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71話 南の国 オーラドピア共和国

「………南の……国?」


「どういう事?」


驚きを隠せないまま、佇んでいる。太陽の光が海へあたり、海面がキラキラと輝く。

十一月だと言うのに、国の人たちは薄着を着ており、帝国と南の国は気温が違うと言うことが、はっきりと分かる。

帝国での十一月はとても寒い。だが、北の国は更に寒いと言う噂だ。




「それはそうとさ、どう言うことだよ」


「理由は簡単。“時空空間移動”。ワープと言うわけだ」


「あー、なるほど…。じゃあなんで襲ってきたんだよ?」





気になる事をぶつける。何故親切丁寧に説明する代わりに、襲いかかってきたのか。それが不可解だ。神妙な顔で、そいつは続ける。




「これも簡単な理由だ。さっきいた場所はもともと古代文明が栄えていた場所。だが、今となっては荒んでいる。何故お前が、古代魔法を扱えたのかは、分からないがな」





鋭い目線で睨んでくる。下手したらバレかねない。俺の正体を知っているのは、リアン先輩ただ一人だ。

これ以上、俺自身の正体をバレてはいけない。


ある程度の古代魔法は控えるべきだろうか……?




「ま、まぁ……あはは……」




苦笑するしかなく、頭を掻く。

辺りを見渡すと、エイダン達はまだ来ていない事が分かる。

その為、一足先に南の国である“オーラドピア共和国”を見て回ることにした。









♦︎






オーラドピア共和国は、海に近い国であり、唯一海にビーチがある場所で有名だ。その中でも恋人同士が訪れる場所でも有名な地。パワースポットがある場所でもある。

気温は暖かく、夏は40℃を超える場所だ。

国に入った所、黒い影の人物に手を引っ張られ、物影がある場所に連れてこられた。




「なぁ、一つだけ聞いて良いか?」


「何?」


壁の方にドンされ、顔が至近距離にあった。睨むような顔で、そいつに問われる。


「なんで古代魔法が扱えるんだ?」


「………!?」


釘付けなのだろうか、先程の一言を言われた。このまま誤魔化しても良かったのだろうが、どうすれば良いのか。話せば良いのか………。

いや、信用できないこいつにそんな事言えるはずがない。

俺にとって、大魔導師アーベルと言う事実はものすごく大事なことだ。それを、口ベラベラと言っていいのか………?


「別に……、たまたまだろ」


「たまたま?んな訳ねぇだろ。今の人間に古代魔法を扱えるはずがない」


目を逸らし、壁ドンしてあるその手を退ける。

そもそも、なんでそんな事を言われなきゃならないのか。

だから告げた。


「なんで、そんなこと言わなきゃいけなんだ?敵にそんなこと言えるはずないだろ」


「………………そうだな…。俺とお前はさっきまで戦ってた。そんなやつに言えるはずない………。賢明な判断だろう」


「あぁ、あんたが敵なのか味方なのか……。あの短時間で決めれるはずない。これだけは言う。あんたは、敵か、味方か、どっちだ?」


「………………言えないな。俺がお前ら襲った理由……。それはきちんとした理由がある」


そう神妙な顔で、伝えられる事実。それは———。






「なっ!?」


「………立ち向かう事が出来なかったんだよ…。だから、お前らを巻き込んでしまった。すまない」

  



そう謝られた。悔やんだその表情で謝られると、さっきまでの気持ちが全部じゃないが、やらせない気持ちとなる。






♦︎





それから、イネスさんが宿屋を借りていたのは助かった。その宿屋で一泊し、自室に向かう。

南の国では、海面に浮かぶ月明かりと、雲から顔を出す月明かりが一致して、幻想的な風景だった。

自室から見えるその風景は、夏に見たいと思わせるような、風物詩。

ベランダに出て、その眺めを見ていると、昼のことを思い出す。結局と言って、炎の晶石も、ブローチも見つからなかったのは、残念だった。

今、俺の手元にあるのはブレスレットだけ。


「大切な人を守りたい………為に」


あいつが俺たちに襲いかかってきた理由。それは、俺が亜空間に送ったあいつに、脅されていたとの事。

大切な親友を守る為、自分が敵となり、他人を傷つける役目に成り代わる。

とっても素晴らしいものだと思った。だけど、自分自身より、他人優先な考えが、後々痛い目を見る事を。


俺は、心のどこかで感じていたんだろう。


いや、違う。あいつもライリーも自分から動き、自分で考えて行ったんだ。


ライリーは、エヴィを……好きな人を守る為に———。この身を犠牲として、立ちはだかった。自分の好きな人の婚約者相手に。あの、狂った婚約者相手に楯突いた。


「俺も、そんな風に………なれるのかな」


大魔導師であった俺には、友人なんてさほど多くなかった。大事な友人と言える人物は、マーティナだけ。

俺は、あいつを守る為に———。あの黒い影に———。





(黒い影……?そう言えば、亜空間へやったあいつも黒い影。だけど、強固な体に覆われてなかったし……。ただの偶然?影へ移動することができる)


「影は………………無くならない………!?」





咄嗟に後ろを振り向き、光魔法を放つ。光に当たる俺の後ろには、黒い影が現れる。光の進行を遮れば、影は作れる。


太陽や光があれば、影は無くならない。光の進行を止めた時、それに乗じてなる影。




そして、あいつらは俺とイネスさんの影から現れた。


(もし、あの黒い影が何者かからの、影から出来た場合。物陰から人影へと移ることができる。つまりは、影が作れる状況は、常に、あいつのテリトリー。あいつが何者で、どこから来たのか。そして、あの強固な体が何なのか……。調べる必要がありそう………。北の国へ行けば、何か分かるかもしれない)





マーティナ・ヘルグビュイの事と、魔石のこと、そして、その黒い影のこと。

魔石に関しては、探さないといけないが、マーティナ・ヘルグビュイに関しては、炎の晶石が作られたのが、高度な文明を持つ北の国へと行けば分かる。

マーティナの事だって、何か印があるはず。





(記憶の回路を繋いで行き、辿ることができれば、黒い影が何なのか、分かりそうなのに………!)





手を強く握りしめ、光の球体を消す。だが、先に優先しなくちゃならないことは、魔獣騒動のことだ。

全国に異常多発する魔獣騒動の原因。俺自身が、なぜ転生出来たのかの、要因。それらが分かれば、何かが繋がりそうな。そんな予感がしてならない。





(エイダン達がここにやってきた時に、実行しよう)


そう心に固く繋ぎ、そのまま自室に戻り睡眠を取った。

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