57話 魔石本
疑いの目は晴れ、命は助かった。あのまま情がなかったら、下手したら死んでたかもしれない。死刑となっていたかもしれない。
犯人のことを聞かれたが、“もう逃げたかもしれない”と答えると、大捜索が始まろうとしたところ、アストリさんが止めるよう告げた。
その場にいた俺たちは、“この人は心優しいんだな”と感じた。
アストリさんから、“兄を紹介します”と言われたため、図書館について行った。
その図書館は本の数も多く、ここにない本はないのじゃないか。と思うほど数が多かった。
「お兄さま方。連れてきました」
「あぁ、さっきはすまなかったな」
「悪かった。変に疑って」
「弟たちが本当にすまなかった」
「右から順に言いますね。この国の第一王子、ヒューゴ・リルメスです。そして次に第二王子のリアム・リルメスです。最後にこの国の第三王子、クレール・リルメスです。三人とも、私の兄です」
そう説明された。右からのヒューゴさんの印象は、物腰が柔らかいと言うことだ。俺たちに対して警戒心は無さそうに見えるが、正直分からない。
次にリアムさん。この人は威圧感を感じる。氷のように鋭い目線が、俺たちを捉える。まだ俺たちを警戒しているようだった。
そして、クレールさん。この人はものすごく警戒している。無意識中なのか、クレールさんからは殺気がダダ漏れていた。リアムさんと同じように、鋭い目線が捉える。だが、他にも何か混ざっているような……?
「アストリから聞いた。ここに来るまでの間、お世話になったと。そんな人たちを疑ってすまない。そのお詫びとして何だが、君たちが欲しいものを一つやろう」
そうヒューゴさんに言われ、もちろん拒否した。が、「こちらの気がすまない」と言って聞かなかった。
お詫びのやつとしては、この国のものなら、何でもいいとのことだった。そのため、一旦みんなで別れ、俺はこの図書館内にある本にした。
なぜなら、図書館なら、マーティナ・ヘルグビュイの情報が手に入るかもしれなかったから。
(マーティナ・ヘルグビュイ……。何か情報があるはず…!図書館なら、見つけれるはず……!)
まだ俺は、マーティナ・ヘルグビュイの何かに関して、何も知っていない。記憶全部、思い出せれば何とかなるのかもしれない。
だが、この記憶は1万年前に消え去っている。いや、その記憶がバラバラになっているんだ。
それを知っていけば、その記憶全部が繋ぐ。そして、思い出す。1万年前の大魔導師の記憶が。
(………!これは………)
俺が気になった本は、魔石の種類。首につけている“炎の晶石”。それがどんな機能、どんな能力。何があるのか、まだ未知数だ。
知っているのは、魔波が仕組みこまれている事。それが1万年前に作られた事。炎の晶石が作られたのが、北の国…。高度文明が栄えている国。
そこへ行けば、何とか分かりそうになるが、それまでの情報が全然足りない。
(これにするか…)
魔石の本を取り、その本のページを捲る。色んな魔石があり、その中でも興味を惹くものがあった。最後までページを捲るが、最後まで炎の晶石は載ってなかった。
(………………どう言う事だ?何で載ってない………)
不思議に思い、また最初からページを捲るも、書いてなかった。炎の晶石が。
(一体、何がどうなってるんだ?炎の晶石ほどの有名なものが載ってないだなんて………)




