53話 休暇
ついに一日を切ったユスフリカ王国までの旅路。リルメス王国の王女様を拾い、旅を続ける俺たちは、結構な疲労に襲われていた。
(ユスフリカ王国についたら、休みたい)
ここに居る(リルメス王女様以外)の人間が心中内で揃っただろう。それほど、体は疲労で休暇を取りたそうだった。
それでも先に、リルメス王国の王女様、アストリさんを西の王国に連れて帰らないといけない為、それが終わり次第休みが取れるだろう。
リルメス王国に着くまで、ユスフリカ王国からだったら、約二週間である。ユスフリカからレーイルダまでは二日あれば着く距離であるが、レーイルダからリルメスまでは十二日。つまりは、結構な道筋を馬車で行かなきゃいけない。
(ハァ…、結構疲れる旅路だな………。だけど、北の国までには大方慣れるだろう)
そう軽く考え、今日の計画を立てる。食料に関しては、まだ足りる為、食料調達はいらない。なら、何が必要か。それは“遊び”だ。疲れた時こそ、遊ばなきゃ。
「いや、それ違うと思うぞ」
「え?」
(何故バレた?)
まるで心が見透かしを喰らったかのように、ビックリしてしまう。何故バレたのかは、分からないがエイダンの言ってる意味はもっと分からない。
「え?疲れた時こそ遊ぶものじゃないの?」
「ちげぇわ。疲れた時は普通何もしないだろ」
「え?」
「は?」
俺とエイダンの中で沈黙が流れる。何言ってんだこいつ。という顔をお互いにして。
そしてこの場満場一致したのは、休暇であった。
(旅の途中で休暇取るの?)
だいぶ行ってから休憩を取り、翌日に一気にいく。と言う風になったらしい。その為、いい感じの場所まで馬車で行き、ある程度のところで止まる。ここからは翌日になるまで休むらしい。
♦︎
(今日は平和になりそう)
今まで色んなやつに絡まれたりした為、その疲れもある。旅に何があるかは分からない。だが、醍醐味の一つでもあろう。その為、文句はなかった。
「ハァ〜……、風がひんやりしてる〜……」
秋の時期なのに、肌寒い…じゃなく、ちょうどいい寒さ…だった。
雨で濡れ、制服が濡れてしまった時に、私服に着替えた私服は、風魔法で乾かし、すぐさま鞄の中に入れている。
つまりは、制服を着てても、肌寒さは感じなかった。
「このまま寝たい………」
「ぐうたらするのは良くないんじゃないかな?」
そう女子組に言われるも、女子組もぐうたらしてた。
「人のこと言えないじゃん」
「………ッ!?」
「あっ」
どうやら、馬車で寝転がっていた時に、イネスさんのスカートの中身を見たのだろう。真っ赤にした後、俺の頬を思いっきり叩いた。もちろん俺は、言い訳はしない。
(なるほど。これがラッキースケベ……と言うわけか)
と、一人だけ頬が赤くなる。もちろん、ビンタされたから……。その時のクロードの視線はものすごく痛かった。
アストリさんからしたら、“変態”と認識されただろう。ただの屈辱的な気分になっただけだった。
「どんまい」
「いや、自業自得だろ」
辛い意見や甘い意見もあるが、正直自業自得か?と感じた。でもそれは口に出さない。その為、俺は馬車の中で座り、そのまま外を眺める。これが一番の休息だと俺は勝手に思っているからだ。
♦︎
この計画は結構良かった。時間は夜となり、空には星空満点の空が広がっている。それをみんなで見ると、結構ロマンチックだった。こういう日も悪くない………と余韻に浸る。
「デイヴィスくんは変態だったんだね」
「いや、違います」
「もっと思いっきり殴れば良かったかしら」
「そうなれば、ユスフリカ王女の名が廃ります」
思いっきり殴られると、おそらく顎が吹っ飛んでると思う。それぐらいあの強さでも結構痛かった。
「言っとくけどたまたまだからね?」
「はいはい。そーいうことにしておきましょうか」
「おい」
そう寝る前に喋り、今日は見張りをディランがやる為、ディランは馬車の外に出ていた。
「全くお前らは仲良いな」
「どこがよ」
そうそっぽむくイネスさんは、そのまま寝落ちする。それに気づいた俺たちは、その寝顔につられるように、眠気が襲ってきた。
瞼が徐々に重くなり、目が開けられないほど、強烈な眠気が襲う。そして、そのまま流されるがままに、眠ってしまった。
いよいよ、明日で着く。後、一日———。




