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80話 炎の晶石発見

亜空間から地下へと繋がる道が開かれた。アルベールは金色の髪を靡かせながら、階段を降りる。若干か、どこから風も流れ込んでいるようだ。

アルベールは不思議に思いながら、段数を一段一段降りていくのである。


階段には蝋燭が立てられてあり、扉の方から流れてくる風で、炎はまばゆく揺れる。扉からは若干の隙間ができていた。そこからそよ風が吹いていた。


(………ここか)


少し警戒をしながら、影族シェードの一人、アルベールを襲ったあの男が、言っていた言葉を思い出す。


あの男は、生前は【ルフレ】と言う名前らしい。そのルフレは淡々と話し始める。アルベールが行こうとしている扉には、サルヴァトーレの親友。ジュリオがいる事。そしてサルヴァトーレの本体の体がある事。

そしてここに辿り着く前にも、ルフレは全てを話す。


・家族が殺された事。


・亡霊となって、黒い体のままで神殿ここに囚われている事。


要点となるのはこの二つだ。聞いたアルベールは顔をしかめる。心中で変な渦が巻いてしまう。それが台風のように、周りに周り心の中をモヤモヤさせてくるのだ。

ルフレが———影族シェードがどれほど辛かったのか、アルベールは想像もできない。味わった気持ちは、本人にしか分からない事。


だが、ルフレは憎悪に支配されていた。憎悪のどこかでやりたく無いと考えいる、ルフレも居たらしいが、それよりも憎悪の気持ちが強かったせいか、制御できなかったと。ルフレはアルベールに告げた。


心を乗っ取られていた———と言うべきなのだろうか。それがどんな苦しいものなのか、想像を絶することができない。ただの空想の思いにしか、ならないのだから。


(よし、中は入ろう)


いよいよ階段を降り、扉との距離はほぼ数メートルである。重たい石扉をゆっくりと開け、中は入る。

中はまるで尋問部屋のような感じだった。視界に入ったのは、口を猿轡さるぐつわを噛まされており、手首を締められている男がいた。


その男はゆっくりとアルベールを見る。最初は怯えていたし、反発もしてきた。だが、アルベールが説明をすると、大人しくなる。敵じゃないと分かったからだろうか。


「ジュリオ………だよね。君の友人と共に、助けに来た。さ、一緒に行こう」


猿轡を外し、ロープも取り外す。口を自由に開けられるようになったジュリオは、嬉々とした顔をしていた。自由の身となったジュリオは、両手を大きく広げ、そして万歳をする。


「あ、ごめん。僕はジュリオ。オーラドピア共和国の出身なんだ。よろしく」


「ああ、よろしく。俺はアルベール。帝国出身なんだ」


「ベルトア帝国の?」


聞きなれない単語を聞いたアルベールは、疑問を浮かばせ、首を傾げる。

ベルトア帝国?と言うのは、どこの国なのか。と。


「じゃあ違うのか…。なら、ルーロシ帝国から?」


またもや聞きなれない単語を聞く。どこの国なのか、検討もつかなかった。だが、ちゃんと説明していない自分が悪いと、アルベールは思い、しっかりと伝える。


「ルーロシ帝国…?というのは、分からないけどレーイルダ帝国の方から来たんだ」


「レーイルダ帝国?あぁ、中央大陸に存在する国か!へぇ、結構遠くから来たんだ」


「まぁね」


初対面の割には結構話している二人であるが、アルベールは一つの疑問に気づいていた。それはジュリオが首から下げているものに関してだ。

それを指摘すると、「ああ」と言った声を出し、説明する。


「これは貰ったんだ。誰かから。誰かかは知らないけど、確か、僕より二つ年上の人っぽそうで、どこかの貴族の人?だったと思う。紋章つけてたから」


(どこかの貴族?紋章?)


何故だか妙に引っかかってしまった。違和感を感じる——とも言うぐらい、なぜがスッキリしない。


「そういえば……サルヴァの体がない………」


「サルヴァの?あれ、ほんとだ。どこ行ったんだろう」


(どう言うことだ?この人は知らないのか?)


不気味とも感じ取れる。なぜいないのか。誰かが連れ去ったのと言う解釈も出来るもの。だけど、人の気配はあまり感じ取れないアルベールは、不思議そうな顔をしながら、手を顎に当てていた。


それよりも、ジュリオは首にかけていたものを取り出す。それを見たアルベールは衝撃を受けたのだ。なぜ、“それが”こんな所にあるのか。と。


「な、なんで、これが!?」


「え、あ、もしかして君の?」


それは【炎の晶石】


無くしたと思っていた、アルベールの大事な魔石である。赤く光るその魔石が、なぜジュリオが持っていたのか。渓谷に落ちたとき、どこかに落ちた炎の晶石を、なぜ偶然にもここにあったのか。


さらに混乱が生じる。まるで繋ぎ止めていた考えが、一瞬でバラバラになったような、そんな感覚をしたアルベールであるが、今は炎の晶石を取り返すことが先決だ。


「それ、俺のなんだ。返してくれ」


「うん、分かった」


素直に返してくれたジュリオにお礼を言い、炎の晶石を再び首に通す。

銀色の鎖が首にかかり、首筋に冷たさを感じる。久々につけるような感覚を、催したアルベールは胸を撫で下ろす。

炎の晶石には【魔波】と呼ばれる、性質が組み込まれている。それが反応すると、魔石の表面が赤く光、強くなっていくと、次第にその光も大きくなっていく。

それは魔物の察知とかにも役立つ。今までの経験上ではある。


(とにかく、これを見つけれたから、魔獣騒動を抑えることがもう一度できる。今回の国は、リヴァイアサンだったから、まだ良い、のか?とにかく、ほんと戻ってよかったぁ………)


安心に包まれたアルベールは、ジュリオと共にサルヴァトーレの本体を探す。

ルフレはサルヴァトーレの体は、ここにあるとはっきりと証言をした。だが、どこを隅々まで探しても、サルヴァトーレの本体である、体は見つからなかった。


(一体、どう言うことだ?何か、嫌な予感がする)


不穏な空気がアルベールの中には漂う。何か、起こるのではないかと。考えすぎか。とも、アルベールは考えたが、実際サルヴァトーレの体がなくなっている。そしてサルヴァトーレの影自体、どこかへ消えていた。いや———亜空間から帰ってきた時から、サルヴァトーレの姿を、アルベールは見ていなかった。


不思議に感じるアルベールは、もう一度よく探す。神殿の隅々を。

今の時点でブックマーク52!一つ減りましたけど、それでも嬉しいです!

面白い作品を書いていかれるように、努めますのでよろしくお願いします!

ブックマークありがとうございます!

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