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50話 猛獣

今日の朝食は、山菜料理とスープ、そしてパンだ。それを並べ、いい匂いが漂ってくる。


「「「「「「いただきまーす!」」」」」」


「いただきます」


合掌をし、みんなで朝食を食べる。何気ない日々だが、つい笑みが溢れてしまった。

夢の事なんて、ただの夢なんだ。現実にしないようにすればいいだけ。それに、目の前にいるみんなが、そう簡単に死ぬはずがない。そう信じていた。


「今日も先に進めばあと五日で着くな」


「やっと半分になったよなぁ………距離的にも」


「だね。ここまで来るのはやっぱり大変だからな」


そう話し込む男子組と、楽しそうに話す女子組に分かれていた。

もうすぐで食料の方も尽きてしまう。その為、今日は進みながら、またもや食料調達だ。


「今日は食料調達だな」


「うん。ここら辺なら、また森があるみたいだし。そこで山菜採りなんかも良いんじゃない?」


「果物あったらそれも取ろうよ。お姉様」


「そうだね。果物あったら、果物漬けとかにも出来そうだよ!」


今日の計画を立て、朝食を食べたら、10分休憩からの移動にし、負担を避ける。ご飯を食べた後に移動すれば、お腹が痛くなるし、そうなってしまえば、もしもの時には動けなくなる。それを考慮した上でみんなにそう伝えた。




♦︎




10分休憩した後、クロードが馬の方に乗り、馬車を発車させた。

しっぽに火がついたみたいに馬が駆け出していく。その為、スピードが速くなり、顔を出していた為、顔で向かい風を受け止めていた。

進んで行く途中、木や林の葉は赤いグラデーションやオレンジ色のグラデーションが、鮮やかに色づいていた。


「わぁ〜!やっぱり秋って感じがするね!」


「そりゃあ夏が終わったんだもん。でも、多少は暑さも感じるけどね」


「夜とかね」


そう笑いながら、クロードに話しかけるイネスさんとリナさんは無邪気に微笑んだ。

その光景を近くから見ていた俺やエイダン達は、釣られて微笑が口角に浮かぶ。


「あんまり前のめりになると落ちるよ」


そう伝えると、元気よく「はーい!」と返事をした。






♦︎





だいぶ馬車で走り、少し休憩を挟む。時間帯も昼となり、昼食を食べる時間だ。それが終わり次第、すぐ近くにある森で、山菜採りや果物狩りを始めることに。その為、早めに昼食の準備をし、草原で食べる。

草原には大自然が広がっており、動物達がいた。その上で食べる昼食は更に、美味しく感じ、心が温まった。





♦︎





昼食を取り、後片付けをした後は、二人に分かれ山菜採り、果物狩りを始める。このような形となった。


アルベール・クロード


エイダン・ディラン


イネス・リナ


ライアン


と言う風に。今回はライアンが一人な為、集合場所は馬車があるここ。何かあったらすぐに知らせる。と言う条件を設け、いざ森の中へと入る。もちろん、警戒は怠らずとして。


「じゃ、俺たちは何を取るか…。何が良い?」


「うーん、果物狩りに関してはイネスさんとリナさんに任せれば良いんじゃないかな。それで私たちは山菜採りで」


「了解。んじゃ行くか」


「うん」


森の中を歩き、お目当ての山菜を取りながら、奥へと進む。ここまで猛獣や魔獣に遭わずに済んだのは運の尽きだ。

俺は先頭、クロードは後頭に居た。後ろの方の警戒はクロードに任せ、俺は前の警戒をする。


「なんか、お互いに背中を預けたパートナー……みたいだね」


「あー、そうかもな」


そう軽い返事をし、警戒を怠らない。もちろんクロードが少しムスッとしているのに気づかず。





♦︎





「おぉー、あったあった」


俺はみんなと別れ、一人で山菜を取りに奥へと行くと、何かの呻き声が聞こえた。


「え、なんだ?」


もちろん、その声に恐怖を感じ、俺は後退りをする。だが、呻き声は徐々に大きくなり、俺は慌てて来た方向へ逃げた。足腰を思いっきり使い、急いでみんなに知らせるために。そんな時、ふと後ろの方を見ると明らかに熊がいた。


(嘘だろ!?こんな時に限って熊かよ!)


熊なんて可愛らしい響きだとしても、本来は人間よりデカく、種族でデカい種族も存在するが、会話すれば多少は仲良くなれる。だが、熊と仲良くなれそうにない俺は、ただ逃げる事だけしか頭になかった。


(あー!逃げちゃダメなのにー!!)


熊に背中を向けて走ると、熊は本能的に獲物だと認識するらしい。そのため、逃げちゃいけないのだが、熊と分かる前に逃げているため、どうしたら良いか、検討がつかなかった。

走ってる最中、壁が目の前にあり行き止まりに衝突してしまう。


(嘘だろ!?壁!?)


やばい…。このままじゃお陀仏だ……。そう目を閉じ、もうダメだ……。と思っていたところ、一つの影が俺と熊の間に降り立つ。


「悪いけど、熊さん。俺の友人は餌じゃないんだね。諦めてください。それでも無理だと言うのなら、これでも喰らえ!!」


目の前にいたのは、少し低い声を放つ、俺の親友。学院だけ………いや、世界中を探しても今でも“古代式魔法”を放つ人物は、アイツしかいない。アイツの使っている杖から光が漏れ、熊を吹き飛ばす風魔法を放ったようだった。


「アルベール………」


俺の親友。アルベール・デイヴィスだった。





♦︎





「大丈夫?ライアン」


「あぁ、助かったぜ………」


安堵の息が漏れるライアンに、手を差し伸べた俺は腰が抜けているこいつを立たせる。


「おーい、クロード。医療道具持ってきてただろ?もしかしたら、怪我してるかも知んないしな」


恐らくライアンが壁だと思っているのは、実際は壁じゃなく、地層が高い土地であった。


「分かったー!」


「え?俺怪我してないから!」


「本当に?」


俺は疑いの目でライアンを見るも、たしかに怪我を負ってる様子は見られなかったし、傷口も見られなかった。


「ほっ、ならよかった。って言うか、熊に遭遇しても逃げちゃダメじゃん」


「だってその前に逃げてたよ!」


マジで怖かったのか、多少ムキになりながら、俺たちと一緒に馬車の方へ帰るライアンであった。


森から抜けると既に他の4名は揃っていた。もう夕焼けが地平線が出てきたため、夕食の準備をする。




今日もまた一日が終わりを告げようとしていた。



ユスフリカ王国につくまで、あと五日———。

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