66話 二人だけの秘密
そしてそれからまた一週間後。風景は丸変わりし、山越えとなる。
「振り落とされないようにしないと………!」
「そうだな………!」
喋りながらだったら、舌を噛みそうなほど、道はでこぼこだ。馬車から振り落とされないように、必死に掴めそうなところを掴み、山を越えていく。
(こんな所、通らないといけないのか……)
ため息をつき、為されるがままにだった。
周りは木の実が生えている木がずらりと、並んでおり、鳥の鳴き声も聞こえる。
自然に囲まれる中で、馬車は走り続ける。
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そして、夜。時間は深夜の2時だ。不意に目が覚め、見張りをしているクロードに見つかる。
「どうしたの?こんな時間に」
「ちょっと目が覚めてね。クロード、交代しようか?」
「ううん、平気。そうだ!話し相手になってよ。見張りしてる時って、暇でしょ?集中力がないとダメだし」
「良いよ」
俺はそう言い、クロードが座っている石の上に俺も座る。その日は月が出ていて、星も空満点にある。
辺りに光がないだけで、星は更に輝き出す。それは目の錯覚だろうか……?
だが、そんなのはどうでも良い。この景色は最高な良いものだ。
俺は、心中内で良い、空に向かって手を伸ばす。
「ねぇ、クロード。星ってさ、物凄く綺麗だよね。どこから見ても星空は綺麗で、見惚れてしまうほど。どんなに離れても、この星空だけは共有できる」
そう。俺が大魔導師である時も、星は綺麗だった。
それは、誰かと共有する事で、更に分かち合うことができる。それはきっと素晴らしいものだ。
「そうだね。確かに、届きそうに見えてしまう。だけど、ここから星までの距離はかなり遠い。近くにいそうで離れてるんだよ。星達は。でも、確かにこの星空は誰かと共有することができる。それが、星たちにはできるんだ」
クロードの横顔から見る笑顔は、とても眩しいものだった。そして、その横顔には見覚えがある。
(………………!マーティナ)
1万年前に存在し、俺が大魔導師であった時と、同じ。マーティナの横顔。
それは、とても綺麗な線で、月の光が白い肌を写す。そんな光景が、今頭に浮かんできた。
「そうだ。ねぇ、アルベール」
「ん?何?」
さっきまで星の話題をしていたクロードの口から、衝撃的なことを言われた。それは———。
「———一週間前の夜、その………なんで泣いていたの………?」
「………………!」
頭が混乱する。なぜそれを知っているのか。導かれる答えは、“見られていたから”しかない。
気配を感じなかった。誰かが聞いていたなんて。
「ごめんね………たまたま見ちゃって………」
(泣いている姿なんて、見られたくなかったのに………)
そのまま俯いてしまう。そんな状況で、横目からでも分かる。今、クロードはあたふたして、焦っていること。
(だけど、減るもんじゃないし……)
そう考え、頭を上げ、クロードの方を見る。焦っている顔を見て、俺は少し笑った。
「………?」
なんで笑ったのかが、意味わからなかったから、疑問符を浮かばせる。俺は気にせず笑っていた。
別に気にすることじゃなかったかもだったから。むしろ、そんな事を今更言ったって意味ないと。今まで気にしてた事が、馬鹿馬鹿しかった。
♦︎
星が広がるその下で、笑う声と困惑した顔をする少女が居る。みんなが寝静まっているそんな中、アルベールとクロードはお互いに、少し気を許していた。
「あ、内緒にしといてよ?俺が泣いてた事」
「………なんで?」
「なんでも」
そう釘付けをするアルベールであった。




