表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/99

46話 手遅れ

ガラクタから食器類に変えたのは、結構大きかった。

あれから来たことある道を戻り、村が見えてきた。神州国に行く道中で見つけた村。今日も人で賑わっているだろう……。そう思ったのも一瞬で崩れ去る。

一軒一軒から煙が立ち、家は崩れ去り、畑も荒らされていた。ひどい匂いも村中に漂い続け、気分が悪くなるほどだった。


「な、なにこれ………」


「ひどい匂いだ………ッ!」


鼻を押さえないといけないほど、ひどい匂いが漂う。俺たちはなにが起こっているのか、頭が追いつかなかった。

その悍ましい光景が広がる村に、無意識のうちに足が進んで行く。


「………………!?」


見てはいけない物を見てしまった。その場から離れるようにして、急いで馬車に乗り込む。

おそらく、魔獣に襲われたのだと、予測がついた。


———忘れよう。


その言葉が頭や心中を埋め尽くす。それぐらい今日のあの出来事は、身震いが経つほど、最悪な光景だった。


俺は学院長の言葉を理解したのかもしれない。学院長が魔獣騒動を鎮めるために、エイダン達を許可したのか…。きっとこうなることを予想していたからだ。

魔獣の大群が襲いかかってくれば、一人では太刀打ちできない。

独りじゃ無力だってこと。それを見せしめられた。


「私たちが言った後になにが起こったんだろう……」


「わからない。わかりたくもない………!」


馬車を動かし、その場から離れたかった。夢にも出てきそうな、そんな光景をいち早くも、忘れるために。






村から遠く離れた場所へと降り着いた。その時にはもう既に夜で、あたりは暗かった。

火を焚き、また一日が終わろうとしていた。空には星が満天でつい見惚れるほど綺麗だった。月が顔を出し、夜風が吹く。

先程の光景を忘れるかのように、談笑するも、破壊力に負け楽しめなかった。そのため、見張りをするライアンは背中を向け、俺たちは馬車へと入り、早めに寝る。

ライアンの背中からはなんとも言えない雰囲気が、漂う。きっとこの旅に起こったことは、決して忘れることはないと思う。なんとなく、そう思ってしまった。





そして時間は流れ、夜中の3時。もうすぐで九月が終わる。俺はライアンと交代をし、見張りをする。

無論、あたりは暗い。俺が寝る前まで顔を出していた月は、雲に隠れ、灯火は———バチバチとなる焚き火の灯りだけだった。


(………手遅れになる前に、魔獣騒動を鎮めなきゃ)


俺は空に向かって心中でそう言った。言葉は埋め尽くされるほど、そればっかりであった。


もうこれ以上———あんな光景を見たくない。“死”は相当痛い。独りで逝くのが怖いほど。それが病気なら、仕方ないだろう。

だが、誰かの手によって———。

それが成し遂げられたら、それは一番の痛みだから。


アーベルは病死。千本の槍に刺されるほどの激痛。それを思い出すだけで、冷や汗がかいてしまう。友人エイダンたち達だけは死なせたくない…。


もし、このまま魔獣の大群に負けてしまえば…。待ってるのは死だけだ。

だから、そうならないように、必死に自分の命を手放さない。そう易々と…。


———死んでたまるか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ