。


(どうする…、どうする……!何とかして倒さないと……。それに、あのシルエット。敵意がありそうだな。つまりは、俺たちの敵……!敵を二人相手しながら……。くそ、あの時もう少しタイミングを見計らえていたら、あの人に止められていなかったら……!)


銃に注いだ魔力は、殆どと言って失ってしまった。早まりすぎた。と、アルベールは後悔していた。予想外な展開に、予測することができなかった事を。


(こんな死活問題のような状況……。どうすれば良いか……。剣や銃———物理的攻撃でやるしか………なさそうだな)


それしか無いと感じたアルベールは、杖と引き換えに銃に変換し、それを武器に倒すしか無いと。


(これで何とかしないと……)


魔法から物理的攻撃を催して、敵を倒すことに決めたアルベールは、イネス達にそう伝え、役割を決めることにする。





アルベール→遠距離攻撃


イネス→近距離攻撃


サルヴァトーレ→魔法サポート


ジュリオ→魔法サポート

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