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56話 疑いの目

リルメス王国の門前が見えた。馬車を門前まで運んで行き、停止させる。アストリさんが降りると、リルメス王国の王子たちが一斉に駆け寄る。

アストリさんが「お兄さま方」と呼んでいたため、それで分かった。

俺たちも一件落着……と思っていたのだが、騎士団たちが俺たち(イネスさん、リナさんを除いて)のメンバーを囲んだ。もちろん、俺たちは“何事だ?”と心中一致する。


「貴様ら、何者だ?」


象牙色の髪の毛に、緑色の瞳で短髪の好青年がそう告げる。低い声を発し、俺たちに警戒の眼差しで睨みつけている。もちろん、その人だけじゃない。他の人たちもそうだった。


(あれ、もしかして———ピンチ?)


騎士たちから剣を向けられ、まずい状況となる。アストリさんは、声を上げようにも王子の中の一人に連れて行かれ、俺たちは助けを求めようにも、虚しく散った。


「あの、その人たち違うんです………!」


「そうです!」


「二人はどうぞこちらに」


話を聞かず、そのまま二人は連れて行かれていく。唯一の助けも連れて行かれ、俺たち全員なぜか絶望に満ちる。


(もしかしてさ……。勘違いでピンチに陥った……?)


俺たちはアストリさんを誘拐した犯人にされている。もちろん、そんな事はしていない。だが、リルメス王国の人たちからしたら、冷静ではいられないだろう。

そして、俺たちはそのまま騎士団に連れて行かれた。








♦︎








「本当のことを話せ。貴様らは何の目的で我が国の王女を拐った?」


「拐ってないです」


「本当のことを話せと言ったはずだ」


王宮内に連れてこまれ、そのまま尋問の時間となった。俺たち全員、正座をさせられ、ロープで体を巻きつけられ、逃げられないようにされている。


「本当にやってません」


エイダンたちも真剣な眼差しで、疑いを晴らそうと必死に言っていた。


「なぁ、本当にこいつらじゃないかもだぞ?」


その中の一人で、髪をひと束に結んでいる男性がそう告げた。それを聞いていた隣の黒髪の男はうーん、と唸っていた。


「かもじゃなくて、絶対に違います!」


そう声を張り上げ、無実だと言い張った。王子たちの顔色は徐々に疑いの目は無くなり、その中で大人な雰囲気を漂わせる、王子が俺たちに問いかける。


「本当にやっていないんだな?」


「はい」


俺は言い張る。真剣な物言いで答え、真剣な眼差しで見つめる。それを見たその人は間を置き、口角を上げた。


「分かった。信じよう。君たちが本当にやっていないということ」


納得いかない答えだったが、結果的には信じてもらえたため、あまり気にしなかった。

無事、俺たちの疑いは晴れた。応接間で待っていた王女たちは心配な目で見るも、すぐさま微笑んだ。アストリさんからは仕打ちのことを謝られたが、正直どうでも良かった。



命だけは助かった———と思えば。


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