68話 光の玉
———大丈夫、例えこの先何があっても…。俺は君を———君たちを守り抜くよ。“見えなくとも”ね。
(誰だ……?この声……。だけど、聞き覚えがある…。もう、聞けないと思ってた、“あいつ”の声に)
意識の底から見える、光り輝く何者かの形…。誰のものか。
アルベールは意識の底から、意識を取り戻す。それが誰なのか、必死に手を伸ばそうとするも、鈍器で殴られたかのように、また眠ってしまった。
♦︎
「んっ……うぅ……あれ……?」
目を覚ますと、後頭部が痛かった。手で押さえると、真っ赤な色が手のひらにつく。
「あ、そっか。落ちたんだったな」
上を見上げると、光が当たらない深い場所まで落ちていた。
「そうだ、イネスさんは?」
一緒に落ちてきたイネスさんを探すと、すぐ隣にいた。彼女は傷ついている場所は見当たらなかったが、ともかく無事で良かったと、安堵する。
「イネスさん、イネスさん」
起こそうと思い、体を揺らすとすぐさま目を覚ます。目をパチパチとさせ、キョロキョロした。焦った表情で上を見て、不安そうな顔となる。
「………大丈夫、きっとみんなのところへ戻れるよ」
「そうだと信じたいわね」
俺たちの周りには、馬車の亡骸があった。落ちた衝撃でバラバラとなった馬車の木の破片などが、見当たる。
(ほっ、ともかく馬だけでも切っておいてよかった)
あの高さから落ちれば、きっと馬は死んでいただろう。
………あれ?一つだけおかしい。
(俺たちは………なんで死んでないんだ?)
それが不可解だ。イネスさんは見るからに無傷。俺は頭から血が出ているだけで、他の外傷はない。
あの高さから落ち、無事であるはずがない。なのに、生きている。
(………どういう事だ?)
不気味そのものだ。そして、一つのことに気づく。
「あれ?」
「どうかしたの?」
「ブローチがない……。それと炎の晶石も!?」
胸元につけていたブローチと、首につけていた炎の晶石が無くなっていた。落ちた時に、外れてしまったんだろう。
(どうする……。風魔法で上昇できそうだが、あの二つを見つけない限り、戻ることはできない。………………はっ、予定通りに行かないのは、こういう事だな。それに、なんで橋が壊れたのか。全然わからない事だらけだな)
マーティナの事、古代英雄本に関しては、記入ミスだろう。そして、橋が壊れた事。何者かの仕業なのか。それしかないと考えるべきか。
「とにかく、先に進むしかなさそうだな」
「………でも、前は行き止まりだよ?」
「まじかよ………」
先に行くために、周りを見渡す。それとついでに、ブローチと炎の晶石を探す。
(………何もない……か)
イネスさんと一緒に探している最中、光の玉が見えた。
(あれって………)
夢なのか、現実なのか———。
そして聞き覚えがある声———。
見覚えのある光の玉。あれが何なのか、謎に包まれている。
あれを辿ればもしかしたら———出口にたどり着けれるかもしれない。




